*43*

メキシコで顔を合わせた数人と、アジア・中東における武器と麻薬の密輸についてミーティングをし、ついでに夜も済ませてから帰ってくれば、どこかげっそりとしたロイがオフィスの椅子に座っていた。いつもはしゃきっとしていて気配に敏感なオトコが、今日はパトリックが音を立ててドアを閉めるまで気づかなかったくらいだ。
デスクに頬杖を突いてぼんやりとタバコを吹かしていたロイが、びくりと肩を跳ね上げ。それからゆっくりと視線を回してきた。
「ボォオオスゥ」
間延びした猫が泣きついてくる勢いで呼ばれて、パトリックは薄く口端を吊り上げた。
「いまにも溶けそうだな、ロイ。オマエのようなオトコが珍しい」
「ボスの可愛いお猫サマは、どういう思考回路の持ち主なんですかぁ?」
ぎゅ、と眉根を寄せて訊かれて、パトリックはますます笑みを深めた。
「知るか」
「や、まあそうでしょうけどぉ……」
ぶす、となったロイとデスクを挟んで座る。
「アレは今度は何をやらかしたんだ?」
「やらかしたっていうか……まあボスの指示通りに温室に連れて行ったら、奥の噴水に頭から突っ込んでました」
温室にある噴水の形を思い出して、パトリックは目を細めた。
「転んで突っ込むには無理のある話だナ?」
「もーう、今更人生悲観して自殺でもしようとしてんのかと思っちゃいましたよ」
はぁああ、と深い溜息を吐いたロイに、パトリックは薄く笑った。
「違ったんだな」
「ご本人はそう仰いましたね。まあ風呂入れた後も床で蹲ろうとなさったりしてたので、本当にそうかどうかは知りませんが」
ぎゅ、とタバコを捻り潰したロイに、首を傾げる。
「熱でもあんじゃねぇの?」
「ええ、その通りですとも!微熱通り越して微妙な高さの熱に転化しましたとも!」
38度って一番どうしようもない体温じゃないですか?とロイがぐったりとデスクに伸びたのに、そのオレンジ色の頭をなでなでと撫でた。
「ドクタを呼ぶハメにならなくてよかったな」
「一応考えて電話はしておきました。最近また食べていらっしゃらないので、下手をすれば肺炎拗らせられますからねえ」
そうしたら、ドクタは明日まで様子を見るようにって仰ってましたけど、とロイがぼそっと呟いた。

「夕飯は食えたのか?」
訪ねれば、ひょい、とロイが肩を竦めた。
「食べたって内に入るんですかね。せいぜい二口ぐらいなもんです」
ぼうっと左手首に視線を落としたりして、もう使い物になりません、とロイが溜息をまた吐いた。
「しきりに全身で謝るんで、子供用の甘い風邪薬のシロップを倍量で飲ませましたけど」
「熱がある時は、生き物は弱くなるモンだ」
「どうやって風邪を引かれたかが気になりますけどねえ?」
コキン、と肩を鳴らしたロイに、くう、とパトリックが片眉を跳ね上げた。
「無体はしてねえぞ」
「そんなの丸バレですってば、ボス、そうじゃなくって……季節柄冷え込んではきているので、風邪を引かないこともないのはわかるんですが……朝からぼうっとなさってましたし。風邪のせいで噴水に頭を突っ込んで悪化させたのか、それとも…って具合にですねえ」
奇妙に悩みこんでいらっしゃるみたいでしたし?と言ったロイに、ハハ、とパトリックが笑った。
「あれは最初っから悩んでるな」
「でもこの頃は随分と明るかったじゃないですか。まあ数日前までは、ですけど」
オマケに、ハドソンに沈めておいたほうが楽だったかもね、とか言われちゃいましたよ。そんな当たり前のこと。そう続けたロイに、パトリックが緩くロイの額を人差し指で突いた。
「いまさら沈めるわけにもいかねえだろ。アレはただのガキなんだし」
「しませんよ。殺し大好きサイコパスじゃあないんですから」
はあ、とロイが溜息を吐いた。
「そんなにもう長くは置かねえから」
パトリックが静かに告げた言葉に、ロイが草臥れた風に笑った。
「出して差し上げた時にきちんと歩ける状態だといいんですけど。病院送り、なんてことになったらいろいろ探られちゃって大変ですヨ?」
「まあそうなったらそうなった時のことだ」
薄く笑ったパトリックに、ロイが小さく笑った。
「“ちゃんとあんたの大事なボスにはペイバックする”とかノタマッテくださったので、まあ実際には平気だとは思いますけどぉ」
あの体調でどこまで動けるのか自覚がないところがコワイところです、と続けたロイに、薄く笑った。
「着替えたら覗きに行く」
「……お猫サマのところですかぁ?」
「冷えたマスカットでも中に入れておけ。食わせてみる」
「……ボスって甘やかしですよね。極悪ですけど」
あーあ、とロイが脱力した。
「ほんっと手放すんですか?」
「そりゃあな」
「そんなに手間隙愛情かけてるのにですか?」
「置いとくわけにもいかねえだろ」
はっきりと言い切ったパトリックに、ロイが顔を思い切り歪めた。
「オンナノコだったら求婚して繋いじまえばよかったンですけどねえ!」
「どこの善良な市民のお嬢さんがマフィアのボスに嫁ぐンだよ」
接点無ェだろが、と告げたパトリックに、ロイが肩を竦めた。
「ルーシャンさまだって、実は大学の後輩ってぐらいしか接点がないのに、この屋敷の客室で臥せってらっしゃるじゃないデスカ。そんなのわかりませんって」
肩を竦めたロイに、パトリックがその頭を撫でながら立ち上がった。
「だからちゃんと出してやるんだろ、あっち側のワンダフル・オーディナリ・ワールドに」

