*60*
酷く甘い顔をルーシャンが浮かべていた。
痩せた頬は色付いて鮮やかになり、ブルゥアイズは潤んで、けれど懸命にパトリックを見上げてくる。
くく、とパトリックは笑った。
「そうだな、ルーシャン。オマエはオレのだ」
するりとルーシャンの腰を手で包み込み、広いベッドの上でころりと位置を入れ替える。
「―――――――ぁ、ぅッン、っ」
甘い声を上げたルーシャンが、きゅ、と眉根を寄せているのを下から見上げる。
「今度は自分で動いてみな?」
パトリックがからかうようにルーシャンに告げて、きゅ、と尻肉を揉みあげる。
視界が変わり、初めてパトリックを“見下ろす”ことになったルーシャンは、どうやら戸惑っているようだった。
「っゃ、ア、っ」
くん、と腰が揺れて、ルーシャンがますます困り顔になる。
「自分がどんなモノを望んだか、ちゃんと自分で確かめてみろ、仔猫チャン」
にぃ、と口端を吊り上げる。
「オマエがオレのだっていうのなら……わかるよナ?」
ふる、とルーシャンが首を横に振る。
「んん?」
手をヒップからずらして、ルーシャンの頬を包む。
「わからないか、ルーシャン?」
きゅ、と胸の上でルーシャンの掌が握りこまれたことに、パトリックは薄く笑い。そのまま、ゆる、とほんの僅かだけ、腰を揺らす。
ぐら、とルーシャンが上体を揺らがせていた。くう、ともう一度だけ首を横に振るのに、さらりと頬を撫で下ろす。
「オレを気分良くさせてくれよ、カワイコチャン」
に、と笑ってパトリックがからかうように告げる。
「オマエがどんなにイイモノだか、オレに知らしめろよ、ルーシャン」
とろん、と甘い掠れた声で、ルーシャンが囁いて返してきた。
「ゃだよ、」
「なんでだよ、」
笑ってパトリックが返す。
ルーシャンが熱い息を切れ切れに零した。
とろりと柔らかく瞬きをし。
「……も、すこし、」
息が切れたのに、く、と僅かに首を傾げて言葉の先を促す。
こく、とルーシャンが息を呑んだ。
「あんたの顔、見る」
そう言って、とろりと柔らかく微笑んだルーシャンに、くっとパトリックが笑った。
「ヘンなヤツ」
さらりともう一度ルーシャンの頬を撫で下ろしてから、その手を腰に落として回し。ぐぃ、と力強く下から突き上げた。
「ヤなら…棄てなよ、」
身体を僅かに落として喘いだルーシャンの尻を、ぺしりと引っ叩いた。
「そういう可愛くないことは言わなくていい」
「門の前で、泣き喚くも…っ、た、ぁ、」
じわ、と涙を滲ませたルーシャンを、ぐ、ぐ、とリズムに乗せて突き上げる。
「二度と棄てねぇから、そういうことは言うな」
ぎゅう、とルーシャンのヒップを両手で強く掴んだ。
「ん、ァ、あ、」
「オマエがココを出る時は、死ぬときだけだ」
胸の上で掌を握りこんだルーシャンの腕を引いて抱き寄せる。
「そういう“約束”でいいんだろ、カワイコチャン?」
こくこくと頷いたルーシャンの背中に両腕を回した。
「パトリック、」
細い声が泣き出しそうに揺れたことに、パトリックは低く笑いながらルーシャンを揺らした。
「だから、オマエが懼れることはなぁんにも無ェよ。たっぷりオレに素直に愛されとけって」
身体を起こそうと腕に力を入れたルーシャンを、下からきつく突き上げる。
「オレに浸かって、オレに満たされて、それで全部にしとけ」
きゅう、と襞がきつくパトリックの屹立を締め上げ。それでもルーシャンが僅かばかりに腰を浮かせていった。それから、ぐ、と腰が落とされ、また深くまで迎え入れられる。
「んぅ、ン…ッん、っ」
す、と見遣ってきたルーシャンのブルゥアイズに涙が盛り上がり、けれど、それがきゅうっと細められていったことにパトリックも柔らかく唇を吊り上げた。
「ああ、すげぇイイな、ルーシャン?」
さらりと背中を撫で下ろして、またヒップを掴み上げる。
「パ、っと…、っ」
深い息を零したルーシャンが、ぐう、と背中を反らし、甘い呻き声を上げていた。
「ぅ、あ、ッア、んっ、」
ぐう、と甘く無意識に腰が揺れたことに、パトリックは牙を剥いて笑う。
びくりとルーシャンの屹立が跳ね、とろりと蜜が零れていったのを見詰めながら、ルーシャンの腰を掴んで、それを基点に立てた膝に力を入れて、グ、グ、と突き入れていく。
「ひぅ、」
