とろり、と節の溶けた声で名を呼ばれて。
掌の下で跳ねたしなやかな動きを抑えて味わって。
緩やかに快楽に浸っている、と。言葉にされなくても、表情がなにも隠さずに表して。
零れた蜜が伝い落ちるのを舌先で掬う。
引き起こされる熱が上がる、じわり、と。
「あ、ア、んぅ、」

快適なはずの室温が、ひどく重い。零れ落ちていく声に高められでもするように。
声、に。煽られる、一層に。
身体を重ねるごとに、艶めいてくるソレは。
いっそう熱を引き起こしていくのに。まだ先を強請られてでもいるようで。
震える身体を腕に抱きしめたくなる。

狭まる熱に締め付けられて指を僅かに引き出した。
「あ、ンっ」
舌先で昂ぶりに触れ、熱さを薄く確かめて。
びくっと強張り、身体の横、掌で辿っていた脚が細かく震えていた。
奥に触れる前につるりと舌先で丸みを辿って包み込み口中に引き入れる。
「ンんんっ、」

押し撫でて、逃げる感触にまた含みなおして。背中に預けられていた片手が、髪に差し入れられた。
「コォ、ザ…っ、」
舌先で容をなぞってみれば、微かに嗚咽じみた響きが声に混ざって。
あぁ、あンた、キモチイイんだ……？
きつく吸い上げる。
「ア、あ、あァ、」

快楽だけを伝えてくる声。揺れるように捻れようとする腰。縁をなぞっていた指を揃えて押し戻した。
「アアッ、」
きつい中に迎え入れられていく感触に心臓が跳ね上がる。
ぐう、とセトの脚が強張るのを知る。
唇で宥め、掌で慰撫し。
ゆっくりと締め付けてくる内を辿った。
「んぅ、」

まだ濡れるものに唇で触れてから、柔らかい皮膚に舌先で触れる。
「は、」濡れた熱を押し当て、くう、と閉ざされそうになる足を空いた腕で引き止めて。
開かせる、あーあ、セト。おれに脚なんか持たせちゃって……？
美しく、としか言いようがなく模られたしなやかさを見せて脚が動きに従っていき。
膝裏まで掌で、うっすらと火照り汗ばんだ肌を味わう。
「ぅ、ふ、」
くう、と爪先がカールし。カーペットの長い毛足のなかから半ば浮いて。ぴくん、とまた僅かに跳ねていた。

少しだけアツイ皮膚を舌で擽る。
煽る、というよりは。
すぐにでも上がった体温で乾いていこうとする指と奥とを濡らしていくことがプライオリティ、だ。
ゆる、と指の縁に触れて確かめる。
ぴくり、とセトの身体が跳ね上がった。
「ん、ンン、コ、ォ、ザ、」



体内の血が、逆流しているかのように身体中が熱くなる。
蕩ける、沸き上がる、走る快楽に溺れる。
熱い舌が触れてくる。
そこから、溶け出してしまいそうだ。
沸き上がる快楽に、意識は揺れて。
触れるだけ、それなのに。

濡れた音が聴こえる、
羞恥に、快楽に、身を硬くする。
そろそろ、と蠢く指に沸き上がる感覚に、堪え切れずに深い息を吐く。
力が少し抜けたところで、熱く濡れた舌に濡らされる感触に、またぎゅう、と身体を締める。
その繰り返し、エンドレス・リピート。

奥、指を咥え込んだその場所まで濡らされて。
「あぁ、」
エクスタシィ、甘く重く沸き上がるマグマのよう。
く、と指が奥のポイントを掠め、浮き上がった腰、開かされた縁に少しだけ舌先が強く押し当てられる。
「ふ、ぅう、」
チカチカ、と頭の中で焚かれるフラッシュ。
とろ、と零れ落ち、垂れていく冷たい感触に背筋が震える。

指が僅かに内を押し開き、中、唾液を塗り込められるのが解る。
何度も咥え込んだその場所が勝手にひくつき、その度に快楽が深まる。
「コ、ォ、」
ジレッタイ、
じわじわ、と沸き上がるばかりの快楽に、どうしようもなく震える。

