*23*

髪がベディングを滑る音が妙に鮮やかに耳について、半ば背中が浮きかけた所為だと僅かに遅れて理解した。
「っぁ、あ、」
熱い掌に片足を大きく開かされ、どうしても羞恥が湧き起こる。どんなに大好きで大事な人で、全部明け渡すことを決めていても、やはりそれは拭い切れないでいた。
「んッ、ンぅ…」
零される息の熱さにも、高まり蜜を零し続ける中心を辿り、濡らし、絡みつくような熱さも、確かに知った快楽であったはずなのに、ありえないほどに翻弄される自分にヴァンが戸惑った。
「ぁあ、」
泣き声めいて声が唇から勝手に零れていく。高まりすぎて頭がどうにかなりそうだ。それとも、もう焼き切れかけているのかもしれなかった。追い上げられて、涙混じりにショーンの名前に縋って。

「ショ…ン、っ」
足の間から、濡れた音が絶え間なく響き。引き上げられるたびに、波が引きおこされるようで。
ショォン、と嗚咽間交じりで追い上げられ、引きおこされる感覚に惑い、それでも感じている感覚の深さに腰奥からじわりと痺れていくかと思う。
「ショ、ン…っ、ショォン、…っ」 」
踵が滑りかけ。押しとめられ。
ぅあ、と喘ぐ。
強く吸い上げられ、首を振り。ぎゅ、と思わず肩にきつく指先で縋り。爪先から、髪の先まで、なにかが走り抜けていく。

「ぁ、あ、アア、」
くぅ、と自分の下肢が引き上がるかと思い、熱を零していた。
びくり、と身体が震える。
嚥下する音が鮮明に聞こえた気がした、それだけ全部の感覚がただひとりに向いていることが示されたようで。
ちゅる、と蜜を零していた先まで吸い上げられ、喘ぎ、震え、は、と体温より熱いかと思えるほどの息を吐き。
「あ、ぁ。」
白く浮いた雫さえ舌先を押し当てられ舐め取られるのに、身体が強張るほど震える。
「ぅ、あ、」
ぐ、と首をそらせ息を深く取り込もうとして、けれど。顔をあげたショーンが、自分の唇を舌でなぞっていく様から眼が離せなくなる。

跳ね上がる息さえも押しとめるようにして見詰めれば。視線を感じ、眼差しを上げたショーンがくぅと眼を細めて笑みを作った。
「ショ…ン、」
搾り出すようにした声が揺らぐのを自覚する。
「平気?」
はた、とヴァンが瞬きした。
「どっか、いっちまいそ……、」
蕩けたままの声が告げる。
「ん、」
立たせた膝に唇で触れられ、きくりと小さく下肢が跳ね上がる。
「でも、」
とろり、と笑みを刻む。
「んん?」
「きもちいぃ、」

とろとろと甘えたような口調であったことに本人はきづかなったけれども、ショーンは、くぅとわらった。
「じゃあ次にチャレンジ?」
「ん、ん?」
なに、ととろりとした声がヴァンの唇から零れる。
離れていく身体に、僅かに眉根を寄せ。その体温の少しでも遠くなることがこんなにもキライだったんだ、とぼう、と自覚する。
す、とベッドサイドのドロワーが開かれるのが視界に入ってき。まっすぐに伸ばされたショーンの腕が見える。
伸びやかな身体の線と、それをしなやかに模っていく無駄のない線とを眼で追いかけ。額が、少し落ちてきていた前髪に隠される様子に、また身体を流れる血が温度を一気に上げたかと思う。声を上げながら、夢中で、手指で引き乱していたことの証に。

「しぉ…、」
すぅ、と妙に涼しげな木の滑る音がした。
そして、ざ、と髪を片手で掻きあげたショーンが身体を戻すのに、ふにゃりとヴァンが微笑んだ。そしてくてりと身体を預ける。
そのときに、視界に。淡い金色のモノが見えた。透明なチューブに入ったソレはどうやら新品で。
あ、と場違いに自分がくっくと笑い出したことに、ヴァンがまたすこし笑い声を潜めた。
「ココロの準備は?」
くす、と笑い声を洩らしてからショーンが問いかけてくる。
参ったな、どうしよう、とヴァンが瞬きした。困っているわけではなくて、そうじゃなくて。
言葉を飾るのが、自分は上手くないから、と一瞬眼を閉じる。
けれど、それもオレだよな、とふにゃりと微笑み。
「ファックして、」
そういうと、ショーンのウェストに手を伸ばした。
「おれ、ショーンと、したいよ」

