甘い声が上がる、サンジの口から押し出されるように。
熱い体内を指先で辿りながら、境界線の辺りを舌で潤す。

ちらりと視線を淡い金越しに投げかければ。
ルームライトに淡くピンクにサンジの肌が染まっているのが見て取れた。
官能的な情景。
ひく、と蠢く襞に、ゆるりと舌を這わす。
「ひぅ、んッ」
サンジの腰が揺れて、低く笑う。
もっと蕩けちまえよ、と囁く。

何度慈しんでも。
何度愛撫を施しても。
何度身体を繋いでも―――年若い恋人は、それに慣れることがない。
硬かった反応から一転、随分と甘く蕩けるようになってくれたし。
抑え気味だったウタも、伸びやかに歌うようになってはくれたけれども。

空いていた手で、リネンを握り締めていたサンジの手を握る。
拙い反応でも。
恥じらいを捨てきれなくても。
それがオマエがくれるものだから、愛しさが沸き起こる。
声、ああ僅かに震えているな―――それは酷く甘くて。
快楽に溺れきることに、未だすべてを委ねることができなくても。
それでも享受してくれる想いの深さに、愛おしさが沸き起こる。

舌を引き抜き、代わりに指を増やし。
上げさせ、僅かに緊張を帯びた脚の付け根を強く吸い上げる。
「あぁ…っ」
く、と追い縋るように収縮した襞を宥めるように、そうっと指を押し込む。
サンジがくう、と頤を引き上げ。
さらりと涼やかな音を立て、髪がリネンに流れていた。
握っていた手が強く縋ってきた。

する、と淡く色を帯びた腿に唇を滑らせる。
「キレイだよ、サンジ」
唇が、ぞ、ぉろ、と音に乗せていた。
ちゅ、と音を立てて膝裏に口付ける。
「ん、―――ぅ」
ゆら、と下肢が揺れていた。
小刻みに含ませた指を動かし、蕩けさせる。
「は、ぁ」

潤んで熱く、強請るように収縮を繰り返す襞。
内壁、どんなに拙くとも愛されることを覚えこんで、潤みを帯びている。
内腿に緩く歯を立てながら、抱え込んだ足ごと上体を起こす。
「サンジ、」
「っぁ、」
胸元に口付けを落とす。
心臓、酷く早く脈打っている。

見あげてくる蕩けた蒼。
「苦しくないか?」
鎖骨の上、ぺろりと舌を這わす。
組み合わせた指が無意識に握り返してくる様が喜びを齎す。
サンジが首を横に振っていた。
甘いオレンジのライトに照らされたリネンに散る黄金。
まるで月の雫のようだ。

「―――へ、き」
甘い返事。
ぞろ、と。蜜が滴るような声でささやきが齎される。
微笑んで頤に口付ける。
「ほし…、」
強請られて、口端に口付けた。

サンジの内から指を引き抜き。
濡れていたサンジのモノに手を這わす。
「ふぁっ、」
零れた蜜を掬い取り、同じように蜜で濡れていた自分のモノに擦り付ける。
ぴく、とサンジが揺れていた。
「まだキツいかもな、」
どうする、と。頬に唇を掠めさせながら訊く。

きゅう、と。サンジがヘヴンリィ・ブルゥを細め、見上げてきた。
空いていたサンジの手がそろりと下りていき。
熱く張り詰めた中心部にそうっと触れてきた。
く、と腰を揺らし、サンジの手に状態を伝える。
ふう、とサンジが熱い吐息を零していた。
やんわりとサンジの手指に包み込まれ、一つ深い息を吐いた。
サンジの手が持つ熱の高さに、くらりと小さく意識が揺れる。

「熱い、な…、」
ゆる、と僅かに動かし、見あげてくる蒼に笑みを刻む。
「なかに、来て…、」
とろとろに蕩けた声が囁いてきた。
一瞬目を瞑り、笑みを浮かべる。
甘い声が、体内の奥深くにあったモノを揺り動かし―――目を開けた。
する、とサンジの脚をさらに引き上げさせ。
こく、と上下した喉が立てた音に小さく笑う。
ああ―――愛し合おうと言ったもんな。