指の側、蠢く内と外の境界線。
きゅ、と吸い上げられて、思わず腰を浮き上がらせた。
「アアッ、」
指、奥まで入り込んできた。内、擦られてまた勝手に腰が揺れる。
そのまま指の間からぬるりと入り込んできた感触に、逃げたくなる。
「は、あァッ」

逃れるように落とした腰を掴まれ。
また別のタイミングで、中、奥のスポットを押上げられた。
ビリ、と走る電流、快楽。
「あああっ、」

髪に差し入れていた手を滑らせ、オトコの肩に指先を潜り込ませる。
もう片手は、長い毛足のカーペットを引っ掻く。
ぐう、と奥まで滑った熱く弾力のあるものが差し入れられる。
足の間に触れる感触で、頤を少し動かしたのだと解る。
「あ、あ、あ」

何度も、フラッシュ。
シナプスがショートしているのかと思うくらいだ。
さらさら、と掌が脚に触れてくる感触に分散される快楽の起源。
何度も沸き上がる蜜が垂れていく感触すら、快楽に転化される。
「あァ、」

息が苦しい。
熱くて、中から焼けそうなほどに体温が上がっている気がする。
く、と舌が引き出されていく感覚に、背筋が震えた。
「っ、」
とろ、と零れたものを、熱い舌先が舐め上げていった。
同時に、くう、とさらに拡げられる入り口。
ぎゅ、と引き絞って指を締め付ける。

「アマイ、」
「く、ぅンッ、」
齎されるコトバが、ずくりと腰の奥に響いた。
内でバラバラに動く指が、弾くようにポイントを抉っていく。
ずく、と冷えるような感覚を覚えるほどに強い快楽。
「う、あ、ア」
「セト、あンたのくれるモノは、ぜんぶ、」
掠れた声、不思議と全部耳に届く。
キーン、と耳鳴り、強くなり、また舌先が昂ぶりを辿っていく。
「は、あンぅ、」

引き出されていく指に、身体が勝手に震える。
自分のリズムでないタイミングで排出する感覚に四肢が震える。
ぐ、と腰に手を掛けられて、ぐるん、と回る感覚。
昂ぶりが硬めの毛足に擦れる感覚に、震えた。
く、と腰を上げられて、息を呑む。

つう、と唇が背骨に添って辿っていく。
所々で起こる痛みと熱。
またいくつかの痕を残されているのだろう。
「コ、ォっ、」
カーペットに額を押し当てる。
指先でウールにしがみ付く。
ヒップに、甘く鋭利なエナメルがもぐりこんでくる感触。
「や、ア」
甘い痛みに、首を振った。

さっきから零しっぱなしの蜜を、コーザの掌が拭い取っていった。
背後で濡れる音。
ああ、その先、回らない脳味噌でもなにをオトコがしているのかを知る。
「ふ、ぅ、」
息を一つ呑んだ。
く、と肉を開かされる感触。
熱く濡れた粘膜が、開き始めた場所に触れてくる。
「ん、んんんっ、」
びくびく、と腰がゆれるが、掌に阻まれて動くこともできない。

くう、と潜り込んできたものに、かあっと体温が上がった。
ぴちゃぴちゃ、と濡れた音、内と外の境界を何度も行き来する柔らかくて硬い筋肉。
「あ、ア、アア」
喰われている、オトコに。
ケモノみたいに、音を立てて。
「コ、ォッ、」
く、と僅か歯を当てられて、腰が揺れた。
頭がぼうっとしてくる。
まるで襞が締め付けるのを面白がるかのように、舌がゆっくりと引き抜かれた。
時間をかけて、ゆっくりと。

くぅ、と腰を抱え上げられて、息を呑んだ。
撓んだ背に、口付けられて震えた。
「キ、モチ、イ…ィ」
恐ろしいくらいに、深い快楽。
く、と昂ぶった熱が僅かに押し当てられる感触。
ひくん、と引いた腰、宥めるように蜜を零し続けている昂ぶりを柔らかく握られる。
「コ、ォ…ッ」
ぐう、と柔らかく重心をかけるように、少しだけ押し当てられる。
「ふ、っ」
「セト、」
ぺろ、と背中舐められて、身体が跳ねる。
昂ぶりを握り締めている大きな掌の上に片手を重ねた。
「あンたのなか、イレサセテ…？」
甘えた声、荒い自分の喘ぎ声の間から聞こえてくる。