ロイがじとっとパトリックを見上げたのに気づいて、首を傾げた。
「なンだよ」
「ボスくらいに情が深いオトコに“愛されて”、果たして戻っていけると思います?」
「そっから来たんだ、戻れるだろ。足りなければ代わりが見つかるだろうよ」
パトリックがさらりと告げたコトバに、ロイが溜息を吐いた。
「本気で仰るからボスは始末が悪い」
「キレイさっぱり切れて、むしろ始末は良いんじゃねえのか?」
「そういう意味で言ったんじゃあありませんって――――――ボス、とっととお猫サマんとこ行っちゃってくださいヨ」
しっし、とロイに手を振られて、パトリックが片眉を跳ね上げた。
「熱はありますけど、とろとろと寝ていて意識はあったりなかったりなんで――――――まぁた寂しがりますヨ」
そう告げてきたロイに、肩を竦めた。
「じゃあマスカットと水、用意しとけ」
「はぁい、ボス」
「お疲れさん。それさえ済んだら寝ちまえ」
「寝ますよぅ、草臥れました」
どうせボスはお猫サマと朝まで過ごされるんでショ、と言ってきたロイに、肩を竦めた。
「熱持ちなんだろ?」
「……ほんっとボスって悪くてロクでもなく優しい甘やかしですよねー」
苦笑する風に言っていたロイに、オマエ、褒めてないだろ、と言えば。にっこりと笑顔が返された。
「オレってばまだまだボスに及ばないっていっつも思うんですワ。じゃあルーシャン様によろしく?」
そう告げられ、手がひらひらと振られたのに中指を立てて返し、部屋を出た。

一度自室に戻ってシャワーを浴び、室内着に着替えてからルーシャンの部屋に行った。
小さな客室の居間の入り口にワゴンが置いてあり。更に氷が山盛りにされ、その上に緑色のマスカットが載せられていた。その脇には水の入ったジャグが一つとグラスが二つ。
オレに押していけってか、とパトリックは片眉を跳ね上げ、けれどそのままそれを片手で押してルーシャンのベッドルームの扉を開けた。
甘いオレンジのベッドサイドランプに照らされたベッドの上には当然のようにルーシャンの姿は無く。3人がけのソファの方に、ルーシャンが丸まって蹲っていた。
ひとまずワゴンをベッドサイドに押し遣り、ルーシャンの側まで歩いていき。ほってりと赤く火照った頬をしたルーシャンに額に手を押し当て、まだ幾分か体温が高いことを確認する。
浅く熱い息を繰り返しているルーシャンを、ゆっくりと抱き上げた。身じろいだルーシャンに構わずベッドまで連れて行き。乱れたリネンの上にルーシャンを戻して上掛けをかけた。
「なにやってンだかなぁ」
甘く呻いたルーシャンの額から金色の髪を退けてやり、パトリックが小さく溜息を吐いた。
「こんなこと、オンナにすらしてやったことねえんだぞ、オレは」
ぼそ、と呟いて、けれどもこういう風に世話することは案外嫌いではないことに気付いて苦笑を零した。さら、と頬を撫で下ろして、火照った目元に唇を押し当てた。
「オマエも何やってンだかな」
今頃熱出して寝込んで?と吐息で囁き。綻んだ唇から熱い息が零れるのに、ぺろりとその唇を舐めて潤してやる。
トン、と額に唇を押し当ててから、ベッドをぐるりと回り。ルーシャンの反対側に身体を滑り込ませた。
少しばかり息を止めたようだったルーシャンの身体をゆっくりと抱き寄せ、さらさらと髪を指先で梳いた。