熱い身体に元のように覆い被されて、どうしようもないくらいシアワセになる。
トン、とキスが唇に落ちてきて、ますますヴァンが目元に笑みを乗せた。
「With pleasure(ヨロコンデ)」
する、と唇を柔らかくこすり合わせるようにし、ヴァンが囁いた。
「んー…濡らすの―――?」
「そ。しないと痛いばかり」
「―――――んん、ごめんね…?」
く、と下肢を合わせるようにし、ヴァンが呟いた。すい、と片足を引き上げさせながら、ショーンが瞬きした。
「すぐに、できるようになるからね…?」
そのうち、ウン、と頷く。

「―――――ぁいた、」
ごつ、と頭突きされヴァンが額を抑えて見上げれば。
「阿呆か、」
真顔で言うショーンに目を瞬いた。
「ナンデ?」
「寧ろ不慣れでいつもドキドキしていやがれ」
「いいの?」
きょとん、とブルーアイズが見上げてくるのに、
「アタリマエだ」
「ショォン、」
がぷ、と鼻先を軽く齧られても、どこか安堵したようにヴァンが呟いていた。
「しんぞう、すげえことになってンの、わかる?」
貧血起こしそうだよ、と笑い声混じりに。なにされんのかも、ドキドキしてるし、と付け足す。

「希代の大物かと思った」
「だって、ショオン」
「んんー?」
ひょい、と片眉を引き上げてからかってくる口調に真面目に返す。
「悪いオトナだもん、あんた」
はむ、と唇を啄ばむ。
「否定のしようがない」
「おれじゃ、つまらないとか、ヤだもん」
く、と語尾が掠れる。両足を割り開かされて。
膝に貼られていたバンドエイドの上に、ちゅ、と触れないでキスをされて、ヴァンが瞬きした。
「悪いオトナは鮪相手だって楽しめるもんだ」
「ツナ・フィッシュ?」
む、とヴァンが唇を尖らせかけ。
けれど。
「オマエは過敏で結構なことだ」
続けられた言葉に、ファック、とぽつりと呟いていた。
それでも、ショーンのどんな些細な動きからも眼を離すことが出来ずにいる。

指に、透明なチューブから取り出された金色が乗る様さえ、じっとみてしまい。は、と熱い息を零す。
どんなに装っても、鼓動は耳元で鐘のようだし、手足だって、ほんとうは震えそうだ、と。
怖いんじゃないけどさ、でも、と一瞬眼を閉じる。

「ヴァン?」
間近で声が落とされ、ふ、と伏せていた眼を上げる。
「―――――ィエス?」
あぁ、声揺れてるし、おれ、。
「しがみ付け」
ふ、と両腕をリネンから浮かせかければ。
「ドキドキしてるの、聞かせろ」
そう言葉が届き。
「ショォン、だいすきだ」
ぎゅ、と両腕できつく首に抱きついていた。



 *24*

ヴァンがきゅう、と首に腕を回して縋ってきたのに微笑んで、頬に口付ける。
「ちっと冷たいかもな」
指に取った潤滑ゼリィを、くちゅくちゅと指で温めつつ、ヴァンの後ろに宛がう。
こく、と咽喉を鳴らしたヴァンの耳朶に口付けながら、く、と指を奥に運んだ。とろり、と閉じたままの場所にゼリィを伸ばしていく。
「―――――――ぅ、あっ」
びく、と足が揺れて、その間に滑り込ませていた身体に触れる。
「無理にしなくてもいいんだぜ?」
耳元に甘く囁きながら、とろとろとゼリィを塗り伸ばすように指を動かす。ん、と息を飲み込み、ヴァンが腰を揺らしていた。けれど、ふるふると首を横に振って、
「ゃ、だ、する、」
そう掠れた声で言っていた。
ちゅ、と耳元に口付けながら、くう、と襞の上を指で撫でる。
「無理だったら言えよ、ヴァン?」