くう、と受け入れる入り口を意識して収縮させた。
「こぉ、」
肩越し、見上げる。
オトコの、欲情したカオを。
ぐ、と少しだけ身体が強く押し当てられて、くぷ、と入り込んでくる塊に、びくり、と腰が揺れる。
それでも視線、合わされたまま。
「あ、ア」

深く息を吐く。
目が、ホシイホシイホシイ、と告げてくる。
一瞬、目を閉じて、唇を舐めて。
目を開いてから、無理矢理笑いかける。
「来、い、」



触れたなら、きっと。熱くて蕩けだしそうな蒼、眼差しが寄越される。
コトバをどうにか、掠れた音に乗せたセトが。
何かを揺さぶる。酷く奥、意識の底から何かを。

腕を伸ばして、その目元に触れた。
頬、唇、となぞり。
また身体を拓かせる。
「こぉ、」
空気が微かに揺れる。囁き声。
引き上げさせた下肢にふるり、と緊張がわずかに走り。
端麗なカオが。眉根を寄せた所為でひどく淫靡なソレに変わる。
指先を零れた蜜が濡らしていき。
火照って、何度も味わった所為でほとり、と熟れたように色を乗せた唇は熱い息を絶え間なく落としていく。

襞が呑み込むように収縮するのを直に伝えられ。
浮いた汗で背中の陰影がうっすらとその形の美しいことを突きつけ。
抗いきれずに口付けを落とし。
くう、と撓む線を舌先で確かめ、また身体を熱の最中に押し入れる。
じわ、と締め付けられ。薄く背に痕を散らせる。
「ア、ア、あ、っ、」

すこしずつ、快楽に揺れながら受け入れられていくのを絡みつくような襞を押し分けて奥まで。
鼓動よりも遅いリズム、秒針に従うように身体を割り拓かせていく。
何度も、セトの身体が奥から震え。
張り詰めたまま濡れる掌の中のものが、快楽を伝えてくる。

肩口、唇を落とす。
熱に浮かされた肌が、唇に甘い。
肌に触れたまま、名前を零す。
降ろした目線の先、セトの指先がカーペットに潜り込んでいた。
縋って。
腕から、肘へと。
掌を滑らせ。そんなモンに縋るなよ、と耳朶に声を落とす。
「ふ、っく、んんんっ、」
きつく収縮を繰り返す内が落ち着くまで、口に含み。濡らし。
そのまま、手を重ねた。
指を開かせる。

きゅう、と。指を挟まれ。
「こぉっ、」
「そ、」
また耳朶を伝って声を落として。
どこか幼い口調のセトに伝える。
あンたを抱いているのはおれで、あンたに包まれているのもおれで。
なによりも愛しているのもおれだよ、と。
「―――わかる…？」

ゆるく、奥を穿つ。
「こ、ぉ、…っ、」
撓む背がイトオシイ。
咽ぶように幼い声にタマシイが捻れるかと思う。
きゅう、と絞られる内にクルオシイ想いが溢れる。
「ん、ンッ」

身体の間から、乾いた音など皆無になり。
手の甲に押し当てられた唇から喘ぎが洩れる。
緩く、熱を絡み取り、引き出しては穿つ。
零れる息が熱を増し、セトの濡れて重みを増した髪がフロアに掠めて揺れた。
零され続ける甘い声は。ただの媚薬で。
もっと、と飢える、渇き。
「セト、」
「ア、ア…ふ、」
快楽に溶けた声、あぁ、あンた。すげえキレイだ。

ぺろ、と。熱く濡れた熱が指を舐めていく。
ぐ、とキツク。セトの身体が跳ね上がる点を穿つ。
「は、あンぅ、」
落とされた肩を引き上げさせ。
びくびく、と。
キレイなサカナが跳ねたかと思う。

熱を混ぜ合わせ。悦楽を溶かし込み。
ぴたりと、濡れた肌を合わせる。
離れていく瞬間と、ゆるく最奥にまで突き嬌声とに迎えられ。
駆け上がっちまえ、と思う。

「セト、」
「フ、ぅ、く、あ、ア、」
肩口、カオを埋める。
吐息を落とし。
跳ね上がった鼓動に任せて連れて逝っちまうよ？
どこか、高いところ。
覗いてみようぜ？




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