ふっと思いついて、マスカットが乗せられていた氷の欠片を指で摘み、ルーシャンの開いたままの唇に押し当てる。
熱い体温に半ばそれが溶けてから、するりと氷を唇の間に落とし込んだ。濡れた指先でルーシャンの唇をなぞれば、ぴくん、と僅かに身体が跳ね。パトリックはそろりと火照った頬に掌を滑らせた。ぼうっと、酷くゆっくりとブルゥアイズが見開かれていったのに、くすんとパトリックは笑った。
「寝てろよ、ルーシャン」
ぼうっと瞬いているルーシャンの意識がまだ戻りきっていないことに、ますますパトリックは笑みを深める。
「辛くはないか?」
ひどくゆっくりとルーシャンの手が伸ばされ。熱い手指が力なく肩を握りこんでいくことに、苦笑を浮かべる。ゆっくりと熱い額に額を押し合わせた。
「薬効いてねぇんじゃねえの?」
ゆっくりと瞬いたルーシャンの頬を指裏でなぞる。
「ルーシャン?」
ゆっくりとルーシャンの唇が動いた。
なにを言っているのか判明しないことに薄く笑って、パトリックはそうっとルーシャンの頬に口付けた。
コトバがゆっくりと繰り返される。
Have me(しよ)、と唇が告げてくるのに、くくっと笑った。
「何言ってンの、オマエ」
さら、と目元を指先で撫で。ゆっくりと目を瞑りそうになるルーシャンに、パトリックはそうっと囁く。
「寝てとっとと治せって」
ゆるりと腕が上げられて、肩から背中へと腕が移っていく。
「抱きしめててやるから。ナ、ルゥ?」
ゆっくりと首を横に振られ、困った風にパトリックが笑った。
ルーシャンが身体を少しばかり下に動かそうと身じろいでいるのを、抱きしめて留まらせる。
「ルーシャン、仔猫チャン。オレは遠慮しねぇぞ?」
目元を覗き込んで囁けば、うん、と揺れる声で返事が返され、あむ、と柔らかく唇を啄ばまれた。
直ぐに唇が浮かされ、じっとルーシャンが目を覗き込んでくるのに苦笑した。さらりとルーシャンの頬を掌で撫で上げ、包み込む。
「蕩けてェの?」
熱い頬から体温が掌に移されて、くくっとパトリックが笑う。
ゆら、とルーシャンが首を横に振っていた。
「ふれたいんだ、」
俄然無い子供のような口調で告げられ、ますますパトリックが笑った。
「辛くねぇのかよ、ルゥ?」
こくん、と頷かれたのに、パトリックが笑ってルーシャンの頬を撫で上げた。
「じゃあスキにしてみな」