は、ぁ、と熱い息をヴァンが零していた。
ぺろりと耳朶を舐め上げつつ、襞の上で手を小刻みに動かす。
少しずつ、組み敷いたヴァンの身体が熱を上げているのが伝わってくる。最初の緊張からの強張りは、少し解けてはまた強張ったりを繰り返していて。首にしがみ付いてくる腕の強さは増すばかりだ。
「んぅ、ぅ」
きゅ、と目を瞑ったヴァンの目元に、唇を押し当てる。
ふ、と身体の緊張が抜けたヴァンの入り口に、ほんの僅か、指先を押し入れる。
「ココ、どんなカンジ?」
「―――――――あ、」
ちゅ、と眉の端にも口付ける。くう、と身体を強張らせたヴァンの鼻先に、鼻先を擦り付ける。
「ショ、ぉン…っ、」
小さな声が言ってくるのに、んん?と返事を返しながら、入り口で小刻みに指を揺らす。
ゆら、と間近でヴァンの目が開いた。その潤んだ双眸の美しさに、思わず微笑みかける。
「アィ、ヴァアン?」

へん、と小さな声が伝えてくるのに、くすんと笑う。
「ぐら、ってした、いまも」
ふにゃ、と笑ったヴァンの内側を、ぐるりとなぞる。
「キモチワルクない?」
「ア、」
きゅ、と目を細めて息を詰めた様子に、あむ、と唇を軽く啄ばむ。
「わ、かんな……っ、ぁ、」
きゅ、と指を締め付けてきた感触に笑って、ぺろりと唇を舐める。
「ヴァアン、どうしようね」
「ん、ん…っ?」
きちゅ、と指を一度引き抜いて、新しくゼリィを取り出す。
それを軽く指で伸ばしてから、一生懸命に見詰めてくる潤んだブルゥを見詰め返す。は、と息を零したヴァンに微笑みかけながら指の位置を戻す。
「オマエが可愛くてしょうがないよ」
緩んだ瞬間を狙って、く、と指を押し入れる。

「あっ、ンッぁ、」
びくっと肩を強張らせたヴァンの唇を、ちゅ、と啄ばむ。
「ヴァアン、」
囁いて、薄く唇を開いた子のソレをぺろりと舐める。追いかけてくる舌を捕らえて、吸い上げる。
息を吐こうと一生懸命なヴァンの内側に、ぐ、と指を滑り込ませる。
く、とヴァンが咽喉を鳴らしていた。きゅ、と腕を回されて、そのまま深く舌を絡めて口付けを深める。
第一関節まで入った指を、そのままぐっと押し入れて、第二関節まで含ませる。
喉奥で声が潰れていた。甘く舌を噛んでから、口付けを解き。指が締め付けられた感触に甘く呻く。

さあ、と目元を赤らめたヴァンに、くう、と笑いかけて。ちゅ、とまた甘く唇を啄ばむ。
「ショ…ぉ、」
懸命に名を呼んでくるヴァンの内側を、小刻みに指で擦りあげる。
「アィ、ヴァアン?」
揺れるブルゥアイズを覗き込みながら、ヴァンが感じる場所を探し続ける。少しずつ、少しずつ奥まで指で探って、かつ潤滑剤を塗りつける。
「はぃ、りそ…ぅ…?」
きゅ、と眉根を寄せて色っぽい表情に、くぅ、と微笑む。
「まだダメかな。もう少し慣れたら、ね?」
ん、と時折息を詰めるヴァンに無理をさせないように、動かす指の強さを和らげたりする。

「っは、ァ、あ…っ」
熱い吐息に交ぜて喘いだヴァンが戸惑っているのを聞き取り、ぺろ、と唇を舐める。
「ここ…かな、」
くう、と指先で少し手前にある、こりっとした部分を押し撫でる。
「どう?」
「シォ…ン、っ、」
ぐ、と背中を強張らせたヴァンから僅かに身体を浮かして、空いていた手でヴァンの熱に触れた。とろ、と濡れそぼっているのを手に取って、くちゅ、と塗りつけて扱きあげる。
「ンァ、あ、ッ」
びく、と身体を跳ね上げさせ、首を思わずといった具合に横に振ったヴァンの頬に口付ける。組み敷いた身体が熱く火照り、身体は快楽を感じ取り。けれど、慣れない感覚にヴァンが戸惑っているのも読み取る。

「ここが、ヴァンのイイとこ」
「っぅ、ア」
く、く、と緩く押し撫でて、ちゅく、と熱を揉む。強く腕が背中に縋ってくるのに笑って、ぐり、と濡れた先端を擦りあげた。
「あ、ア…ッ?アぁ、ア、ん」
甘く揺れる声が飢えを呼び起こすのに、こく、とショーンも息を呑み。けれど慣れ親しんだ快楽と、内側を押し撫でられて湧き起こされる焦燥感にも似た感触に、ヴァンがぐらぐらと頭を揺らしているのを間近で見詰める。
自分に全てを委ねてくれているこの子が酷く愛しい。
こうした行為を自分に許してくれているこの子がとても可愛くて、そして―――――。

