「―――――ァルド……?」
掠れて聞こえづらいほどの声。
「そう。あンた、欲しがってただろ、」
ぽうっとしているシャンクスの耳に低く笑いながら囁く。
リカルドも僅かに声を立てて笑いながら、シャッターで絵を切り取っていく。
こんなセックスの真っ最中でも、きっと睦み合いとしか撮られてないのだろう。
甘い息を零していたシャンクスが、僅かに甘く鳴いた。
ゆっくりとシャンクスの内から引きずり出す。

抜き取ると同時に先ほど注ぎ込んだ体液が、とろりと零れ出て行き、またコイビトが鳴いた。
「あ、ンぁ、」
くう、と唇を噛んだシャンクスの腰を支えたまま、ゆっくりとリネンに仰向けに押し倒す。
金やらエメラルドやらバロックパールが零れた場所。
それらよりキレイな翠が、ゆら、と揺れた。
「まだ足りないだろう?」
低く笑って頬骨の上に口付ける。

少し首を巡らせるようにして、その翠がリカルドを探していた。
リカルドがカメラ以外のものも手にしていた。
100本ほどの、甘い香りを放つソレ。
“スターリング”、赤の濃度が薄い、薄紫の薔薇の花束。
考えることは同じだな、親友。

「キレイだよ、いまのシャンクスが一番」
とん、と額に軽い口付けを落としながら、リカルドが笑っていた。
くう、と眉根が眼下で寄っていた。
目が、それだけでは嫌だと訴えている。
低く笑ってシャンクスの脚を指先で撫でる。
「―――ん、く」
甘い声が漏れ、ますますリカルドが笑った。
「足りないんだ?」

ぱらぱら、とリネンに100本の薔薇をリカルドが放っていく。
もどかしげにリネンに腕を伸ばしたシャンクスが、慌ててそれを引き戻していた。
パールの付いたピンに指先を刺したらしい。
その指先をリカルドが引き上げた。
盛り上がる赤。
「貰ってイイ?」
リカルドがオレを見下ろしてくる。
欲情とは無縁の視線。
深いだけの愛情、そんなものを否定するわけがない。
「シャンクスに訊け」
口端を引き上げる。
リカルドも目線を和らげた。

ゆら、と蕩けて揺れる翠を黒が見下ろす。
「イイ?」
「――――――ん、」
とろ、と滴るような声。
リカルドがふわりと笑い、引き上げた指先を口許に持っていくのにあわせ、身体をずらす。
「クッテ、」
強請る声のシャンクスが、リカルドに合わされているのを邪魔しないように。
「赤は命の色だね」
リカルドが静かに笑った。
生命を注ぐ場所には、僅かに白濁した蜜が盛り上がっており。
リカルドがそうっと口許に引き入れるのに合わせて、柔らかく蕩けたそれを口に含んだ。
「――――――あぁ…っ」

甘く蕩けた声、びく、と跳ねる身体。
とろりとリカルドが舌を蠢かし、軽く吸い上げるのと同じようにシャンクスのセックスを愛撫する。
「あ、ぁ…、あっ」
戸惑いながらも蕩けた声が聞こえ、リカルドが低く笑っていた。
「ごちそうさま、」
ちゅぷ、と吸い上げながら指を引き抜く音が聞こえる。
くう、とシャンクスが喉を鳴らしていた。
柔らかく反応し出す口中の熱。

甘く口付けを強請る吐息にリカルドがまた低く笑う。
甘い声が、再度口付けを強請っていた。
「シャアンクス、」
あやすように笑うリカルドの声。
泣きそうな顔をしたのだろう、リカルドがますます笑っていた。
「まだ足りないんだ?本当に?」
片足を引き上げさせ、空いたままの入口にそうっと指先を這わせる。
「ァルド、―――お、ねが…っ」
跳ね上がる声。
足先から震えているのを横目で見ながら、ゆるく濡れた入口を指先で辿る。

「縋るのはオレに、じゃないよ?」
リカルドが笑いながら、シャンクスに口付けるのに身体を折っていくのを聞き取る。
はさはさとリネンに髪が当たる音。
僅かに揺れる身体。
吸い上げているものを、ゆっくりと舌で辿る。
ちゅ、と濡れた音が頭上から響く。
同時にシャンクスの身体がまた温度を上げていた。

「―――す、きだも…」
甘えた声が、途中で呑まれていくのを聴く。
リカルドが喉で笑っているのが解る。
く、と背中が浮いていた。
リネンに散った薔薇の1本を引き上げ、花弁の先で肌の上を辿る。
シャンクスが腰を捻らせていた。
唸るような嬌声は、リカルドが呑んでいく。

ちゅ、と軽く啄ばむような音を残して、陰が上がっていく。
そして、そのままぱしゃ、とシャッターが切れる音。
「まだ渇いてるの?」
甘いリカルドの宥める声。
「―――ぅ、」
嗚咽めいたシャンクスの答え。
「なら満たして貰いな。オレはここでアンタを見てるから」
柔らかく甘いリカルドの声。
「アンタが飛ぶまで、いるからさ?」
「――――と…?」
「嘘吐いてどうする」
無意識に甘えた声にリカルドが笑う。
「ほら、埋めてもらいな」
軽く諭すような低められた声。