額まで手指で辿って、金色の前髪を押し遣った。
もぞもぞ、と身じろいでルーシャンが少しずつ身体を落としていくのにますます困ったように笑う。
「風邪、悪化させンなよ、仔猫チャン」
さら、と頭を撫でて、ルーシャンが辿り易いように横向きにしていた身体を仰向けに倒した。する、と熱い掌が直に腰に触れてきたのに、またさらりと金色の髪を撫でた。
「無茶はすンなよ、ルーシャン」
ひらりと熱い額を腹筋に付けられて、パトリックは目を細めた。ふう、と酷く熱い吐息が腹に零されるのに小さく身じろぐ。
着ていたトップを引き上げられ、熱い下が臍の下を舐めていくのに笑う。
「脱いでやろうか?」
ず、とボトムスを熱い指先が押し下げていき、あらわになった肌をルーシャンが甘く吸い上げていった。
笑って、パトリックは自分からトップスをあっさりと脱ぎ去っていく。それをベッドサイドに放っている間に、ますますボトムスを押し下げられて、パトリックは喉奥で笑って腕を伸ばして下も脱ぎ去った。
ふう、と熱い吐息を吐いたルーシャンの頬を掌でくしゃりと包んだ。
唇が腹から動いていき、熱い手指がやんわりと中心部に触れてくるのに僅かに息を押し殺した。そのまま深く含まれていくのに、ゆっくりと息を零していき。熱く濡れた粘膜に包まれる快楽を味わう。
緩慢な動作でじわじわと吸い上げられていくもどかしさを、吐息に混ぜて零していく。それでも急かしはせず、指示も出さない。ルーシャンが“触れたい”ようにさせてやろう、とパトリックは様子を見ることに決めていたから。
ルーシャンがまるでパトリックのオスの形を確かめるように、唇から熱を引き出して舌でゆっくりと辿っていくのに、パトリックが薄く笑った。
「なにを考えている?」
敏感な窪みに舌を這わされ、こくん、とパトリックが息を一つ呑む。
答えは返されず、ただ応えるように先端をちゅくっと浅く含まれ、舌先が絡んでいく。
酷く丁寧に形をなぞられ、確かめられていくことに、パトリックが喉奥で笑った。熱い掌がじんわりと根元を撫でていくのに、さらりと金色の髪を撫でる。
「ルーシャン」
とろとろと含み直されて、パトリックは苦笑交じりに喘いだ。
「服脱いで、ケツこっちに寄越せよ」
いや、とルーシャンがパトリックの屹立を咥えたまま首を横に振ったのに、薄く笑った。ぐう、と顎を少し上向けられたことにまた喉奥で笑う。
「生殺しだな」

濡れた音を立てて少しキツめに吸い上げられたことに、少しだけ腰を揺らした。また深く含まれていくことに、パトリックがゆったりとルーシャンの髪を掻き混ぜる。
ぐ、と上あごに敏感な先端を押し当てられていくことに、ふっと息を零した。ずく、と腰奥で快楽が目を覚ましたのを聞きつけたのか、ルーシャンが少しばかり零した蜜をすすり上げていく。
熱に潤んだブルゥアイズがたゆたうままに見上げてくるのに、またパトリックが笑った。
「飲みてェの?」
ちゅる、と舌先が先端に捻りこもうとしてくるのに喉奥で笑う。くう、と口腔内で上下されたことにぺろりと舌なめずりして、それからゆっくりとルーシャンの口内を突き上げた。甘くルーシャンが喘ぎ、それでも果敢に合わせる様に吸い上げてくるのに笑って、さらりと指先でルーシャンの耳朶を撫で上げた。
「オレはオマエの中で注ぎてェけど。オマエはこのまンま、味わいてぇの?」
ひくん、と舌が強張り。けれどもまた押し撫でてくるのに、ゆっくりとしたリズムを口内で刻み始める。
舌を絡み付けたまま僅かに頷いたルーシャンの果敢さに笑って、くくっとパトリックは喉奥で唸るように笑った。
「じゃあそのまま咥えてろヨ」
手をさらりと項まで伸ばし、きゅ、と吸い上げてきたルーシャンの口の中を少しずつゆすり上げるリズムを早めていく。
「ん、…ゥ、」
少しずつ息苦しそうになっていくルーシャンの口内を、遠慮なく奥深くまで突き上げて、強いリズムを刻んで。その頬も濡れた唇も真っ赤に染まっているのを見詰めて、パトリックは低く笑って喉奥を突き上げていく。
ぐう、とルーシャンの熱い指先が腿に縋ってきたのに笑って、後頭部をきゅっと掌で包んだ。
「……ッ、ん、ン…ッ」
ぐぷっ、ぬちゅ、と濡れた音を立てさせ、ルーシャンの口腔を突き上げていき。吸い上げようと絡んでくる唇を強く押し上げる。
喘ぐように唇を振るわせたルーシャンの火照った顔が思いのほか色っぽくて、パトリックは笑った。
「ルーシャン、仔猫チャン。用意はいいか?」
懸命に舌を絡ませようと、リズムに合わせる様に蠢く口腔を、パトリックは遠慮なしに突き上げていく。
「―――ンぅ、ん…っん、ぅ」
苦しそうに喘ぎ、目尻に涙を浮かべているルーシャンの手が腿に縋ってくるのに笑って、歯を掠めないように入り口から奥深くまでも長いストロークで突き上げていく。
「んん、っ、ぁ、」
赤い唇が、無くした体積を惜しむように蠢いたのを見詰めながら、パトリックは一瞬の発光に意識を僅かに手放した。とくん、と腰を震わせて、湧き出る体液をルーシャンの顔にひっかける。
ふるっとルーシャンの身体が震えた。
「ぅあ、…っ、」

