*1*

上が半円になった窓の外には、古い港町の明かりが見えた。
段々と折り重なるように密集したいくつもの家にも柔らかな明かりが灯り、なんの理由からか沖へと出ている船の縁にも明かりが灯されていた。
ほんの数日前には、バスルームの窓から見えていたのは降り頻る雪だけだったけれども、いまこの場所から見えるのはジブラルタル海峡だった。
少し霧が出ているせいか、イベリア半島の明かりが見えないのが残念だった。

くたりと体重を預けてきているスカッドの濡れて重たくなった髪に口付ける。ぴちゃん、と雫がお湯を張ったバスタブに落ちる音が響いて、開け放したままの窓の外へと逃げ出していった。
つい数日前まで滞在していたハンガリーの古都エゲルから随分と南下してモロッコに飛んできたとはいえ、流石に新年間近では外の空気はひんやりとしていた。
そして、雪と教会の音色の変わりに、わざわざとざわめく人々の気配がじわじわと響いて来ている。どこかで、新年のお祭りでもやるのかもしれない。
白い壁を持った背の低い家のいくつもからも、華やいだ気配が甘く香る花のように届く。
腕の中でゆったりと目を瞑って温かな湯に身体を伸ばしているスカッドの身体を、ほんの僅かだけ引き寄せた。
この土地に下ってきたのは、クリスマスが過ぎた頃にホテルの部屋でスカッドがじっと覗いていたガイドブックの中で紹介されていた街だったからだ。
オスマン・トルコの支配を受けたというエゲル以上に沢山の国に支配されてきたこの土地は、あちこちが随分と脆くなっている街であるけれども。二人が泊まると決めたこのホテルは伝統的なコロニアル風な建築物であり、その内装に到るまでイスラムとアフリカとヨーロッパを良い風にミックスしていた。

「―――――んん、」
甘い声を上げたスカッドの耳元に唇をプレスする。
ジェイクはヒトであった頃に、それこそ世界中を旅して回ったけれども。スカッドはアフリカ大陸に足を踏み入れるのは初めてだったらしい。
最終便でスペイン経由で飛んできた翌日、まだ太陽が沈みこまない夕方に起き出し、しっかりと閉じたカーテンを捲ったその向こうに広がる景色を照らす太陽の眩しさに随分と辛そうに目を細めていた。
『違う国だ、』
そう言っていたスカッドのコメントに、ぷ、とジェイクは噴出していた。
『そりゃそうだ』
ぷく、と頬を膨らませて、カーテンを閉じたスカッドがくるりと振り向いた。
『悪かったな、“作家”らしくなくて』
拗ねたスカッドに両腕を伸ばして、ぎゅう、と抱きしめた。
『作家より詩人にすればよかったな』
ホテルをチェックインする際に、職業欄を“作家”と“ボディガード兼秘書”と記入したことを思い出して、くすくすと笑った。
ぐう、と見上げてきたスカッドの瞼の上に口付けた。
『スカッドの血から読めるのは、いつだってそういったものだから』
言葉の断片、記憶の断片、想いの断片――――――それらがきれいなハーモニーを奏でて、音のようなものとしてジェイクに届く。
『作曲家でもいいかも。次回はそっちにする?』
ますます頬を膨らませたスカッドの首筋にも口付けて、ジェイクはぎゅうっと細い身体を抱きしめた。
『オレの大事なヒト、って書いてもいいんだけどね?』
『おれが秘書でもいいと思うよ、』
そう言って返してきたスカッドに、ジェイクは軽く頭を傾けた。
『そうしたら、オレがなに?』
『作家でいいじゃん』
ぷす、と言ったスカッドに、くすくすと笑った。
『じゃあ次回はそれでいってみようか?――――――あんまり、オレって知的なカンジしないと思うんだけどな』
肉体労働派じゃない?とスカッドの目を覗き込んで言った。
しらない、と。ざわとつんと他所を向いて言ったスカッドを抱きしめていたことを思い出して、くすくすと笑った。

ちゅく、と甘くスカッドの濡れた肌を吸い上げて、緩く指でスカッドの心臓の上をなぞる。
「スカァッド、」
ぴく、と温かな湯の中に沈んだスカッドの身体が僅かに跳ね上がった。
もう既にジェイクがハントを終え、スカッドが望むまま血を分け与えた後に、『大晦日なら、ゆったりグルーミングをしよう』と決めて二人で揃ってやってきたバスルームだった。
伝説上のヴァンパイアは水を渡ることができなかったらしいけれども、現代のヴァンパイヤはリュクスなホテルの一室でのんびりとバスタイムを満喫するのも好きな種族だ――――もっとも自分とスカッドが普通の“吸血鬼”に分類される存在だとは微塵も思っていないジェイクだったけれども。
あむ、と耳朶を甘く吸い上げて、ジェイクが訊く。
「のぼせちゃってない?」
「―――――へ、き」
そうスカッドが応えたのに、そう?と目を覗き込んで、くしゃりと片手でスカッドの髪を掻き混ぜた。
「んん、きもちぃ、」
「でもそろそろ髪の毛やってもいいかな?じゃないとここで新年迎えそう。それでもいいけどさ」

きゅ、と甘えて目を閉じたスカッドの濡れた目元に口付けて、僅かに腕を伸ばしてシャンプーを手に取る。
最初はシャンプーされることを随分と恥ずかしがって照れていたスカッドだったけれども、とにかくスカッドに何かをすることがジェイクの至上の喜びだと知ってからは、好きにさせてくれるようになった。今でも、うっすらと目元は赤いけれども。
タブに溜まっていた湯を掬ってかけて髪を濡らしなおしてから、シャンプーを軽く髪に馴染ませ、そこから全体をまずは洗っていく。
「あ、職業。トリマーだ」
くすくすと笑って言ったスカッドの髪に両手を差し込んで、頭皮をマッサージするようにして揉んでいく。
「だったらスカッド専用エステティシャンとかのほうがいいなあ」
きゅ、と口を閉じて、頬までうっすらと赤めたスカッドの愛らしさにくすくすと笑って、ジェイクはのんびりとスカッドの髪を洗っていく。
「いっそ愛人。ラマン。どう?」
ふる、と首を横に振って、顔を真っ赤に染めたスカッドの泡に塗れていない耳の下にちゅっと甘く口付けた。
「スカッドはオレの全部だからなあ、形容するのに困る。説明することなんか、ないけどさ」
「ん、っ」
甘い声を零したスカッドの頬に鼻先で触れる。
「説明するのももったいないしな?」

する、と僅かに身体の位置をずらしたスカッドが、濡れた手で頬をとろりと撫でてくるのに、ふわりと目を細める。
「ジェイ、」
「スカァッド、そんなに甘い声で呼んでくれたら、ガマンできない」
笑って、あむ、と濡れた唇に口付ける。
「アワアワさんのまま、喰っちまうよ?」
あむ、と唇を啄ばみ返されて喉奥で笑う。
「まだリンスとボディマッサージがあるのに」
「んんん、」
すりすり、と唇を触れ合わされ、ジェイクは喉奥で唸るように笑った。
「スカッドは、時々かわいすぎて困る」
すう、とブルゥアイズが覗き込んできて、ぺろ、と濡れたスカッドの唇を舐め上げた。
「優しくしたいのに、乱暴に喰っちまいたくなるよ?」
「ぃいのに、」
「んー、」
甘く蕩けたスカッドの声が誘うようなことに、一瞬本気でこのまま喰ってしまおうかと思う。
けれど。
「―――――スカッドの髪に鼻先突っ込んでぐりぐりできないから、やめとく」
そう決断を下し、く、と手指が縋ってきたのをいいことに片手を離してシャワーに手を伸ばした。
「泡だらけでも無理なのに、」
「ジェロのぬるぬるした感触は楽しいけどね?」
きゅ、と唇を硬く引き結んで耳まで顔を赤く染めたスカッドの唇にもう一度口付けて笑った。
「だから、スカッドは可愛いんだってば。ほら、髪を流すから目を瞑って」

