す、と琥珀色の眼が細められ。
「言ってもらえちゃったよ、」
キャッツアイが目前できらっと光りを弾いた。落とされた声音が耳を擽る。
「ん、」
うっとりと笑みを返せば、ちゅ、と潤んだ目元に口付けられて。そのまま片手が下へと滑っていく感触に、肌を粟立たせた。
さら、とボトムスが寛げられ、安堵にも似た吐息を落とす。
する、と引き出されるというよりは飛び出した熱に直接触れられ。
「ふぁ、」
思わず揺れた腰と共に喘ぐ。先端は既に濡れていて、濡れた音が耳に届いた。
「あ、ア、」
びくびくっと身体が跳ねた。そのまま濡れた音を立てるように扱かれ、コーザの首に片腕を回して深く喘ぐ。
「んっ、」
す、と顔が寄せられ。喘ぎ声を閉じ込めるように唇が合わされた。

「んぅ、」
くり、と濡れた先端を割り開くように強く擦られ、びくびく、と身体が跳ねた。そのまま全体を軽く辿られ、く、と勝手に腰が揺れる。
きゅ、ときつくすぼめられた手に扱かれながら、何度も自分からねだっているかのように腰が自然と揺れる。くちゅくちゅと濡れた音を立てて扱かれ、強くコーザの首に縋った。
「んん、」
息苦しくて砂色の髪を少し強く引けば、きゅ、と舌を吸い上げられてから口付けを解かれる。
「こぉっ、」
首元に移った唇が、ゆっくりと時間をかけて開けられた肌を辿って腰骨あたりまで落ちてくる。その間も濡れた音は響き続け、何度も甘ったるい嬌声を零す。
「ん、あ、ァんっ、」
震える身体を圧し止めるように恋人の身体が体重を落としていき。簡単に追い上げられていく身体のコントロールを手放して、コーザに縋る。
「こ、おっ、」
更なる刺激を求めて腰を揺らせば、濡れた先端を尖らせた舌先で擽られた。
「あ、アんっ」
ひくん、と腰を揺らせば、熱い粘膜に中心部が包まれた。

「ぃい、よぅっ、」
ぺちゃぺちゃ、と何度も舌を這わされ、強弱を付けて吸い上げられ。何度も快楽に身を震わせる。
「も、ぃく、」
くしゃりと砂色の髪を乱して、咽ぶように喘げば。一際強く吸い上げられて、せきとめていたものを開放する。
「あ、ああ…っ」
びくん、と腰が跳ね上がり、コーザの口に熱を注ぎ込む。ちゅ、と最後まで吸い出されて、何度も身体を震わせた。
「はぁ、ァ、っ」
こく、と嚥下する音が響き。 する、と恋人の頬を指先でなぞる。
熱っぽい琥珀色のキャッツアイが見上げてきて。潤んだ視界のまま、見詰めて笑いかけた。うぅ、照れるぞ。

コーザがぺぇろ、と自分の唇をゆっくりと舐めた。残滓を味わっているみたいにだ。しかも、目は半分閉じられていながら逸らされることはなく、思わずかああっと顔が赤らむ。
に、と笑ったコーザが、きゅ、と腰骨の一番下お臍の下に、淡いキスマークを残していった。過ぎ去った快楽の名残が漣のように通り過ぎていき、思わず眉根を寄せてしまう。
腰に置かれた指先にも、く、と力が入れられ、一つ深い息をする。…ここからはどうしても、流されるわけにはいかないもんなァ。
「心身ともに、ご馳走様でした、ってとこかな」
そう言ったコーザが、ぺろ、と臍からみぞおちまで舐め上げていった。
「っ、」
その間にも、滑らかな動作で服装の乱れを直してくれる。それから、ぎゅうう、と両腕で抱き締められて、する、と恋人の肩口に懐いた。アリガトな。
「んー、我慢の利かねェ小僧で悪い」
そう声低くて甘い声が告げてきて、小さく首を横に振る。だって、もっとって望んだのはオレなんだし。

「ランチよりもセトを愛したいのが本音だけど。アントワンも、セトとは比べ物にならないけど大事だし。―――後はいいコに徹するさ」
そう言って黒髪に顔を埋めてきた。さらさらと砂色の髪を撫でて、横顔に口付ける。
「…オマエはいいの?」
さらりと首筋を指先で撫でる。
「オレもしようか?」
オレばっかり気持ち良くさせてもらうのはなぁ、年上の恋人としては淋しいぞ?