ぽたぽた、と赤い頬を伝って白濁した体液がリネンに伝い落ちていく。
それをルーシャンが舌を伸ばして舐めとっていくのを見詰めていれば、震える指先が頬や顎を拭っていき、それにも舌を這わせていた。
すい、とルーシャンの顔を上げさせて、ぐい、とルーシャンの頬を親指で拭った。
また中心部へと舌を伸ばそうとしてきたルーシャンの顔を抑えたまま、ぺろりと熱い唇を舌で辿った。びくっとルーシャンの肩が跳ねる。
「ルーシャン、仔猫チャン。やっぱりソレじゃあちぃっと足りねぇなあ」
薄く笑って、あむ、と熱く火照った唇を啄ばんだ。
「オマエの奥まで味わっていいか?」
少し悲しげになったルーシャンのブルィアイズを覗き込んで訊く。
「やっぱりちゃんと全部、味わいたいからナ」
その言葉に、ふにゃん、とルーシャンが笑ったのにくすりと笑みを返し。
「あんたのだから、」
そうとろりとした声が告げてきたのに、ゆっくりとルーシャンのシャツのボタンに手をかけた。
「熱なんかとっとと飛ばさせてやるよ」
自分で脱ごうとしているルーシャンの邪魔はせずに、露になった小さな乳首に指先を押し当てて弾いた。
「ン、」
「オレのだって思うンなら、思い切り乱れちまいな」
きゅう、と目を細めたルーシャンに笑って、とん、と唇を啄ばんだ。ひくりと背中を揺らしたのに構わずに、親指と人差し指で小さな尖りを捏ねる。
「ぁ、」
喉を反らせたルーシャンの感度の良さに笑って、とろりとまだ白濁した蜜に濡れた顎を舌先で辿った。
「乱れて、喘いで。余計な考えも、全部使い果たしちまいな、仔猫チャン」
「ぅ、ぁあ、っ」

ひくん、と震えたルーシャンの目尻まで舌で舐め上げていき。シャツを震えながら脱ぎ落としたルーシャンのブルゥアイズを見詰めながら、片手でそのボトムスを引き下ろしにかかった。
膝に半ば乗りかかっていたルーシャンの腰を引き寄せ、最後は足でボトムスを脱がしきり。それからもう熱くなっているルーシャンの屹立を掌で包み込んだ。
「ア、」
「ほら、腕回して縋ってこい」
甘く小さな悲鳴じみた声をルーシャンがあげ。それでも両腕をパトリックの首に回したルーシャンが肌を合わせてきた。そして首筋を甘く吸い上げられて笑って、パトリックは笑いながらルーシャンの身体をリネンに横たえた。
「今度は全部オレに食わせろ。いいな、ルーシャン?」
ふう、と熱い溜息を零したルーシャンが、なんで、と小さな声で言ってくるのに、パトリックが喉奥で笑った。
「喰いたいからに決まってるダロ、ばぁか」
きゅう、と熱い屹立を掌で包み込んで扱いて、パトリックがルーシャンの耳元に口付けた。
「なかから喰っちまってよ」
甘くゆったりとした息の下で囁くルーシャンの耳にぬちゅっと舌先を滑り込ませて、パトリックは笑って応えた。
「中からも外からも全部喰うさ。だから、オマエは素直にオレに喰われてろ、カワイコチャンめ」
ぬる、と濡れた先端を親指で擦り上げながら、びくりと身体を竦ませたルーシャンの首筋を噛んだ。
「ァ、アぁ…ッ」
ぎゅう、と手指が縋るように回され、足も絡められたことに笑って。一瞬きつく歯を立てた窪みに舌先を潜り込ませた。
「ルーシャン、仔猫チャン、オレのカワイコちゃん。全部オレに寄越して、オマエは素直に啼いて震えてナ。後のことは心配すんな、全部ちゃんとしてやるから」





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