湯の流れるシャワーヘッドを引き寄せれば、何かを言いかけて口を噤み、目を閉じたスカッドの頭にお湯をかけながら指で梳いた。
柔らかな髪からシャンプーを落としつつ、ジェイクが言った。
「ほかほかになってスカッド、ただでさえ美味しそうなのに。そんなに真っ赤になったら、ガマンするのが大変だよ」

*2*

自分でしたなら、どれだけゆっくりやったとしても10分は掛からないだろうプロセスがジェイの手にかかると―――わからなかった。いつも途中で、スカッドは瞼が重たくなるのに抗えなかったから。
ヒトであったころより、ジェイクの場合はハーフデーモンであった頃のソレより、感覚は総じて能力が跳ねあがっている筈だったから、些細な日常の所作の全てが面白いとでもいうのだろうか、と最初スカッドは途方に暮れた。
ジェイクの手が気がつけば頬や額や項や、髪を撫でてくることは照れを押し遣ってしまえば自分も心待ちにするようになっていたけれど。明らかに変成した自分たちにとっては気分転換程度の意味合いしか持たない行為、例えば髪を洗うとか入浴するとか、そういったことにも、ジェイクの手を煩わせることをスカッドは、本当は由としなかった、当初は。
これ以上望むことは何も無いと思っているのに、あっさりと予想を裏切って幸福そうに微笑んでいるジェイクを見詰めて、そのうち我を押し通すことをスカッドは止めてしまった。
まるで子供じみていて本当に恥ずかしくて仕方ないけれど、甘えることを許してもらえばジェイクが酷く満足気に腕を広げて自分を包み込んでくれることに、スカッドは最初は緊張し、けれどもういまでは全身を預けきるように自然なまま投げ出して与えられる優しい愛撫めいた行為をぜんぶ、受け取っていた。
けれど、照れが無くなったかといえばそんなこともなくて。優しすぎるような口調に偶にどうしていいかわからなくなる。だから、普段はむしろ饒舌な方のスカッドが、言葉を無くしてしまいがちになる。
目を伏せて柔らかに身体を引き寄せられれば、体温を背中越しに感じてそのまま目を閉じてしまう。
魔法めいて、唇を肌に押し当てられれば。普段ならば、ほとりと身体の奥に、肌の下に焔が落とされるようであるのに、それはただ温かくて溜息が零れるほど柔らかなだけで。
高い天井に、ついた水滴の重たげに膨らんでいく音が遠く掠れて。ぐらりと意識が揺らぐ。
紡がれる言葉がただの音の塊りになって届いて。
水のなかでスカッドが僅かに腕を動かした。身体の横に添うように伸ばされた、ジェイの長い足、それに触れようと。
音階が、どこかキラキラとした色の塊りになって水面に落ちていき。じ、っとそれを。目を閉じているはずであるのに追いかける。
重なった体を通して、うっすらと笑ったらしいジェイクの響きが伝わり。それが指先にまで広がっていくかと思い。
ジェイ、と呟いたはずであるのに。唇が動いた様子は無かった。
す、と全てが暗がりに閉ざされる。
夢のない眠り。
ヒトでなくなってから持つようになったものだった。

そして、スカッドが知らずに閉じていた目を開ければ、もうそこは広い浴室ではなく。
昨夜からしばらくの間は「家」になる、部屋の。居心地の良い居間に据えられた寝椅子の上だった。
咽喉奥で擦れるような気がして、スカッドが声を出すのを一瞬、躊躇い。
指先が、まだ濡れたままの髪を梳いていくのがくすぐったくて、かすかに身じろいだ。
「おはよう?」
笑みを潜ませたジェイの声がする。
く、とスカッドが目を開けば。視界は甘い白に覆われていた。次いで、それが水を含んで重いままの髪を一筋ずつ拭っていくのに瞬きする。
部屋に備え付けの、厚手の麻とコットンの混ざったローブまでやんわりと着せ掛けられていて、その状態にスカッドがくすんとわらった。
照れ隠し。
浴槽で目を閉じてしまってからどれだけ時間が経ったのかは見当がつかない。
窓外の暗がりは、星を映しこんでいっそう煌くようで。
「ジェイ、」
そう節の蕩け落ちた声でスカッドが呼び。長く垂れかかっていた前髪をジェイの長い指が梳き上げていくのを眼差しで追う。
そして額に唇で触れられ、一層、言葉の端から蜜になって滴り落ちるような口調で、ゆっくりとスカッドが呟いていた。
「乱暴に喰ってい、から。起こして」

*3*

とろ、と蕩けた眼差しでスカッドが見上げてくるのにジェイクは微笑を返す。
「やだよ。蕩けさせる」
笑って、すり、と鼻先をスカッドの頬に擦りつけた。
さらに笑みを蕩けさせたスカッドが両腕で背中に縋ってくる。その細い身体をするりと抱き上げた。
「スカァッド、」
さら、と背中を撫で上げながら立ち上がり、ベッドルームへと向かう。
首筋に唇を押し当てられて笑った。
「吸いなよ、」
ふる、と首を横にスカッドが振ったのが、触れる唇の感触からも伝わってきた。
「やだ、」
「そう?いつでも飲んでいいよ」
くすくすと笑いながら、広いベッドの上にスカッドの身体を下ろし。そのまま覆いかぶさるようにして顔を覗き込む。
する、と自分からローブを脱ぎ落としていくスカッドの唇を、あむ、と啄ばんだ。
「血のキスは?」
ほしい?と目を覗き込みながら、するりと片手でスカッドの剥き出しになった肩を撫でる。
とろ、と重ったるい吐息混じりに、スカッドが首を横に一度だけ振った。
「じゃあもっと後でかな」
くすくすと笑ったまま、舌先を口中に潜り込ませた。そのまま丹念に歯列や口蓋や舌を辿って味わっていく。

