抜けるような蒼穹に風の抜けて行くような日は最悪だ。
思い出すから。 空気を孕み、帆のような音をたてて まっしろの布がひるがえったこと。
「テーブル・クロス」。
木の卓にひくソレを子供の遊ぶみたいに真剣に、それでも笑い声をたてながら
ひらめかせ
ふありと布が。卓を包み込んでいったこと。 逢うでもなく視線がぶつかると目が消えるくらい
くしゃ、と笑い顔をつくっていた。
黄金の王冠を被ったみたいにその髪が陽を光に返していた。 いつも聞こえていたのは笑い声と、波音
甲板を走るいくつもの軽い足音。 そんな、取り留めのないことを 思い出す。 雨の日が良い―――。
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