*22*

抱き上げながら、まだ軽く感じるヴァンを、ココロの底から大事にしなきゃなあ、と思った。
ベッドルームに運び込みながら、そういえばこの部屋に誰かを連れ込んだのは、何年ぶりか思い出せないことに気付く。
とす、ときちんとベッドメイクされているベッドに、細い身体を下ろした。見上げてくるヴァンの背中を、そのままリネンに押し倒し。ちゅ、と柔らかく、その額に口付けを落とした。
さらりと背中を、ヴァンの手が辿り下りていく。
くぅ、と微笑んで、柔らかな声が響く。
「ベディング、剥がさないの?」
「面倒」
ぐ、とシャツの裾をデニムから抜き出されて、その下を手が滑っていく。
そうしてもう一度、とん、とヴァンの唇にキスを落とした。

「ところで、ヴァン」
「―――――はい?」
「正式にオレのものになっちまう?」
指先で、さら、とルーン文字でヴァンの名前と自分のラストネームが彫りこまれた刺青の上を辿り。ぱち、と瞬いたヴァンに、にこりと笑う。
「養子なら、もしかしたらなんとかなるかもよ?」
く、と息を飲んだヴァンの目を覗き込む。
「正式でも非公認でもプライヴェートでも、おれはアナタのだよ……?」
ふわりとヴァンが微笑んだ。
「ショーンが、おれが自分のだって思っていてくれたらいいよ」

ヴァンの回答に、ふぅん、と唸って。それから、ふに、と柔らかく色付いた頬を突いた。
「言っとくけど」
「なん?」
すり、と頬で懐いてきたヴァンの心臓の上を掌でなぞった。
「オレはオマエを出来得る限り大事にするつもりで、ここに連れ込んだからな?昨日の夜だとか、その前だとかに言ったことは、一先ず奥にしまっとけ」
ぴく、と跳ねたヴァンに告げる。
「至らねぇかもしれないけどな、やってみるから」
ちゅ、と唇に口付ける。
「ちゃんと言っておく。愛してるよ」

ふにゃ、と泣きそうになりながら笑顔になったヴァンが、きゅう、と抱きついてきた。
「愛してくれんの…?」
「Aye」
に、と笑って、こつん、と額を押し当てる。
「ちびじゃ、ないよ?おれ」
「ん、知ってる。ちびは欲情しない」
涙が零れそうになったヴァンの身体に体重を落とす――――下半身が合わさる。
ん、と甘く呻いたヴァンのこめかみに口付ける。
「愛させて、くれるんの……?おれにも、」
「Aye, Van」
声を揺らしているヴァンの鼻先に、鼻先を擦り付ける。
「オマエに、ちゃんと預けるから。オレの人生の半分」
する、と唇を唇で掠める。
「だから、オマエがオレのことを、オマエが愛するに値するヒトにキープしておいてくれよな?」
ショォン、と声を揺らしたヴァンに告げる。

「そんなこと、できない」
囁き声でヴァンが返してくるのに、そう?と目を間近で覗き込む。
「おれはショーン、あんたのことを変わらずに愛することだけできる、」
ひく、とヴァンが咽喉を嗚咽に鳴らした。
「ショーン、はやく、シたいよぉ」
みぁ、と仔猫が鳴くような声でヴァンが訴えてくる。
「おれ、あたまおかしくなっちまう、」
する、とシャツを引き上げてくるヴァンの性急さに、ショーンは小さく笑う。
「じゃあ腕を緩めて脱がさせろ」
そう告げて、身体を起こしながらデニムのボタンに手をかけた。
すい、と手を伸ばして、ショーンが手を退かした場所に触れてきた子に薄く笑った。そのまま、自分でTシャツを脱いでそれを床に落とす。
フライボタンを全部外されて、また笑った。
顔を覗きこんで、ショーンのウェストに手をかけてきた子にキスをしかけながら、下着ごとデニムを落としていく。