手でするりと平らな胸を撫で下ろした。
心音は響かないけれども、呼吸を繰り返すのが手を伝って届く。
「ん、ん」
甘い声に僅かに口端を吊り上げ、甘い舌を吸い上げた。
指先は小さな尖りを見つけ出し、それをそうっと押し潰すようにすれば、敏感なスカッドがうっすらと肩を浮かせて、指先で縋ってきた。
とろとろと深く口付けたまま、小さな尖りを指先で捏ねる。
「んん、っ」
くぐもった声を上げたスカッドの指先の強さにまた僅かに笑って、反対側の手で脇腹からヒップまでのラインを堪能していく。
さらに背中を浮かせたスカッドのそこに手を滑り込ませて、背骨に沿って掌で撫で上げ。ふる、と震えたスカッドの声が聞きたくて、口付けを解く。
くう、と背骨からヒップまで掌で辿り戻って、細い腰をきゅっと握った。
「ジェ…、」
声を途切れさせ、深く喘いだスカッドの尖りをきゅっと指先で抓んで、頤を軽く食んだ。
「スカッド、まだ熱いままだね」
囁いて、かり、と軽く肌に歯を掠めさせた。
「ぁ、ア」
ひく、と身体を跳ねさせたスカッドのボディラインを掌で辿り、脚を開かせ、腿に手を滑らせていく。
「ジェ、イ。ジェ…、」
甘い声で強請ってくるスカッドの首筋を強く吸い上げながら、く、と小さな尖りを抓るようにした。
「ん、っぁ」
スカッドだけにローブを着せ掛けていたから、むき出しのままの下半身を、スカッドのそれにくうっと押し当てる。
「でももっと、熱くなって」
きゅう、と眉根を寄せたスカッドの首筋をてろてろと舌先で辿り降りながら、開かせた足をさらに高く引き上げさせた。既に熱を持った屹立同士を、ぐ、ぐ、と滑り合わせる。
「ァ、っあ」
甲高い声のスカッドに口端を吊り上げ、かり、と軽く肌を歯で掠める。
びくりとスカッドの身体が跳ね上がり、さらに下肢を押し合わされて、ジェイクは喉奥で唸った。
小さな尖りに触れていた手を滑らせて、当たる中心部を揃えて握りこむ。
「キモチイイ?」
きゅ、と合わせて絞って、ジェイクが笑った。
「ん、ん」
むずかるように喘ぐスカッドの喉仏の下をきつく吸い上げた。そのままゆるゆると腰を揺らす。
きゅ、とさらに手指が縋ってくるのに笑って、とろとろと細い脚を掌で辿る。
「ジェ…ィッ、咬ん――――――で、」
鳴きそうに瞳を潤ませて言ったスカッドに、んん、と喉奥で笑って、くうっと太ももを撫で上げた。
「ぁ、あ」
そして、首筋に牙を滑らせてから、期待に声を揺らしたスカッドの肌に歯を立てた。ぷつ、と皮膚が裂ける感触が僅かに届き、そのままぐぐっと歯が潜りこんでいった。
ぶるぶる、とスカッドの身体が震え、くう、と軽く緊張する。
「――――ぁ、っぁ、」
甘い声を上げたスカッドの血が、ふわ、と口中を満たしていき。それと同時に掌と屹立に熱い飛沫がかけられて、喉奥で唸る。
きゅう、と軽く吸い上げてから牙を引き抜き、震える肌を舐め上げて、傷を覆う。

「も、ぉっと、ジェイ」
ぼろ、と涙を零したスカッドの鎖骨まで舌先で辿っていき、ぬちゅ、と手の中の濡れた屹立を捏ね繰り回す。
「ん、っく」
甘い喘ぎ声を上げたスカッドの片足をさらに開かせるように押し上げながら、とろ、と身体を僅かずつ下に落としていく。
「ゆっくりな、スカッド。まだ夜は長いよ…?」
諭すように告げながら、軽く鎖骨を歯で掠めて薄く血の線を引く。それをすぐに舌先で拭い取れば、さあ、と真っ赤に肌を染めながらスカッドが言った。
「だ、って――――ず、っと。欲しかっ…」
「ん、オレもずっと欲しかったよ、スカッド」
甘えて告げて、ぺろりと鎖骨から肌を舐め下ろしていく。
スカッドが零した体液に濡れた手を浮かせて、開かせた足の間に滑り込ませた。
甘く喘いだスカッドの小さな尖りのほうまで舌で辿りながら、とろ、と奥の襞に濡れた指先で触れた。
「ん、く」
ひく、と下肢を揺らしたスカッドに、くすくすと笑う。
「ここ、もう潜らせていい…?」
指先で蠢く襞に触れながら、ちゅ、ちゅ、と胸の肌を吸い上げていけば、ジェィ、と甘えたスカッドの声が響いてきた。
ゆる、とまた下肢を揺らしたスカッドのそれが重なった下腹部に触れて、ジェイクはくすくすと笑った。
「スカッド、息は詰めないで」

漸く到達した尖りを舌先で掬い上げながら、すっかり開くことを覚えた背後にそっと濡れた指を差し込んでいく。
ぬぷ、と迎え入れられて、その体内の熱さに喉奥で唸った。
てろてろと舌先で尖りを舐め弄くりながら、スカッドの狭い体内を指先で辿っていれば、く、とスカッドが下肢を強張らせていた。
揺れる息を零したスカッドの腿にちらりと視線を投げやってから、尖りをきゅうっときつく吸い上げた。
「ア、ぁ…ッ」
きゅ、と体内にきつく絞られて、ジェイクが笑った。
「スカァッド、「」
甘く名前を呼んでから、ちゅく、と尖りを吸い上げ。そのまま、ぬく、ぬく、と指を小刻みに動かす。
ふる、とスカッドの細い体が震えて、尖りを前歯で挟む。
「ジェ、ァ、ンんっ」
きゅ、と内側が指を飲み込むように蠢き、ジェイクは深く熱い息を吐き出しながら、かり、尖りに歯を掠めさせる。
「スカッドの声、とても好き」
笑うように言いながら、指を縁まで引き抜きにかかる。
「っゃ、あ、ヤ、ジェィ、っ」
甘く切羽詰まったようなスカッドの声に、大丈夫だよ、と返しながら二本目の指を揃えて入り口に押し当てた。
震えた身体を体重で押さえ込むようにしながら、両手で縋ってきたスカッドの体内に揃えた指をゆっくりと押し込み始め。ひく、と喉が鳴るのを聴きながら、舌先で尖りを捏ねる。
「――――――んぁ、あぅ」
喉を反らせたスカッドの体内にゆっくりとそろえた指を押し入れながら、ぷっくらと膨らみ始めた小さな尖りに牙の先端を押し当てた。
く、と軽く顎に力を入れて、ほんの少しだけピアスさせる。
「ァア、ア、っ」
ふるふる、と身体を震わせ、腰を揺らしたスカッドの体内をぐちぐちと擦り上げつつ、口中に広がる血の味に喉を鳴らして、く、と吸い上げた。
「ィ、ア、っ」
びく、と身体を跳ね上げたスカッドが、きゅう、と指を締め付けながら熱い飛沫を腹に散らしたのを感じ取る。
ちゅく、ちゅ、ともうほんの僅かだけ、血を吸い上げてから舌先で傷跡を塞いだ。
息も上がり、浅い呼吸を繰り返すスカッドの尖りを口から離して、ちゅ、と心臓が今もある場所の上に口付けた。
きゅう、と髪に指を差し入れられ、くしゃりと乱されて喉奥で笑い。ぬくぬくと奥を指で書き混ぜながら、わずかに浮かした唇で熱くなった肌を吸い上げながら降りていく。