組んでいた手指を引き上げさせ。
サンジの頭上に縫いとめる。
脚、開かせて。
サンジの手がまだ緩く絡んだまま、そうっと下半身を下ろす。
ひく、と蠢いた入口に、トンと当てる。
サンジが短く息を零していた。

「無理そうだったら言えよ、」
囁きを落としてから、そうっと体重をかける。
合わさったままの蒼に視線を絡ませたまま。
ゆっくりと下半身を押し当てる。
あ、と音が乗らずに、けれど唇が開いていった。
くう、と粘膜が柔らかく開く感覚に、溜息を吐きたくなる。
「キツいな」

ゆっくりと押し開かせながら、体重を乗せていく。
「ッ、ぁ、あ」
まだどこか軋むように、僅かなぎこちなさのまま内が開いていき。
切れ切れの声が、上がる息に押し出されるように音にされる。
くらりと眩暈。
呑まれていく、受け止められていく、包み込まれていく。
開きっぱなしの唇に舌を這わせ。
ゆっくりと無理をさせないように体重を乗せきる。

ぐ、と呑み込まれていく感覚に、低く唸り。
逸らされることのない蒼が潤むのを眼下に捕らえて、笑う。
引き止めるのか、取り込むのか。きつい内が絡みつき。
すう、とサンジの背中がしなり、唐突に心臓に口付けたくなる。

「く、ぅ、」
開きっぱなしの火照った唇から小さく洩れる声。
甘く啄ばみ、宥める。
組まれた指に力が込められ。
それにあわせたように襞がきゅうっと収縮した。

「サンジ、」
口付けを落としながら、最後まで腰を押し進める。
「平気か?」
何度か慣れるように収縮した襞が与える感覚に目を瞑る。

サンジがきゅう、とまた指に力を入れていた。
見遣れば、間接が白く浮き上がっている。
細い指が縋ってくる。
上体をゆっくりと落とし。
サンジの頬に口付ける。

「――――ふ、ぅっ」
サンジがきゅう、と一瞬目を閉じていた。
潤んだ蒼がまた現れ、微笑を返す。
「もう少し、馴染んでからナ?」
「ぞ、ろ」
くしゃん、と泣き顔みたいな笑みを僅かに浮かべたサンジに囁く。
「じゃないと、すぐにイッちまいそうだから」
にぃ、と口端を引き上げ、トンと口付けを落とす。

きゅう、と内が引き込むように締め付けてき。それが齎す快楽に小さく呻く。
「キモチイイな」
ぺろりとサンジの唇を舐める。
ふわ、と。サンジが柔らかく表情を蕩けさせていた。
寄っていた眉根から力が抜けている。
「溶けそうか?」
「溢れ、そ……、」
「溢れちまえよ」
ゆっくりと瞬いたサンジの唇を啄ばんでから、そうっと腰を揺らした。僅かに。
「ん、ぅ」

きゅう、と締め付けてくる内壁に、目を閉じる。
サンジの甘い声が耳に届き、また目を開けた。
「キレイだよ、サンジ」
オマエのなにもかもが。
慈しみたい想いだけが溢れる。
サンジが僅かに首を横に振っていた。
微笑む。
「信じろ、」

ちゅ、と啄ばめば。
「翠、の方。すき、」
とろりと甘えた声が聴こえてきた。
「だか、ら―――」
奥、ちょ…だぃ…?
そう言葉を紡がれ。
目を閉じて、幸福感を味わう。
欲情と、愛情と、ただ愛し合えることの喜びにブレンドされた感情。
する、と熱い唇が肌に触れてきた。
ああ、オマエ。オレが否と言うわけがないだろう―――?

「望むままに、」
蒼を見詰め、微笑む。
「愛しているよ、オレの天使」




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