ちら、と見上げてきたヴァンの目を見詰めたまま、キスを深めつつ薄く笑う。
「ちなみに。ドキドキしてるのがオマエだけだと思うなよ?」
キスの合間に囁きながら、下を全部脱ぎ去った。
靴も一緒に脱いだから、ごとん、ごとん、と靴がカーペットに落ちるくぐもった音も響いた。
ふる、と震えたヴァンの上に、改めて身体を重ねる。
きゅ、と片足を絡めてきたヴァンに深いキスをまた仕掛けながら、掌で平らな身体の表層を辿る。

火照り始めた掌に、ヴァンの肌が熱い。
首筋、鎖骨、胸の中心、腹、脇腹、胸、と手を滑らせるたびに、ひくん、と舌が竦んでいる。
小さな尖りに指先が触れて。それを軽く中指で押し潰した。
「ッァ、あ、」
甘い声が間近で響き。そのトーンが耳に心地よいことに、ショーンは薄らと笑う。
「ヴァアン、」
口付けを解いて、く、と指先で尖りを押し捏ねる。ゆら、と間近で開いた瞼の間から覗く蒼が、真剣な色を乗せていた。
「イイ声、もっと聞かせろ」
ぐ、と重ねた下半身を押し合わせて、にっこりと笑う。さあ、と目元まで赤くなったヴァンに、自分の状態を知らせる。
「抑えるなよ?」
「―――――っぁ、って…っ」
ますます赤くなったヴァンの耳元に口付ける。
「すげえ煽るよ?」
「そんな…わかん、ねぇ、」
揺れる甘い声に、くすっと笑って耳朶をぺろりと舐め上げる。
「感じたら、素直に声出せってこと」
甘い返事のような喘ぎ声に、ショーンは満足して柔らかくヴァンの耳朶を口に含んだ。ちゅくちゅくと吸い上げながら、胸の尖りを指で刺激し続ける。
びくん、と跳ねる組み敷いた身体が愛おしい。

常なら自分勝手に食い散らかして、自分だけのリズムで追い上げるのに、今日はまずヴァンを感じさせたかった。
「っぁ、あァ、ア…っ」
かり、と軽く歯を立ててから、首筋に唇を移す。
一度柔らかくなった尖りから一瞬手を離し、戻せば。それはこりっと硬くなって、立ち上がっていた。
小さく震える身体を、宥めたいような衝動に犯されながら、甘く首筋を食む。
「あ、ショぉ、…ン、っ」
「キモチイイ?」
答えは解っていても、訊かずにはいられない。
小さな尖りを押し潰しては、親指も添えて今度は指の腹で捏ね上げていく。
「ん、ッン、」
きゅ、と背中に指を立てられて笑った。
「ざりざりにしてもいいよ?」
びく、と背中が浮きそうになったヴァンの首筋を吸い上げてから囁く。ヴァンの下半身が、とてつもなく熱くなっていることに満足する。
「っぁ、ァ…っ、」
濡れた感触が、身体をずらすたびに肌に残されることが楽しい。

「嬉しいね」
かり、と鎖骨を軽く歯で齧りながら、きゅ、と強く指で尖りを摘んだ。
「し、ぉ…っ?」
甘く喘ぐ声に、んん?と返事をしてみる。
「ぐ、らぐらする…、」
ちら、と甘い声に視線を上げれば、とろんとヴァンが微笑んでいた。
「堪えきれなくなったら、言えよ」
ぎゅ、と背中に指を埋められて、でも爪が立てられないことに笑った。
「もっと、全部手放して、オレに委ねちまいな」
肩口に軽く歯を立てていたショーンの首筋を、ヴァンがキスしていった。
「もっと気持ちよくなれ」
囁いて、小さな尖りを弄っていた手を滑らせて、下腹部に移動させる。
熱い息を零していたヴァンが、ア、と息を飲んでいた。