「スカッド、」
甘く囁いて、散った蜜を舌先で舐め取っていけば、ゆら、と濡れた青が合わせられてジェイクが口端を吊り上げた。
「甘くて、オイシイ」
きゅ、と困った風に目を細めたスカッドのブルゥを見詰めたまま、てろ、と舌先で白濁した蜜を掬い上げた。
「ん、っ」
「スカッドの血の次においしいね」
少し背中を浮かせたスカッドの内側を指で広げるようにしながら蠢かせつつ、肌を掬い上げるようにして舌で腹部を舐め上げていく。
ふる、と震えるスカッドの中心部の根元まで舌で辿り、そこをきゅうっときつく吸い上げた。
「――――――ア、」
くん、と跳ねるように弾きあがった腰を空いていた手で捕まえて、きゅう、と握った。とろ、と雫が零れ落ちたのを舌先で捕らえてから、全体をきつく啜り上げる。
「ジェ、イ、」
そう蕩けて甘えていた声が、次の瞬間には、
「――――ぁ、あン、ア、」
そう甲高いトーンに跳ね上がった。
「きついまま、埋めちゃおうか?それともとろとろに蕩けてからがいい…?」
舌で熱く張った中心部を舐りながら訊けば、くう、と腰を強張らせたスカッドが背中を浮かせていった。
「溶かし…、」
喘ぐみたいに言ったスカッドが、途中で声を掠れさせ、かあっと真っ赤に顔を染めていくのをちらりと見上げながらジェイクが微笑んだ。
「ん。じゃあいっぱいとろとろになったら、中を味あわせてね」
そしてそう軽いトーンで告げながら、ゆっくりとスカッドの屹立を頬張っていった。

*4*

ゆらりと、部屋の四隅に向かって下げられていたランプからとりどりに伸びていた灯りが滲み、浅く息を取り込もうとしても。咽喉を締め付けるように嗚咽が競りあがってきてそれさえも覚束なくなって、また眦から涙が伝ったようだった。
「――――――っん、…ぁ、」
手を伸ばして目元に触れてみても、熱くなりすぎた手指と、頬と、肌と。混ざり合って境目がわからなかった。
とろりと濡れた感触だけが分かる。
掌を握り込もうとしても、びくりと肩が跳ね上がって上げた視線の先に引き上げられた下肢があった。
「ジェ…、」
膝裏にやんわりと添えられた手指の熱に焼けそうに思える。高められ続けて、濡れた中心を強く掌に滑らされてスカッドの声が引き攣れかけ。震えるようだった身体がもう僅か膝裏で押し上げるようにされて、首を横に振り。はさりと垂れ落ちた髪がリネンを柔らかく叩いていっていた。
「――――――っぁ、も……」
ぐ、と一層上げられた膝から腿にかけて、ふわりと吐息が掠めるのを感じ、スカッドが手を引き上げようとしたなら軽く牙先が肌を穿っていき。
「あッ、んァ、っ」
下肢が跳ね上がり、ジェイの手のひらの内で濡れた音が立てられていた。それはけれど止まずに、スカッドが伸ばした手で自分の腿を引き掴むように思わずすれば。ジェイクの熱い舌先が穿った痕を辿っていくのに、びくりと身体を強張らせた。
「ぁ、ジェ…ぇ、あ、」
きゅ、とそのまま手を握りこむようにし。ジェイクの手の中で熱が弾けかけ、衝動を押し止められるのを感じまた涙が勝手に頬を濡らしていき。泣いて意識が揺れるほど時間をかけて綻ばされた奥に、自身の体温より遥かに高い熱を感じてびくりとスカッドが肩を揺らしていた。

「ひ、ぁッ」
焦れたような奥を幾度も濡れた熱に押し上げられ、擦り上げられ。それでも割り開き埋められないことにスカッドが泣き濡れた瞳を一瞬きつく閉じていた。
「――――――ジェ…ぇ、やぁ、だ」
ふわりと空気の動くのを感じ、声が揺れる。
心臓の上に、唇が落とされてスカッドが言葉にしていた。
「もぉ…がまん、」
そう告げて、喘ぎを抑えきれずに息が弾みかけるのを、腕で目元を一瞬隠して涙を拭って。
「やだよぉ、」
泣き声交じりに、絶え絶えに訴える。
「ぁ、ッ」
ぬるりと尖りを濡らされて、その熱さに目を開けていられなくなる。視界が色をなくしていきそうで、喘ぎ。ジェイクのブロンドに指を突っ込み、きつく握り締める。
短い、しなやかなソレが指の間をすり抜けていくことさえ震えに繋がってスカッドが小さく身体を震わせていた。
「んンン、」
ほと、とまた頬が濡れていくのに、ジェィ、と縋るように名を呼んで。
「欲しいって言って?」
酷く場違いなほどに甘やかな声が耳を擽っていくのに、スカッドがぎゅ、と手指を握り締める。
「ジェ、―――――ふ、あンん…っ」
濡れた熱さに、擽るように押し潰されていた尖りが舌先で掬い上げられ、きちりと歯に挟まれ。スカッドが耐え切れずに背を浮かせて声をあげ。リネンを押し下げた脚は宥めるように撫で上げられていた。
幾筋も光の矢が見えた気がしても、それは長く伸びた灯りの束で。滲んだ視界と冴えすぎた視覚の所為でプリズムめいて光り、くぅ、とスカッドが咽喉を鳴らしていた。
「ジェー…、ほし、よぉ、」

精一杯腕を伸ばして、ジェイクの肘上に縋り、指を回し。
「ず、っと…とけてるのに、…っ」
ん、と喉奥で唸るように返され。ジェイクの腕に縋った手指に力を込める。
ぐぅ、と体重が乗せられ、スカッドが息を押し出し。知らずに仰け反った首元にふつりと牙が肌を裂いて埋められることにぐらりと酩酊する。
「ァ、ア、ッア」
押し開き、熱が濡れた狭間を割り入る厚みに、貫かれていくことに身体中の血が滾り、金色に弾けていくかと思いスカッドがきつく目を瞑っていた。
「ェイ…っ、」
ん、と声が押し出されていく。自分から脚を開き、もっと下肢が重なるように、深くまで割り入って欲しくて全身で縋りつくようになる。
「――――――ぁ、っあ、っ」
ひく、と内が蠢く。深くまで埋められて、ギリギリまで拓いて。
「っひ、ぅ」
耐え切れずに、喘ぎ。首筋に埋められたままの牙と、肌を吸い上げていた唇と舌に涙が零れ。
「ぁ、ぁあ、ャッ、ァ」
肌を裂き肉を埋めていた尖りがゆったりと引かれていくのに、腰奥から痺れが走り抜ける。
「ぁ、ァア、んんっ…」
つ、と牙が抜かれた刹那、自身の熱が弾け。どろりと熱い蜜が下腹を濡らしていき。ジェイクの舌が牙の穿たれた痕を往復していく間にも、蜜を押し出し。
ジェイクの手が、自分のソレを掴むのを茫、とした意識が拾い上げ。固く結ばれた手が、リネンに、自分の顔横に押し付けられたのを感じた。
「――――――ぁ、」
スカッドが、ジェイ、と言葉に乗せようとした。けれども。
「ぁ、っあ…!」
内側をきつく熱に擦り上げられ、叶わなくなる。押し付けあわされた体の間から、頬の染まるような音が引き起こされてスカッドが喘ぎ。掻くことはせずに、指裏をきつくジェイクの背に埋め。
「スカァッド、」
耳元に声を落とされ、耳朶を含まれて。震え。
「ぐ、ッしゅ、てぃう、の…やだ、よぉ、」
そう泣き声交じりに訴え。
「スゴく、イイのに」
笑みを潜めた声が、それでも上りかけてジェイクが答え。熱い吐息を耳元で零され、一層スカッドが震えていた。
「ぁあ、ア」
突き入れる動きは緩やかに高まっていき、音は耳を占めそうになり。
「ジェ、」
息を吐く合間に音に乗せ掛ければ、熱い舌先が耳朶を擽り、狭い孔に潜り込んでき。
「んんぁ、っ」
スカッドが全身を強張らせていた。

