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 Some Kind of Wonderful(アリゾナ的色々小話)
 
 
 
 『ベベは相変わらずである』
 
 
 
 猫兄弟、よく電話掛け合ってます。相変わらずヒトデナシが隠匿してるから(でも前よりはセトちゃんに会わせてくれるようになったらしい)。
 
 
 
 サンジ@NY郊外の自宅>「ハーイ、セト?サンジです」
 セト@ロンドン郊外の自宅>「ハイ、ベイビィ。元気かー?」
 
 
 ベベはベッドに寝転がって、セトちゃんはソファの上でゆったりと寝そべりながらのお電話です。
 
 
 さ>「元気。兄貴は?」
 せ>「元気だよう。今からシャワー浴びて、レッスン行く支度してたところ」
 さ>「…ああ、いまそっちは朝?」
 せ>「そうだよ。朝八時。そっちは今…午前3時?」
 さ>「ウン」
 せ>「なにしてンの、そんな時間に」
 さ>「これからゾロが帰ってくるから。オレも森から帰ってきたところ」
 
 せ>「…相変わらず、なんだな」
 さ>「一応シャワーは浴びて、人には戻ってるよ?」
 せ>「別にアイツはそれは気にしないと思うけどな」
 さ>「うん。前に平気だって言われた」
 せ>「あそう…」
 
 暫しセトちゃんの次の公演のことや、サンジのところにいる狼たちの近状、実家の話などを交わします。
 
 
 せ>「で。オトウトは何時に帰ってくるって?」
 さ>「朝だって。何時とは言われてない」
 せ>「マジで相変わらずだなあ。オマエ、もしかして寂しかったりする?」
 さ>「ん?ゾロがいないのは寂しいよう。でもアッシュとレディがいるし。シアラもノワールもルディもキャルもアルもいるし。おっきくなったよう」
 せ>「それはさっき聞いたよ。まるまるしてンな」
 さ>「ふふ。キャルかシアラは、シロウのお嫁さんにしようかと思って、ゾロのダディに打診しようか迷ってるとこ」
 せ>「話ししておこうか?」
 さ>「んーん、いい。ゾロに先に相談しないとね」
 
 
 答えはどうだったのか、気になるところ。(笑)
 
 
 さ>「あ、ねーえ。ちょっとセトに訊きたいんだけど」
 せ>「んん?なんでしょう、ベイビィ?」
 さ>「コーザって…噛む?」
 せ>「ハイ?」
 さ>「だから……抱き合ってる最中に噛む…?」
 
 オーマイガ、電話で朝っぱらからナンテコトを訊いてくるんだい、と脳内でオニーチャンは大絶叫中でありますが。どこか真剣みを帯びたベベの声に、軽い溜め息一つ吐いて、心を決めます。
 
 せ>「噛むよ。だからなに?」
 さ>「…噛むのって、普通?」
 せ>「さぁ?でもオレも噛み返してるケド?」
 さ>「え?」
 
 セトも噛むんだあ、ふぅん。等とベベも思っております。だったら普通なのかなあ、とあっさり結論に達してたりして。(笑)
 
 せ>「で、それがどうしたわけ?」
 さ>「うン。あのね…、ゾロも噛むんだけど、」
 
 そりゃ噛むような相手じゃなけりゃ、オマエは訊いてこないだろーが、と。弟を溺愛しているオニーチャンは、全力でツッコミたいのをガマンします。
 
 せ>「うん、それで?」
 さ>「最近ね、オレが変なの」
 せ>「…変」
 
 さあ来るぞ来るぞ来るぞーッ。大津波警戒警報発令!とか王子が思ったかどうかは知りませんが、一応心構えをドウゾ。
 
 さ>「なんかね、…例えば車に乗ってたりして」
 せ>「ふんふん」
 さ>「なんとはなしに、話しとかしてるじゃない」
 せ>「うん」
 さ>「で、その内、キスしたり、指絡ませたりするじゃない」
 せ>「ウン」
 
 オニーチャン、内心大絶叫中です。そんな甘々でカワイラシイことしてるのか、オマエらーッ、とか本当は叫びたいくらいです。
 
 さ>「で、ちょっとした弾みで、ゾロがね、耳とか首筋とか、かぷっとするんだ」
 せ>「まぁそれはするだろ、普通」
 さ>「あ、そうなんだ。……でね?」
 せ>「ハイハイ?」
 さ>「かぷ、でも、がぷ、でも。オレね…?」
 せ>「うん?」
 さ>「…一瞬でぴりってなって、ゾクゾク止まんなくなっちゃうの」
 せ>「ふーん。敏感チャンだね、オマエ」
 さ>「うん。で、かぁって身体が熱くなって…一気に感じちゃうの」
 せ>「……あらま」
 さ>「もう心臓とかどきどきになってて。頭クラクラして。すっごい…シタくなっちゃうの」
 せ>「……はぁ」
 
 …オレの天使チャンってば、もしかして超淫乱チャンに仕立て上げられちゃったのか、と。おにーさまは呆れるやら笑えるやら、で笑いを殺すのに必死です。
 
 さ>「オレってオカシイ…?」
 せ>「や、まぁいいんじゃねーの?」
 さ>「…へ?」
 せ>「や、だって。オマエ今年で21ダロ。ヤリタイ盛りじゃん」
 さ>「…シーズン中ってこと?」
 せ>「そう。身篭れないから、万事シーズン中」
 さ>「…そっか」
 せ>「そうされたいのも、そうされて感じるのも。オトウトが相手の時だけなんだろ?」
 さ>「ウン。モチロン。ゾロ以外の人間になんか、噛まれたくない。そうされたら喉笛食い千切って逃げそうだよ、オレ」
 
 相変わらず甘々チャンなんだか物騒なんだか解らないコだねえ、とか思いつつ。王子、弟を嗜めます。
 
 せ>「自分のテリトリィ以外じゃするなよ」
 さ>「ウン。いまは外出の時は、ゾロと一緒じゃなければ行かないから」
 せ>「森の中は?」
 さ>「オレと狼たちだけ。オフリミットにしてもらってるし、周りはフェンスで囲ってあるし。誰かが入ってきたら直ぐに解るってセキュリティになってるし。それにアッシュとレディは人に慣れてるけど、服従するのはオレとゾロだけだから、知らない他人が勝手に入ってきたら教えてくれるし」
 せ>「ん。じゃあ別に問題無いんじゃね?」
 さ>「そうかな」
 
 せ>「抱かれてる時に散々噛まれたんだろ、オマエ。だから噛むことが快楽に直結しちまっただけだよ」
 さ>「パブロフだね」
 せ>「そんな名前だっけか?」
 さ>「ウン。ああ、そっか。わかった、どうもありがとう」
 せ>「イエイエ」
 
 オレの天使チャンってばオトナになったねえ、と妙な感慨に耽っている王子に、ベベが一言。
 
 さ>「ねえ、じゃあセトもそうなる?」
 
 絶句した後、王子は一拍置いて、弟に返事します。
 
 せ>「さあ、それはドウデショウ?」
 
 
 答えはコーザだけが知っている…筈。(笑)
 
 
 
 
 
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