「熱いね」
屹立した中心部を、掌で撫で上げながらまたタトゥの上にキスを落とす。
「ショ、ォ、―――ああ、」
とろ、と掌に蜜が零れ落ちてきたのを捕らえて、ゆっくりと握っていた手に力を入れて熱を包み込む。
ちら、と視線を上げれば、強くヴァンが目を閉じていた。
びくん、と揺れた腰に低く笑って、まだ弄くっていないほうの尖りに向けて舌で辿っていく。
「――――――――っぁ、」
ゆら、と瞼の間から蒼が覗いた。それを見遣りながら、手の中の熱を、ちゅく、と扱きあげる。そして潤んだ双眸を見上げながら、小さな尖りにも舌先を伸ばした。

「あ、ショぉ、…ン、っ」
小さな悲鳴じみた声に、喉奥で唸るように返事を返しながら、熱をリズミカルに扱いていく。
舌先では跳ね上げるように、ちいさな尖りを掬い上げていく。
「ん、んぁ、ア…っ」
ぎゅ、と背中に強く指先が埋められていく。
濡れた感触がますます広がるのに、ショーンは笑って尖りを強く吸い上げた。
「ぁ、あぁあ、ッ」
躊躇いつつも快楽に流されている甘い声に、ショーンは煽られる自分を自覚する。
くう、とヴァンの背中が浮いたことにも笑って、親指で濡れた先端をぐりっと抉るように押し撫でた。
「っぁ、や、もたな―――」
切れ切れの甘い声に、かし、と前歯で乳首を挟む。
「零していいよ」
「っひ、ァ…っ」
びくん、と腰が揺れて熱がさらに刺激を求めたのがわかった。
リズミカルに扱きあげながら、先端をぐりぐりと刺激する。
「ショ、ン…ッ、」

必死な声に呼ばれて、ぎゅう、と熱を絞り上げれば。びくりと腰を跳ねさせて、ヴァンがショーンの手の中に迸る熱を注いだ。
ふるふると小刻みに身体を震わせているヴァンの、早鐘のように鼓動を脈打たせている心臓の上に口付ける。
言葉が出せないかのように、何度も深く息を吸い込むように喘いでいるヴァンを見上げて、に、と笑いかける。
「たっぷり出たね」
かぁ、と一気に一層顔を赤らめたヴァンが、
「ショォン、」
そう咎めるように言っていた。
「だ、ぁって…、」
「うん?」
「ずっと、ショ、ンに…むちゅ、ぅで…っ」
ちゅく、と蜜を搾り取るように扱きあげてから、手を浮かしてヴァンの顔に視線を上げる。見開かれた目が涙に潤んでいた。
「あんたに、触れてるって―――――ショォンが、触れてるって、思うだけで、」
ほろ、と涙が転がり落ちていくのを見詰める。
「ィ、っちまいそう、だも……」

ひくっと咽喉を嗚咽に鳴らしたヴァンの腹部に、トン、とキスをする。きゅ、と爪を立てられて、笑って顔を見上げた。
「何度だってイけばいいよ、」
ひら、とヴァンが零した体液に濡れた手を揺らしてから、ぺろ、と指を舐め上げる。
「いくらでも欲しいしね」
「ぅ、…ぁ、あ、」
戸惑った声を、ヴァンが上げた。
ひくん、と達したばかりの中心部が緩く揺れて立ち上がったことが、驚きのようだった。
「ヴァン、」
笑って、ゆっくりと身体を下にずらす。
「味わっていいかな?」
「っ、」
唇を震わさせたコの屹立の天辺に、トン、と口付ける。
息を飲んだヴァンにちらりと視線で笑いかけ。ゆっくりと身体を落として、ぺろりと濡れた熱を舌で辿った。
「ァ、っあ、」
びくん、とヴァンの腰が捩れていくのを、濡れた手と乾いた手で抑えつける。
「おいしそうだからさ」
告げて、ちらりと微笑みかける。
「ひ、ぁ、」

「ピンクでカワイイし、元気だし、ヴァンのだし」
きゅう、と手指が肩に縋ってきた。
「なにより、オイシソウ」
声が勝手に囁きにまで落ちる。
きゅう、と目を細めたヴァンが、喘ぎに交ぜて切れ切れに言った。
「こぼしちまう、」
「だから、零していいんだって。飲ませて?」
告げて、ちゅく、と先端を吸い上げた。
「ヴァンのミルク」




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