きくりと緊張した身体を、けれどジェイクが片手に尻肉を掴み引き上げさせ、腰を尚も突きいれ、濡れた音を立てて穿ち。差し入れた舌で直に幾度も濡れた音を閉じ込め、柔らかな耳朶を吸い上げ。
「ぁ、あ、」
きゅ、と苦しげにスカッドの眉根が寄せられ、けれど繋がれた手指は必死に力を込めており。
「ジェ、ぁ、きもちぃ、」
とろ、と蕩け落ちそうなブルゥグレイがジェイクの眼差しを捕えようとゆらりと揺らぎ。火照って濡れた唇が、笑みの容を取ろうと引き伸ばされ。
「ほし、よぉ―――」
くぅ、と始めて、ジェイクの背に爪を立てていた。
ジェイクが咽喉奥で低く唸り。零れ出る限界まで熱が引き出され、スカッドが喘ぎ。
一際、穿ち入れられ、背にきつく縋れば。内側から蕩け灼け落ちるかと思う滾りが身体の深部に迸る。
「ひ、ぁ―――、ッ、」
スカッドの背がリネンから浮き。身悶えるように熱に染まった身体がジェイクに縋り。掻き抱いて、幾度目になるかわからない熱を零していた。

*5*

荒い息を吐いて身体の力を抜いたスカッドの頬に口付けた。
そのまま唇をずらして、涙が零れ落ちたままになっている目尻から滴を吸い上げる。
抱く度に、スカッドのことが好きになる。より一層。
今で最高だと思うのに、必ずその先がある。

さら、と前髪を掻き上げて額に唇を押し当て、鼻先を擦り合わせた。
「スカァッド、」
とろ、と涙に潤んだブルゥアイズが見上げてきたのに微笑みかけて、あむ、と唇を啄ばんだ。
「濡れてる音が嫌って?」
んん、と頷いて、するすると額で懐いてきたスカッドの髪をさらさらと撫でた。
ふわ、と腕が首に回されて、きゅう、と抱きしめられる。
体温の上がった身体がイトオシイ。スカッドに熱をあげられることは、ジェイクにとっては嬉しいことのひとつだから。
柔らかく唇を啄ばんで、それから軽く舌先を潜り込ませる。とろとろと唇の狭間を濡らしながら、柔らかなクセ毛を指で梳いてその感触をいとおしむ。
きゅう、と背中に指先が埋められ、脚を絡め取られて笑った。
下半身の体重を預け、ほんの僅か、押し上げるようにすれば、ぬちゃ、と濡れた音が小さく響いた。
「いいオトなのにね?」
顔を覗き込めば、きゅ、とスカッドが眉根を寄せていったのに笑った。
「待ってて」
赤く染まった目元を見詰めながら甘く唇を啄ばみ。それから見上げてくるブルゥアイズに視線を合わせたままゆっくりと体積をスカッドの内から引き抜く。
「―――――ぅん、っ」
ぱたりと落ちたスカッドの手がきつくリネンを握り締めるのを、その上から掌で包み込み。そのままゆっくりと下へと唇で辿っていく。
途中、鎖骨や心臓の上やアバラの上などに口付けを落としながら、スカッドが零した体液に濡れた場所までゆっくりと降りていく。
ぴくん、とスカッドの指先が跳ね。ジェィ…?と掠れた声で呼びかけられるのに視線だけを跳ね上げる。
そして視線を合わせたまま、てろ、と舌先でスカッドの蜜を掬い上げた。

「ん、ッ」
「スカッドが嫌なら、全部食べる」
かし、と軽く跳ねたスカッドの肌を齧って、またてろりと舌全体で白濁した体液を舐め取っていく。
「ぇ、…ぅあ、」
焦ったような声をあげたスカッドのトーンにくすくすと笑って、はぐ、と肌を甘く噛んだ。
「おいしぃ」
髪にきゅうっと指で縋られ。すっかりと力を取り戻して頭を擡げたスカッドの屹立の先端に、じわ、と滴が盛り上がるのを見詰める。
割って入ったままの脚がひくんと跳ね、身体を軽くノックしてくるのを感じながら、平らな腹の上全体を、てろりてろりと舐めあげていく。
「ん、っぅ、」
そろ、と手を滑らせて開かせたままの足を捕らえ、ゆっくりと撫で上げた。
「スカッドは甘くておいしぃ」
最後に臍の中を舌先で抉るように舐めてから、ちょん、と腹にキスをした。
「どうしてなんだろうね?」
こく、と息を呑み、荒く喘いでいるスカッドに視線を遣ってから、空いている手でスカッドの屹立を捕まえた。
ちゅ、と先端に口付け、それから奥深くまで口腔に納めれば、くぅ、と背中を浮かせたスカッドが、
「あッ、ぁ」
そう甘く蕩けた嬌声を零していった。
とろとろと舌先を絡めて先端から蜜を抉り出すようにしながら、強弱をつけて扱いていく。
「――――ふ、ッ、あ、ぁ」

きゅう、と肩にずれた指先がきつく握り締めてくるのを見上げながら、脚を抑えていた手を滑らせて開きっぱなしの奥に指先で軽く触れた。
「ココは、どうしようか?」
一瞬唇を浮かせて訊けば、さあ、と更に顔を赤く染めて、きゅう、ときつく唇を噛んでいるのが見えた。
ちゅく、と屹立の先端を吸い上げてから、ジェイクは唇を吊り上げて笑った。
「ああ、オトがした」
くち、と収縮する襞が濡れた音を響かせたのを聞き漏らさずに、すり、とスカッドの腿に頬を摺り寄せた。
「ぅ、あ…、ぃうな、って―――!」
「ちゃんとするよ?」
顔から胸まで真っ赤に染まったスカッドが、ブルゥアイズを泣き出しそうなまでに潤ませていた。
ふい、とジェイクは笑って、ぺろりと舌をなめずった。そしてそのまま開かせたスカッドの奥へと顔を落とし、収縮する襞を軽く吸い上げる。
「いっぱい濡れてる」
「ぁ、ア」
濡れた屹立を緩く擦りあげながら、色付いた声に焦りを滲ませているスカッドの奥を指で軽く開かせる。
「ぁ、ジェ…、っ」
きくん、と膝を揺らしたスカッドに構わずに、てろりと内側に舌先を伸ばした。
てちゅりくちゅりとゆっくりと舌で内側から縁にかけて舐めあげながら、収縮する度に零される体液を啜り。手指でぬくぬくと屹立を揉みつつ、直ぐ下の精嚢を親指で撫で上げる。
「っあ、ぁあ、ッ」
腰を捻り、踵でリネンを押し上げるスカッドが、新しい涙を零していくのが聞こえる。
「ジェ、ァ、ぁあ、」
返事の変わりにてろりと縁を舐めあげ、それからゆっくりと揃えた指を差し込んでいく。
きゅう、と指を締め付けられ、その拍子に滴が押し出されてきたのを舐め取った。