立てさせたシャンクスの膝に口付ける。
てろりとラインに沿って舌を蠢かす。
シャンクスが、血の引いた指先を口に含んでいた。
すぐに嬌声が零れ落ちていく。
軽く食んで、指先だけを入口に埋めた。
「―――ッァ、」
また閉じない場所、とろりと泡だった体液が零れ出てきた。
そこが蠢く。
緩く歯を立てて、脚を唇で辿る。
「あぅ、…ア、」

また切り取られていく音が響き始める。
シャンクスが、びく、と身体を浮かせていた。
てろ、と内股に向かってそうっと舌を滑らせる。
目線の先で、花弁を腕で押しつぶしているのが見えた。
ふわ、と甘い匂いが体液のソレを押しやるように香る。
く、と柔らかい肉をきつく吸い上げた。
「ああっ」
悲鳴じみた声。
緩く差し込んだ指を軽く内で掻く。
とく、と中心部が熱くなるのが見えた。
上半身を捻っていく。もう片方の手で腰を押さえてうつ伏せになるのを止めさせる。
「あ、―――はァ、」
喉を反らせて喘いだシャンクスの内に、またそうっと指を差し込む。
「―――ァ、あ…!」

軽く擽るように蠢かせながら、上体を倒して臍に舌を差し込む。
きゅう、とリネンごと薔薇を掴んだシャンクスの手の間から零れるビロードのような薄紫。
一番感じる場所を避けて、また高めていく。
「や、―――ぁ、あ」
焦れて鳴いたシャンクスの頬を、新たな雫が伝い落ちていった。
緩く指を小刻みに動かしながら、小さな胸の飾りの周りを舌先で辿る。
「ひ、ぁン…っ」
がり、と肩を引っ掻かれる。
「こら、痛いぞ」
「も、っと―――ッて、」
もっと触って、と告げてくるコイビトの臍に、目の先に入った宝石を落とす。
淡いオレンジのジルコン。
「奥、欲し…っ、」
びく、と跳ねた肌に口付けを落とす。
「んぁ、あ、」

熱い声が聞こえ、喉奥で笑う。
「欲しいなら、手を伸ばせ」
からかうように告げる。
ぴくん、とリネンから指先が浮いていた。
「あンたは何を望む?」
低く囁く。
「――――し、ぃ、」
ゆら、とキレイな弧をソレが描いていた。
くう、と腰に掌が押し当てられ、目線を上げて翠を見下ろす。
「あい、して…?」
蜜より蕩けた甘い声。
虹彩に金が乗る。
「オマエ、を―――」
充たして……?と囁かれ、笑ってシャンクスの両足を引き上げた。

「Mi amado、」
ふう、と甘い吐息を零したコイビトを見下ろしながら、軽く火照った唇を啄ばむ。
眼差しが揺らぎ、けれど翠が移ろうことはなく。
シャンクスがきゅ、と微笑んでいた。
「Yo te amo」
あンたを愛しているよ、と囁き、ゆっくりと蕩けた箇所に埋める。
くう、と脚をかけられた。さらに奥に進める。

息が上がり始めたシャンクスの耳元に口付ける。
蠢く内は素直だ、潤んだままで突き入れるままに呑みこんでいく。
「Sientame dentro」
中のオレを感じろよ、と囁く。
「―――ぅ…ぁ―――」
内が絡んでき、シャンクスが深く喘いでいた。
「Y los ojos que miran encima de su alma」
そしてあンたを見詰め続ける目を、と笑いながら告げる。

シャンクスが薄く唇を開いていた。
言葉ではなく吐息だけが零れていく。
縋るように回された腕に、下肢を引き上げ、密着度をさらに上げる。
「Usted todavia siente el vacio?」
まだ空ろがあるのか、と訊く。
蕩けそうな肌の体温がまた上がっていくのを感じる。

またシャンクスの頬を涙が零れていった。
笑って軽く身体を揺すってやる。
嗚咽とも嬌声とも取れない声が落とされる。
全身で抱きついてくるシャンクスの奥深くに身体を落とした。
甘い声が上がる。
口付ける代わりに耳元に唇を押し当てる。
「全部委ねちまえ、」
囁く。深くスウィング。
「染まっちまえよ、」
「――――――ック、」
「飛んじまえ」
「あああ、」
「手放しちまえ、シャンクス」
「あぁ……ぅっ、」

ぎゅう、と縋ってくるシャンクスを強く抱きしめて、強く腰を突き入れる。
「心配いらない、抱いていてやるから」
「あ、ああ…っ、ぁ」
きゅう、と目を閉じたシャンクスの耳に囁く。
「大丈夫だから、飛べ」
「―――ック、」
ぎゅ、と強く抱きしめられて、深く押し入れる。
ゆらゆらと間近で翠が開き。口端を引き上げて笑いかけた。
「愛しているよ、オレの最愛。オレが充たされてるの、解るだろう?」




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