揺れたヴァンの膝が身体に辺り。ショーンはまた息を飲み込んで、ぐり、と指で一点を押し撫でる。
「ショ、ォ、…ン、ぁあ、ア」
甘いヴァンの声に、何度も口端や頬に唇を押し当てる。
ぐ、と無意識にか、ヴァンが腰を押し上げてくるのに任せながら、指で遠慮なくヴァンの熱を扱きつつ、奥の一点を指の腹で擦った。
「っあ、つ…ァ、っゃ、ア」
甘い悲鳴を上げるヴァンの屹立からは、絶えず蜜が零れ落ち。ぐちゃぐちゃと濡れた音は、烈しくなるばかりだ。
「イイ、みたいだね…?」
自分の声も擦れていることに薄く笑えば、ぐり、とポイントを擦られたヴァンが、ふにゃ、と表情を歪めていた。
「や、だ、なに…、ァ、ああ、アッ」
ぽろぽろと涙を零して、ヴァンが熱い息で喘ぐ。
「ぁ、つ…よぉ…ッ」

「ヴァン、」
零れ落ちる涙を吸い上げて、けれど快楽で追い上げることを止められずにいる。
ゆらゆらと揺れるブルゥアイズが間近で開き、色付いた唇は震えていた。
「愛してるよ」
囁いて、くぅ、と笑う。
「ショ…ォン、ショーン……っ、」
きゅう、ときつく腕がしがみ付いてくるのに、唇を目元に移して押し当て。震えているヴァンの顔中に何度も唇を押し当てながら、内側を刺激し続ける。
「あ、んたに……だかれてる、」
消え入りそうになっている声に、ショーンは笑って、きつく屹立を絞り込んだ。
「ァ、」
「イけそう?」
囁いて、ぐり、と奥を擦りあげる。
「――――――ァア、っあ、」

びく、とヴァンが腰を跳ね上げ、ショーンの指をきゅう、と締め付けながら背中を反らせた。ぴん、と手の中の屹立が跳ね上がって、勢いよく飛沫が手を濡らしていく。
「あぁあ…っ」
戸惑いをたっぷりと含んだ甘い声が震えるのに、ショーンはふわりと微笑んだ。
小刻みに震えるヴァンの身体が落ち着くのを待って、熱から手を離す。
ショォン、と溜め息交じりの掠れた声で呼ぶヴァンを見詰めて、手を濡らしている蜜をぺろりと舐め上げる。
こく、と咽喉を上下させたヴァンに、にこりと微笑みかけて。埋めたままだった指を、く、と揺らした。
「もう少し広げてもいいかな?」
こくこく、と頷いたヴァンが、きゅ、と唇を引き結んでいた。けれど、上がったままの吐息に、ふわりとまた唇が開いた。
ぺろりと少し渇いた唇を舐めてやってから、く、と指を引き抜いた。くちゅ、と濡れた音が響く。
あ、と声を出せずに、ヴァンが唇を震わせた。

チューブを取って、たっぷりとまた指に取り。今度は二本の指にゼリィを伸ばしてから、く、とまた奥に押し当てた。
「Van, say you love me?」
ひくん、と奥がひくついたのを感じ取って、愛してるって言え、と囁く。
「You are my Love, Sean,」
ショーン、あいしてる、そう擦れて揺れる声で言ったヴァンに、また口付けを仕掛けながら、揃えた指をぐっと奥に差し込んだ。

「ァ、っ」
下肢が僅かに強張り、肩がずり上がったヴァンの首の下に腕を差し込んで、その細い肩を抱きこむようにした。
ぎゅ、と指を締め付けられて、宥めるように舌を差し込んで口中を掻き混ぜる。
「ん、ぁンぅ、っ」
苦しげに、けれどどこか快楽を潜ませた声に、ショーンは喉奥で低く笑った。
きゅ、きゅ、と内で締め付けられ。けれど、緩むタイミングを狙って、ぐ、と奥に少しずつ潜り込ませていく。
きゅ、と苦しげに眉根を寄せたヴァンの舌を甘く吸い上げながら、指二本で円を描くようにして奥に指を進ませる。