「っは、ぁ、ア…っ」
「スカァッド、全部真っ赤だよ?」
きゅ、と掌で滴を零していた屹立を擦りあげて、涙を零しながら見詰めてきていたスカッドににこりと笑いかけた。
「ここも熟れておいしそう」
ちゅ、と張った精嚢に口付ける。
きゅう、と指を締め付けられて、ジェイクは目を細めた。
荒く喘いだまま見上げてくるスカッドの精嚢を口中に引き入れ、はむはむと唇で食み。ゆるゆると指をきつく締め上げられている内側で蠢かす。
びく、と身体を跳ね上げたスカッドの手指が、項といわず耳といわず、ひっぱりあげるようにしてくるのにくすりと笑った。
「もういい?」
泣き濡れたブルゥグレイの双眸が縋るように見上げてくるのに視線を合わせたまま、唇を浮かせてスカッドの開かせた脚の付け根にそうっと口付けた。
僅かに身体を引き上げたスカッドの身体を押さえつけるように、柔らかな腿にゆっくりと深く牙を埋めていく。
「ア、ッ」
きゅう、と内側が指を締め付けてくるのに、指先でゆるゆるとスカッドの感じる場所を擦りあげる。
びくん、とスカッドの身体が跳ね上がり、背中が弓なりになっていった。
強張った脚に唇で口付けるようにしながら、一口、二口、と血を吸い上げていく。

「―――――ぁ、ァっ、あ…ン、ァッあ」
びくびく、とスカッドが小刻みに腰を跳ね上げ、熱い体液が首筋や肩に散ってくるのを感じ取る。
宙に浮いていた手が波打つ腹の上で握り締められているのに目を遣り、押しとめようとしていたことに気付いて微笑んだ。
ゆっくりと唇を浮かせて、穿った痕を舌先で舐めあげて塞ぎ。ゆっくりと上体を引き起こした。
「スカァッド、」
くたりとリネンに崩れ落ちていたスカッドの背中の下に片腕を回し、ゆっくりと指を引き抜いた。
ほろほろ、と涙を零してぼうっと天井を見上げているスカッドの濡れた頬に口付け、首筋に鼻先を押し当てる。
「スカァッド、」
声も出せずに、僅かに唇を戦慄かせたスカッドの耳元に唇を押し当てて囁く。
「言葉が思いつかないくらい、愛してるよ、」
ふにゃりと笑って、両腕でぎゅうっと細い身体を抱きしめ。僅かに牙を覗かせていたスカッドの身体をゆっくりと引き起こした。
くってりと体重を預けてきたスカッドの身体を抱きしめて、僅かに首を傾げた。
ゆっくりとスカッドの双眸が合わされ、どこか驚いているようなスカッドを見詰めて笑った。
「いつもそうだから、上手く言えないケド。いつもそう思ってるよ?」
そろ、とスカッドの熱い指が額を撫でていき、そのまま頬を包み込まれた。
「スカッドの名前を呼んでるだけで、幸せなんだよ」
ふにゃりと笑ったまま、ちゅ、と柔らかくスカッドの色付いた唇を啄ばんだ。
「スカァッド、」
こつ、と額を押し合せる。
そうすれば、間近でぱち、と瞬いてから、蕩けそうに甘く優しい笑顔をスカッドが浮かべた。

「とけちまぅ、埋めてて、」
蕩けて掠れた甘い声に笑みを深めて、ゆっくりとスカッドのヒップを両手で掴んだ。
「あんたがなかにいないと、おれなくなっちまぃそう、」
くてりと両腕をジェイクの背中に垂らして体重を預けてきたスカッドをゆっくりと引き上げた。屹立を開きっぱなしの襞に押し当てて、少しずつ腕の力を緩めていく。
ず、と屹立が飲み込まれていき、ハ、とジェイクが短く息を吐き出した。
ずず、ず、と最奥まで屹立が飲まれていき。ぎゅう、と締め付けられることに目を閉じて、スカッドの首筋に額を押し当てる。
そろ、と腕を下ろしたスカッドの手が、とろとろとジェイクの屹立が埋められた先を撫でていくのに、すり、ともう一度額を押し当ててから、顔を上げる。
きゅ、ときつく肩に口付けられ、首を横に傾けた。
「スカァッド、飲んでみて」
ヒップから片手をずらして、滑らかな背中を撫で上げる。
「オレの血は、どんな味がするか教えて?」
とろとろと首筋や肩に口付けられて、きゅう、と残したままの手のほうでスカッドのヒップを揉んだ。
「咬んで、呑んで、それで教えて?」
びくん、と身体を跳ね上げたスカッドの肩に頬を押し当てる。
くう、と身体の間のスカッドの屹立が腹を押し上げてきているのに気付き、そろりと背骨に沿って指で辿った。
ゆっくりと首の付け根を尖った牙が裂いていく感触に、きゅ、とジェイクは目を瞑った。そして、ゆっくりと血が吸い上げられていくのを、ざあ、とするような音と共に感じ取る。
背骨の付け根が熱く焼かれるように感じ、閉じたままの視界が瞼の裏でちかちかとしているように思える。

ゆっくりと牙が浮かされていき、てろりと熱い舌が押し当てられた。
はふ、と息を吐いたスカッドの背中をゆっくりと撫で上げて、ジェイクはぶるりと身体を震わせた。
とろ、と目を閉じたまま、スカッドが頬に頬を押し当ててくるのに任せて、快楽が隅々まで広がっていくのを感じていれば、ゆっくりとスカッドが腰を揺らしていた。
「…スカァッド、」
低く笑うように名前を呼んで、そうっとスカッドの身体をリネンに下ろした。
ぐう、と腰を押し付けてきたスカッドの首筋に鼻先を埋め、腰を押し付けてきたスカッドの脚を片腕で引き上げるようにしてから、ゆっくりと腰を突き入れた。
そのまま衝動のままに、ゆっくりとリズムを刻み始める。
「ジェ、ィ…ぅんと、キつくシて――――?ネジ、飛んじまうくらい」
はふ、と息を吐き出したスカッドの蕩けきった声に、ジェイクはふにゃりと笑って優しく首筋に唇を押し当てた。
「ンー…」
ぐ、ぐ、と腰を強くきつく突き入れながら、ジェイクが甘えてスカッドの首筋を食んだ。
「ぉねがい、」
「んー、」
早いテンポを一瞬緩めて、ジェイクが苦笑を零した。
「今日が何の日か、スカッド忘れてるね…?」
ぐちゅ、と音がするほどにスカッドの内側を屹立で掻き混ぜて、ぐ、ぐ、と短いスパンで突き上げた。
くう、と指が背中に縋ってき、短く吐息を継ぐスカッドが、とろ、とした眼差しで見上げてきて瞬いた。
目尻に乗った涙を吸い上げ、膝がリネンに着くまで脚を引き上げさせながら、ぐ、ぐ、とリズミカルに腰を突き入れる。
「もうちょっとしたら、解るよ?」
ふにゃりと笑いながら、深くきつく腰をグラインドさせる。
「あァ、っぁ、ン…ッ」
きゅう、と強く指に縋られ、目を閉じたスカッドの目の端を涙が零れ落ちていった。
荒く喘ぎながら唇を舐めあげ、とろ、と視線を引き上げてくるスカッドを追い立てるように、腰を突き入れるリズムを早めていく。
「ぱ、し、ぱしん、ってスパーク、する、」
「…それって、今?…ああ、血の味か、」
ふにゃあ、と笑ったスカッドの子供のようでいて、色付いた笑顔を見詰めてジェイクも目元をくしゃりと細めた。
こくこく、と頷いたスカッドが、
「―――――すき」
そういうのに、ジェイクが喉奥で唸り、唇をスカッドの口許に押し当てた。
「ジェ…、きて、」
喘いで囁いたスカッドの内側を、がつがつと突き上げていく。