ちゅ、と耳元に音を立ててキスされる。
「本気のデザァトにそれは取っておくべきか……、あるいは素晴らしすぎるオファに一も二もなく乗るべきか、それとも―――」
きり、と耳朶を軽くピアスされ、こくっと息を呑む。
「王子のご意見を賜るか」
くくっと耳元でコーザが笑う。
それから、
「んー、」
と軽くリンカーンの天井を見て考える振りをして。
「おれ、好物は最後に食べるタイプかも」
セトに逢えたのも遍歴の最後の方だし?と言ったコーザの頬を指先で撫でて、キャッツアイを見詰める。
「それにさ、」
する、と項を温かい手に撫で上げられる。
「そんなオファされちまったら、アントワンとのランチデート、即キャンセルしそうだ、おれ」
する、とまた首筋を唇で触れられ、両腕をコーザの首に回す。

「じゃあ今はキスだけにしとこ」
はむ、と唇を啄む。ふわ、と香ったものに苦笑に似た笑みを刻む。
「…セックスのニオイがするね、」
んん、ちょっと頭がくらくらするョ。
ぺろ、と恋人の唇を舐める。
「大好きだよ、コーザ。オマエに溺れたくてうずうずしてる」
ふふ、と笑う。
「あとでオレにもさせてな…?」
オマエを愛させてくれな…?
「セト、」
酷く甘い囁きが耳に響く。
「おれの一番最初に愛したひとに、いまのあんたはほんの少しだけ似てる、」
外見だけね、とそうっと言葉にして、コーザが額を合わせてくる。ふぅん、似てるんだ、オレ……?
だから最初はちょっと戸惑ったンだよ、これが種明かし。そう続けたコーザの頬に指裏を滑らせる。
ちょっとした悲恋だったしねぇ、と溜息混じりに告白し、くうっと背中に腕を回してきたコーザの背中をゆっくりと撫でる。
頬が髪に押し当てられ、さらさらと砂色の髪を梳く。じゃあ辛かったその恋の分も、オレにオマエを愛させてな?これからもずっと、命が尽きてもオマエのことを愛し続けるけどさ。

暫く抱き締め合ったまま、優しい沈黙を挟む。愛しさだけがより募って、抱き締めている腕にさらに力を篭める。
コーザがそうっと口を開いた。
「溺れてくれるんだ?じゃあおれもあんたの愛情に溺れよう」
セト、と。愛してる、と告げてくる時と同じくらいに愛情を篭めて名前を呼ばれる。
ゆっくりと腕を緩めて、そうっとコーザの傷に口付ける。
「オマエを愛してるよ、コーザ」
柔らかな光りに煌めくキャッツアイに微笑みかける。
「誰よりも深く、永遠より長くオマエを愛するから……安心して溺れてくれな?」
ちゅ、と柔らかく唇を吸い上げて、また笑う。
「アントワンには悪いけど、食事中もオマエから離れられないかも。足とか伸ばして、オマエに触れたりしててもいいか?」
「プリンス・セト、」
くくっとコーザが笑う。キャッツアイがくすぐったそうに細められている。
「最初からおれの左隣に座ってもらおうと決めてたンだけど、」
する、と唇に柔らかく触れられる。
「なんでもない振りでセトのことそうしたら触れていられるだろ?」
そう言って、にこ、と笑った。
「向かいなんかに座らせる気、ねェよ」
かぷ、と顎を齧られて、ふふっと笑う。
「じゃあ大きなテーブル席でも一緒に座ろうな」
するりと恋人の耳朶に指を這わす。

「アントワンに、オマエらもうさっさと帰りやがれ、って言われたら、しめたモンだけどな、」
きゅ、とコーザの背中に腕を回して、コツンと額を合わせる。
「けど、アントワンの前でこっそりイチャイチャするのはたのしそうだ、」
にっこりと笑う。
「食後のデザートも楽しみだし。わくわくするなァ、」
ちゅ、と口付ける。
「んん、ふわふわとろとろしたまま、一日を過ごせそうだヨ」
そして囁きを口付けの距離で落とす。
ひとまず、周りの人間が固まっても責めないでおこうな……?
「アントワン、」
と囁いて、ちゅ、とキスが落とされる。
「そこまで甘やかしてくれねェだろ、」
にぃ、とコーザが笑って、もう一度下唇をぱく、と食まれる。
「セェト?」
悪っぽい笑顔の恋人が、覗き込んでくる。
「じゃあ、いまの気持ちをキスで表すとすれば、」
ちゅ、とまた啄ばまれる。
「おれの愛しい恋人は、どうやって溺れさせてくれるワケ?」

コーザの言葉ににっこりと笑い。とん、と恋人の身体を突いて、シートに横たわらせ。そのままゆっくりと覆いかぶさり、がぷ、と口付ける。
「言葉にするなら、めろめろだから襲いたい気分。だから…」
に、と笑いかける。
「暫くは大人しく組み敷かれてろよ……?」
「あァ、了解」
ふにゃ、と笑った恋人が、垂れ下がった黒髪をさらさらと指で梳いてくる。
「”ずっと”じゃ困るけどネ、」
少し首もたげて頬に口付けてきた恋人に、にひゃ、と笑いを返す。
「なぁ、セト。企み顔も綺麗だな、」
指で目元を優しく辿る恋人の鼻先に軽く鼻先を擦り合わせてから、ゆっくりと唇を合わす。
きゅ、と背中に腕を回してきた恋人に、にっこりと笑いかけてから、そうっと舌を薄く開いていた唇に差し込む。
深く搦め捕りながら、こっそりと考える。ベッドでどうやってこの愛しい年下の恋人を喜ばそうかを。
僅かに舌が擦れ合い、意識を今に戻す。
後の事はベッドで抱き合いながら二人で考えればいいか。ひとまず今はキスに専念しよう。
たまにはオレの背中を掴んでくるくらい、感じてくれるかな……?ま、オマエはきっとオレのこと、咲き誇らせてくれるんだろうけどね。





FIN






BACK