「っぁ、ショー、ンん、…っ」
口付けの合間に、苦しげに呻くようにヴァンが声を上げる。
震えるトーンと揺れる音に、ショーンは甘く唸ってヴァンの唇を啄ばんだ。
ん、と嗚咽めいて咽喉を鳴らし、けれど涙が零れていないのを間近で見下ろして確認する。
「ショー、ン、」
名前に縋るように呼ばれて、ショーンは口付けを解いて間近で深い息を吐いた。
蒼い双眸がきらきらと潤んで煌めいているのを、じっと見詰めていれば、とろん、とヴァンが瞬いた。
「お、ちそ……、だいてて、」
甘く擦れて、ほんの僅かトーンを高めて上ずった声が、耳に響く。
「ちっと、こわ、ぃ、かも―――――」
泣き笑いを浮かべたヴァンが、きゅ、と抱きついてくるのをじっと見下ろす。
「けど、もっと、あんたのこと…ほしいよ、」

「ヴァン、手を貸して」
ずる、と手が落ちて。それが差し出されるのに、ゆっくりと埋めていた指を引き抜いた。
「―――――――ぁ、ぅん、」
く、と咽喉を反らして鳴いたヴァンにくくっと笑って、差し出された手を捕まえた。
ジェルのチューブを取って、とろ、と熱く火照った掌にそれを落とす。
「塗ってくれる?」
冷たいジェルの感覚に、ぴくっとヴァンの指先が跳ねた。けれど、見詰めていた先で、ヴァンがふわあ、と柔らかな笑みを浮かべていた。
「いいの…?」
ヴァンがそう言って囁いてくるのに、くう、と微笑む。
「もちろん」

ヴァンが両手を合わせて、ちゅく、とジェルを揉みこむようにしていた。そして、濡れた手の感触に口許でふにゃりと笑い、ゆっくりと手を伸ばしてショーンの屹立を包み込むようにして触れた。その手の感触に、一度目を瞑って深い息を吐く。
「―――――ぁついね、」
齎された甘い声に、ゆっくりと目を開ければ、とろとろと手がジェルを塗りこむように動いていき。
「まざるの、もったいない、」
そう言って視線だけで見上げてきた。
「口で濡らしたら、だめ…?」
とろん、と甘ったるく節の蕩けた声で訊かれて、ショーンはゆっくりと口端を引き上げて笑った。
「後で」
「ほんとう?やくそくだよ」
甘えるように響く声に、とろんと笑ってヴァンの両足を引き上げ。ちゅく、と軽く絞り上げるように濡らされていくのに、ゆっくりと身体を落としていく。
ふ、と息を詰めたヴァンを間近で見詰めて、ぺろりと舌で唇を舐める。
「いい?」
「ショォン、」
吐息で応えたヴァンに、くすんと笑う。
「手、もう離していいよ」

ふにゃ、と甘えて微笑んだヴァンが、
やんわりと手指で握りこんでき。思わずショーンが呻いたところで、手が離されていった。
「あんたの、こえ。すげえ、すき」
蜜が滴るようなヴァンの声に、ぐ、と手で入り口を抑えて僅かに広げながら、ショーンが薄く笑った。
「オレもオマエの歌が好きだよ」
そのままゆっくりと、入り口に熱を押し当てる。
「――――――――っぁ、あ」
声が跳ね、びくんとヴァンの腰が揺れ。けれど、ショーンは構わずに、ぐ、と体重をかけていく。

狭い入り口を先端で押し開き。さあ、とブルゥが大きく見開かれたのを見下ろしながら、ゆっくりゆっくりと体重をかけていく。
「ヴァン、」
ほんの僅か腰を引いて、直ぐにぐっと押し込んでいく。それを繰り返しながら少しずつ、含ませていく量を増やしていく。
「ああぁ、」
甘い声が間近で零されるのに、ハ、とショーンも息を吐く。
ギチ、と音がしそうにキツい中に、タイミングを計りながら押し込んでいく。
「…っぁ、あ」
咽喉を反らして甘い声を上げるヴァンの口許や頤に口付ける。

「I love you, Van」
掠れる声で囁いて、ぐ、と押し入れる。ぎゅう、と背中に指が縋ってくるのに、小さく喉奥で余裕なく笑った。
ハ、と息を吐いて、ぐぐ、とまた含ませる。
「ぁ、アっ、…ショ、ぉ、」
切羽詰った声を上げるヴァンに、沢山の口付けを落としていく。
ぐう、と最後は一気に押し入れてから、とん、と頤の中心に口付けた。ほろほろ、と眦から零れ落ちておく涙がひどくキレイだった。
「Let's make love, yes?」
愛し合おう、と囁いて。最奥まで屹立で埋めた身体をぎゅうっと抱き締めた。
「Let's get crazy」




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