とろ、と差し伸ばされた舌を捕らえ、絡めて啜り上げながら深く浅くグラインドを繰り返す。
ん、ん、と口中で嬌声が押しとめられ、それごと呑み干しながらぐっちぐっちとスカッドの内を擦りあげていく。
全身で愛しているといわれているのが解る。血の味からもそれが解る。
牙を埋められ、その時に届く感情の波でも、愛されていることが伝わってくる。ただ、腕を回して抱きしめている時も、こうして身体を重ねて総てで繋がりあおうとしている時も。

ぎゅ、ぎゅ、と貪婪に搾り上げてくる内側を突き上げながら、このまま気付かなかったフリをして流してしまおうかと思う。
けれども、外の気配がいっそう華やいでいくのがわかって。ぐう、と一際強く突き上げてから、腰のリズムを押し止めた。
深く貪るように唇を合わせてから、とろ、とキスも解く。
ゆら、とスカッドの腰が揺れ、きゅう、と締め付けられてジェイクが笑った。
それから、困惑した表情で見上げてきたスカッドの額に額を押し合せた。
「――――――な、ぁ…」
「ヘィ、窓の外、見てみな?」
びく、びく、と自分の屹立が不満げに跳ね上がるのを押し止めながら、きゅう、と首筋に顔を埋めてきたスカッドの頬に口付ける。
くう、と脚が腰を抱き込もうとしているのを、掌で撫でてから押しとめる。
「ほら、サン、ニ、イチ…」
カーテンもガラスも開かれたままの窓の外で、ぱあ、と明るい火の花が散り。その一瞬後に、ドーン、と炸裂音が届いた。
ぱらぱら、ぱらぱら、と火が弾けながら夜空に大輪の花を咲かせていく。
ふる、と身体を快楽に震わせていたスカッドが、びくりと身体を強張らせ、肩を跳ね上げていた。
くすくすと笑って、ジェイクがスカッドの頬を掌で包んで、その突然の花火の音に驚いて瞳孔が縦長に伸びたブルゥグレイの双眸を覗き込んで囁いた。
「ハッピーニューイヤー、スカッド」
自分と在るだけで、これほどまでに無防備になってくれるスカッドのことを心の奥底から愛しく思いながら、ジェイクは柔らかに微笑を浮かべた。
新年を迎えることなどどうでもよかったけれども。過ぎ去った時間の分だけスカッドを愛せていることが、酷く嬉しかった。

*6*

突然の光と音にスカッドの身体が硬直し、一瞬後に強張り。緊張の解ける前に、開かれていた感覚が何の予兆も拾い上げていなかったことに酷く驚いていた。窓の外、外界から響いてくる全てのものに対して。
雑踏から立ち上っていくる全ての物音と、閉ざされた窓の内側からの音、港に停泊されている船に波が当たって散っていく音さえ、流れ込んでくるようであるのに。
光の粒が空を焦がしていくさまと、長く尾を引いて弾けていく流れとが拡がり、窓から切り抜かれているよりもっと大きく頭の中に光景と音と光が拡がる。
意識をそっちにもっていくように誘導されて、急にソレに気付かされ両極端な感覚にスカッドがびくりと身体をまた震わせた。
視界が、窓外の光と同調して発光するようで。ぐるりと感覚に呑まれかける。
指先まで満たしていく甘ったるい痺れや血の一滴一滴が重く滑りを増したように煮詰められたように思える中、尖った光の粒さえ体内を走り抜けるようで喘ぎ。
ぎり、とスカッドが足指で知らずにリネンを引き下げていた。迷路のように入り組みあった街路から熱気が上ってく様さえ目に出来そうになる。引き伸ばされた感覚がけれどジェイクにだけ向かうようであったのに。
混ざり合って目眩がし。スカッドが困惑し、混乱したままにまた意識を満たしていく光の雨に眉根を寄せていた。
呼吸を間近に感じ、熱く零されるソレに喘ぎ。内を押し上げてくる灼熱にこのまま焼け死ねたらいいのにと刹那思う。
年月が意味を持たなくなって、時間などとうに曖昧で。地理もあまり意味を成さなくなった。ヒトであることが出来なくなった瞬間から、それは続いていたことだけれども、「飢える」ことが無くなってからはそれが深まった。
急な驚きと本能的に畏怖した所為で、瞬く間に細くなっていた瞳孔がゆっくりと戻っていくけれども、空に音が溢れるたびに息を呑み、震え。冷えた指先がジェイクの腕に埋められる。
知らず竦むようだった首元から、耳元に唇で触れられて僅かに息を零し。言葉の意味が漸く追いついていた。歴の上では、一年が新しくなったらしい。
遠い出来事。

熱い息を零し、スカッドが瞬きした。
耳朶を軽く穿たれ、ずくりと腰奥から熱いうねりが波打つように感じ。薄く唇を開き、息を呑む。
「――――――ジぇ、ぃ」
声が掠れて、途切れかける。
時間にすれば、最初に空を光が満たして弾け、流れてからはほんの数秒であっても。その一瞬一瞬が引き伸ばされていたように思える。
ヒトの営みは自分たちの周囲を驚くような速度で流れていくのに。
もう僅か指に力を込め、その身体を引き寄せるようにした。
「そんなの、いらない」
吐き出す息に混ぜてスカッドが告げた。
なにが、と問いかけを耳元で落とされても答えずに、片腕をジェイクの首に回していた。
名前だけ呼んでいてくれればいい、とだけ内をきつく穿たれて切れ切れに唇に登らせ。低い、咽喉奥から洩れるような唸りめいた音に浸されていき。
「――――――っぁ、は…ッァ、」
引き起こされる波に、意識が刹那空白になる。
体内を深くまで貫いていく熱は、刃のようで。内側から肉を切り開かれてとろりと蕩けて捲れ上って。血と蜜が滴り落ちるイメージ、それが広がる。引き出されて、包み込もうとし。割り開かれてもっとと強請り。
熱に喘ぎ、焦れて。身悶えても、傷つけられることは無くて。スカッドが縋るように首に回した腕に身体を一層引き上げるようにする。
終わりたくないよ、と呟く。
色味を深く変えた蒼がジェイクをとろりと見詰め。きつく腕に抱き締められて、喜悦に満たされたような吐息を零し。
「もっと、たくさん。あいしてる、って言ってほしぃよ」
そうされることは、きっと難しいことも解っていて告げる。
響くように感じていることだから。けれど、小さな我侭を繰り返し、舌に乗せるのはとても甘い。
「――――――ァ、」
一層深く穿たれ、声が千切れかけ。突き入れられた熱を身体中で受け止めることができればいいのにと刹那思う。

視界を充たしていく光が消え去って、窓外は暗がりに戻り。自身の内側に拡がり、充たすものにだけ取り込まれる。
背を撓めたくなるほど抱きすくめられ、考えられないほど深く貫かれ、繋がり。名を呼ばれて酩酊する。
腕を外し、まだどこか冷たいままの指先を唇に含み、穿ち。舌に落ち一瞬で充たしていく血の香りに咽そうになる。
もう僅か、深く肉を裂き。赤く濡れた指先を、ジェイクの唇に沿わせ弄り、そのラインを辿っていく。
「ァ、は。ジェィ、あんた―――」
うっとりと呟く。
「おれ、だけで。おなか、いっぱいになれたらいいのに」
く、と唇の間に濡れた指先を押し込み。そろりと甘く熱い舌を弄り。全身で、ジェイクに抱き縋り。零された笑みに、ゆったりと目を細め。
ジェィ、とただ一人だけの名前を祈りめいて唇に登らせていた。

