Hands


キレイな手・・・・・・だな


自分が、何かをあたりまえのように「キレイだ」と感じる時がくるとは、思ってもいなかった。

日暮れ前の、空の色
海に太陽が浸かるとき
例えばこういうのは「キレイ」というべきものなんだろうと、
知ってはいたけれども。

これは、実感。

ひらひらとよく動き、表情豊かな器用そうなそれは、
タバコを挟んだままでも
優雅に動く

指の長い、手

目が離せなくなる

ずいぶんと昔、野原で追ったのは、あれは

ぱし、と。
ネコが蝶を捕まえるように
手を捕えていた。


手首、細ェんだな
のんびりと、そんなことを考えた。

「・・・・・・おい」
「あぁ、悪ぃ」

捕まえれらた手を振り払うことはせずに

手を捕まえたままで

静かに言葉が出てくる
その応酬も、皮肉な笑みもなく

手がゆっくりと離され。
タバコは何事もないように口元に持っていかれる。

煙の流れる先を、向いの男はふと目で追った。
色の変わり始める、窓のさきの海へと。


目線が逸らされ、知らず安堵の息をつく。


そんなに、見るんじゃねぇよ。
これは、生かす為に殺す手だ。
そんな、懐かしそうな目、するな。
おまえのと、多分とても近いもののはず。
おまえのよりキレイだなんてことは、ないんだぜ?
おい、わかってんの?ゾロ。

言葉にできずに。ただじっと
まだ小さくくりぬかれた海をみつめる男に問う。

陽の動きに連れ耳元の金が、きらりと光を跳ね返す。

眩しくて、目を細めた。

ヒカリが?思いがけず穏やかな横顔が?

近くにいて、見つめていても
まじかで斐翠の眼を覗き込んでも
その顔を両手で挟みこんで俺だけの方を向かせたいんだ
草色の髪に指を絡ませて、金の光る耳元に口接けて
いつも
こんなことを真剣に考える俺は、確かに相当ガキなんだろう


注がれる視線を感じ目を戻すと子供じみた泣き笑いの顔。
腕をのばし、頬に触れてみる。
そのまま柔らかい金の髪に差し入れる。

お前に触れると、
いつも

心の表面が、ざわつく。

陽に透けて、茜の色をそのまま映す金の糸が
指の間を音をたてて流れるような。
ああ、手だけじゃない、
お前は全部「キレイ」なんだな。

俺の知っているどんな「赤」よりも美しい、
刻一刻と変わる刹那の色に染まる、
いまのお前をキレイだと思う。

あたりまえの気持ち。

これが、いとおしい、というものか?


「なあ、サンジ。俺は、」
自分が力尽きることがあれば、今のお前を最後に思い出してェな。

なぐさめるつもりだったのに、
余計なきそうな顔になった。

それでも、つかまえたかった手が
自分に重ねられた。
ひんやりした頬、自分の掌の熱、それをはさむ熱温の低い手。

「・・・・・・泣くな」
自分は途方に暮れた声をだしているのか?
「ウルセェよ」
答える小さなつぶやき。


あたまのシンが緩んだような穏やかさ。

偉大なる航路の、凪の日。



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あーあーやっちゃったぁー散文もどき。小説にあらず。
わけわかんないし。奇麗すぎると涙がでる、あんまり好きだと途方に暮れる、
ってテーマにしたっかたのにーぃー。