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 One day of the wild child * ベベ・サンジの一日(1)
 『Couple years after graduation』
 
 
 「あー、サンドラー?テレビ観た?そうそう、ダンテ、すっごいねえ!もう結婚だって」
 NY郊外にある自宅で。
 カウチに寝そべって、テレビを見ながら会話中である。足元では大人の狼がだらりと寝そべり。その足元でわらわらと4匹の仔が走り回っている。
 『すごいって、アナタだって卒業と同時に結婚したも同じじゃないのよ』
 ケラケラと電話越しに笑うサンドラに、ええー、と声を上げる。
 『なぁによう、違うとでも言うの?』
 「卒業前からだもんー」
 『あーらあらあら、そうだったんだぁー』
 えへへ、と笑ったなら、相変わらずね、と突っ込まれてまた笑う。
 
 「結婚式、サンドラ、呼ばれたでしょー?オレの分もよろしく言っておいて。カードは…あー、住所解らないからサンドラのトコに送っておいていい?」
 『いいわけないわよ、ダンテに了解を貰ってアナタに住所横流しにするから。自分で送りなさい』
 「あ、そっか。それもそうだよね。じゃあオネガイ」
 『ハイハイ。きっとダンテ、アナタたちも呼びたいと思ってるけどね』
 「うーん、ちょっと出るのは無理だなあ。だってテレビで結婚式放映するんでしょう?」
 『あら、アナタにしては事情通ね、ベイビィ?相手の子がアイドルだから、MTVでやるとか言ってるわね』
 「相手の子はしらないケド、今テレビ観たら丁度言ってたから」
 アハハハハ、と朗らかな声が受話器越しに響いてくる。
 『アナタの家にテレビがあるってだけで驚きだわぁ、サンジ』
 「テレビくらい、あるよ?時々見るの」
 『何を?』
 「ディスカヴァリ・チャンネル」
 『アハハハハハハハ!変わっていなくて嬉しいわ、ベイビィ』
 
 ァウン、と鳴いてカウチの上に飛び乗ってきた仔を抱え込んで、サンジが小さく笑った。
 『あ、今の。アナタのベイビィ?』
 「そう、もう随分と大きくなったよ。この仔、キャルはそろそろ嫁入りするんだよー」
 『まーあ。本当に?』
 「ウン。サンドラは大学院そろそろ卒業?」
 『そう。色々面倒で大変なのよ、政治学の論文って。でも遣り甲斐はあるわ。アタシ、こっちの方が性に合ってたみたい』
 「ワシントン行くの?」
 『卒業したら?そうね、誰か有能そうな候補見つけて、ケツ叩いてみるのも楽しそうね』
 「わーお、サンドラカッコイイ!!」
 『ふふん、任せて――――あ、誰かきたみたい。また電話するわ』
 「オッケィ。またね、サンドラ!」
 『バァイ、ベイビィ』
 
 通話を切って、受話器をカウチに置き。顔をてろりてろりと舐めてくる仔狼に笑いながら、ぐりぐりと鼻面を押し付けて挨拶をする。
 「キャルはそろそろシロウのところにお嫁さんにいくんだもんねー」
 きゅわん、と鳴かれてサンジは笑った。
 「早くゾロにおとーさんの所に連れていってもらわないとね?行くとしたら、やっぱり一家総出がいいかなぁ?ゾロに相談しないとね、ふふふふふ」
 
 
 
 (*嫌〜なカオをするに決まってるヒトデナシを含め、相変わらずな彼ら。でもすっかり“家猫”なベベです。せくしぃにゃんこ。そして狼たちはコドモタチです。そんな彼らは謎パパのところに総出で押しかけるのか?!シロウくんもよい兄弟を持ったね<あれ?)
 
 
 
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