*7*

もう直ぐ太陽が昇るのが、窓から臨む地平線の明るさから見て取れる。
喧騒はなく、遠く、沖のほうをゆっくりと船が横切っていくのが見える。
ちりちり、と。太陽に焼けることのない身体が、それでも夜明けが近いことを教えてくる。一度太陽を浴びてしまえば、収まる感覚。
新しい一年の、新しい夜明け。
死なない身体を持った吸血鬼の二人には、意味の遠い区切り。
けれど、ジェイクにとっては「スカッドと一緒に居るようになった時間が積み重なっていく」ことを示し、そのことがただただ嬉しい。
いつか、ヒトとして生きていた時よりも何倍もの長さをスカッドと過ごしてきたんだ、と振り返る日が来たらいいと思う。
毎日、側に居て。
毎日、抱きしめて。
毎日、愛して。愛されて。

ベッドカヴァを剥いだベッドに、スカッドが蹲るように眠っていた。
すぐ真横、手を伸ばせば直ぐに触れられる位置。
さら、と丸っこい額にかかる髪を指先で書き上げれば、ゆっくりと瞼が開いていった。
口端を吊り上げて、微笑む。
「ねてない…」
そう言い張るスカッドの額に唇を押し当てた。
ジェイクより低い体温の肌がしっとりとしていることに目を細め、鼻先を唇で辿って僅かに開きっぱなしの薄い唇に口付けた。
吐息で甘く笑ったスカッドの頬を指裏で撫でる。
望むだけ貫いて、欲した分だけ注いで、何度も牙で愛撫した。
スカッドが唇に塗りつけた血の何倍も吸い上げて、喘ぐスカッドの唇の間に牙で裂いて血に濡れた舌を差し込んで掻き混ぜた。
ヒトならざるモノになったからこそできる愛し合い方。
“いま”が最上だといつも思う。
そして、毎日はその“いま”の積み重ねなのだ―――――限度のない至福。
至上の喜びは、腕の中にある。
すり、と唇を啄ばんで、またきつく目を閉じていったスカッドの口中を優しく辿った。いまはただ、触れ合うためだけに重ねた唇。

薄いブルゥの膜を帯びているようだった大気をきらきらと光りが粒子を弾いて煌いている夜明け直前の今の空のように思える、自分の内が。
柔らかく舌を絡めて吸い上げて、キスを解いた。
緩く甘い吐息を零したスカッドの濡れた唇を指先で拭った。
かじ、と甘く齧られて、ジェイクがくすくすと笑った。
開け放したままの窓から、新しい空気が入り込んでカーテンを揺らした。
柔らかく冷たい風が肌を撫でていくのに目を細めてから、ちゅ、と押し当てるだけのキスをスカッドの唇に落とした。
スカッド、と囁くように愛しいヒトを呼ぶ。
ほて、とジェイクに向かって体の向きを変えたスカッドの髪をさらりと撫でて耳元に唇で触れた。
「Te amo」
古の言葉で囁き。僅かに身体を浮かせてスカッドの顔を覗き込んだ。
ゆっくりと瞬いたスカッドが、ふわ、と甘く蕩けた笑みをゆっくりと浮かべていく様を間近で見詰める。

ゆっくりとベッドルームに最初の光りが満ち始め、天井が眩いオレンジを反射し始める。
さら、とスカッドの髪を撫で下ろして、ジェイ、と小さな声で呼んできたスカッドに微笑みかける。
「“今年”最初の太陽だよ、スカッド。閉めてこないと」
体温がいつものそれに近づきつつあるスカッドの指先が、頬をゆっくりと撫でていった。
きゅ、と僅かに瞳孔が光りを取り込むのを抑えるように狭まっていくのを見詰めて笑った。
「スカァッド」
ゆっくりとスカッドの目元と、閉じられた瞼に唇を押し当てる。
身体を引き上げれば、また蕩けたブルゥアイズが見上げてきて。さら、と髪を梳きあげてから、身体をずらした。

ベッドの端に身体を滑らせて、カーペットに足を着く。
窓を向けば、地平線を眩い太陽が割ってその頭を覗かせているのが見えた。
地平線が溶けて光りの道が海に移し込まれている。
真っ直ぐに歩いていき、手を伸ばして透明なガラスの窓を閉めた。
カーテンを音を立てないように閉めて、明るい光りを外に追いやる。
薄ボンヤリとした光りがカーテンの向こうから仄かな明かりを伝えてきた。
いまにも意識を眠りに落としそうなスカッドが身体をゆっくりと引き起こしていったのに振り返り、大またでベッドまで戻った。
スカッドをしっかりと包み込んでいたきれいなカヴァをたくし上げて、その中にジェイクも滑り込み。直ぐに腕を伸ばして抱きついてきたスカッドの髪に口付けた。
ふにゃりと笑ってその細い身体を抱きこみ、ゆっくりとベッドに身体を下ろす。
「ねたくなぃ、」
コドモのようにあどけない口調で言ってきたスカッドの髪を撫で下ろして、カヴァをしっかりと身体にかけた。
「そと、散歩にいこぅ、」
くう、と胸元に額を押し付けてきたスカッドの髪にすりすりと鼻先を擦りつけた。
「だめ。独り占めする」
着いた日みたいに、そと。そう言ってさらに額を押し付けてきたスカッドをぎゅうっと抱きしめて、だめ、と繰り返す。
「太陽、ちょっとだけならもう平気なの知ってるけど。だめだよ、スカッド。まだ誰にも見せたくないから」
「ぬの、被ってる」
唇を色の濃いクセ毛に押し付けて笑った。
「だめ。存在ごと全部、オレだけの」
「――――――そんなの、」
甘く胸元を吸い上げてきたスカッドの身体をもっと腕の中に抱きこんで、総てから隠すようにし。甘い掠れた声を押しとめるように、まるんとした頭を掌の中で包み込んだ。
「おやすみ、スカッド。また夢の中で会おう」
「ゃだ、」
そう見上げてきたスカッドの額に額を押し当てた。
「スカッド?」
「あうだけなんて、やだ」
そうコドモみたいな口調で言ったスカッドが、ふにゃ、と子供みたいに幼い笑顔を浮かべて、目を閉じていった。
外では太陽が完全に上がったのが、感覚として解る。
ひんやりとし始めたスカッドの身体を抱きしめて、ジェイクがくすくすと笑った。

眠りに落ちて綺麗な彫像のようになったスカッドを記憶に焼き付けるように見詰めてから、ジェイクもゆっくりと目を閉じた。ぴたりと重なった身体が溶け合い、それこそヒトツのオブジェのようになっていくように思えて、知らずジェイクは笑みを口端に刻んでいた。
そして、眠りに落ちていく意識のまま、スカッドに告げた。
――――――この眠りが永久に続いたとしても、夢の中でもその先までも、ずっとずっと側に居て。そしてどこまでも溶け合うように、ずっとずっと愛し合おう。







FIN*