「直ぐにもっと上達するよ、オレの仔猫チャンは素質十分だからナ」
ぎゅう、と強くヒップ握り、ベッドのスプリングを利用してバウンスするように腰を突き入れていく。
思わず爪を立てようとしたことに、ルーシャン自身が気づき。手指を慌てて握りこんで、それを自分の口許に持っていっていた。
「……っふ、ァ、っぁあ、」
前髪が揺れて落ちかかるのに、す、と視線を当てて、パトリックが薄く笑った。
「爪を立てたって構わないぜ、ルゥルゥ。オマエは仔猫だからナ」
指を伸ばして、律動を繰り返す入り口をつるりと撫でる。
「――――――ぁ、ア」
びくんと腰を揺らしたルーシャンに、くくっと笑い。深く浅くルーシャンの内側を突き上げる。
「――――――ゃ、おれ、も…っ」
甘い声を零して喘ぎながら腰を揺らすルーシャンに目を細める。
うわ言めいて呟いたルーシャンに、
「ほら、来いって」
そう甘く囁きながら強いリズムで内側を擦り上げる。
「んぁ、ア」
きゅう、と指を握りこんだルーシャンに笑って、熱い内側を遠慮なく突き上げる。
「ああ、ほら。すげえイイな、コレ」
濡れた音がぐちゃぬちゃと響く。
「パァ、っと…」
息も絶え絶えにルーシャンが呼んでくる。
ぐら、とルーシャンが身体を倒しつつ、熱い掌を差し伸ばしてきた。そろりと頬に触れていった感触に、パトリックがふにゃりと笑えば。ひたりと添えられた掌はそのままに、唇が押し合わされる。
突き上げる位置が変わり、ルーシャンが息苦しそうに呻き。けれど唇は合わされたまま、熱心に口付けられていく。
喉奥でパトリックが笑い、けれどもっとルーシャンの身体を引き寄せて、ぐ、ぐ、と突き上げていく。
それでも足りない、とでもいうように、無理矢理腰を落とそうとしていくルーシャンの尻を開いて、一番イイ箇所だけを断続的に擦り上げる。
「ァア、あ、ッア…、」
そう切れ切れに甘い嬌声を零して、ルーシャンが身体を震わせていく。
ぎゅう、と引き絞られ、パトリックも低く唸り。びくん、と身体を跳ねさせたルーシャンの熱い飛沫が身体に散らされるのを感じ取りながら、一際強く突き入れて、内側に蜜を注ぎ込んだ。
「ぃ、ア、あ……っ」
きゅ、と目を強く瞑り。ルーシャンがぼろ、と涙を零していった。
震えながらも強い力でしがみ付いて来るルーシャンを抱きしめながら、パトリックも荒い息を零す。縋るように呼ばれるのが自分の名前であることに柔らかく微笑み、トン、トン、と届く場所全てに口付けていく。
首元に顔を埋めてきた柔らかな金色を、さらりと指で撫で下ろした。
「ルーシャン、仔猫チャン、オレのカワイコチャン」
あむ、と返事の変わりに甘咬みしてくるルーシャンに笑って、ぐしゃぐしゃと濡れて重い金色を掻き混ぜ。次いで、とろとろと甘く吸い上げてくるのに、さらりと背中まで撫で下ろす。
ふ、と重ったるい息を零したルーシャンを抱き寄せたまま、ぐ、と上半身を起こし上げる。
「パトリ、ック、」
甘い声が名前をそうっと呼んでくるのに、アィ、とパトリックが柔らかく返した。ず、とルーシャンの膝を引き寄せてやり、身体を起こして向き合う容にする。
内側に埋められたままの屹立を感じ取ったのだろう、くう、と眉根を寄せたルーシャンの眉間に、トン、と口付けた。
そろりとルーシャンが片手を引き下ろし、きゅう、と腰を掴んでくる。もう片方は腕に回されたままなことに、くくっと笑った。
「深く、に。ある……っ、」
はぁ、と喘ぎ混じりに告げてきたルーシャンの唇に、とん、とキスをした。
「アィ。すごく気持ちがイイよな、ルゥ?」
「ん、ぅ」
泣きそうな顔で、こくこくと頷くルーシャンが、
「ほんと…?」
そう小さな声で問うてくるのに、ふわりと笑って優しいキスをもう一度落とす。
「ああ。すげえイイよ、ルーシャン」
ぎゅう、と抱きついてきたルーシャンの背中をさらさらと撫で下ろしながら、トン、トン、といくつもの場所に口付けを落としていく。
ゆら、と腰を揺らがせたルーシャンに薄く笑って、ぐ、とルーシャンの身体を持ち上げ、膝立ちになる。
「ァア、」
くう、と首を反らしたルーシャンの喉元を伝い落ちる汗を舌先で掬い上げ。甘く声を漏らしたルーシャンに構わず、かつ、と歯を立てる。
「美味いなぁ、オマエ」
「――――――ぁ、ッ」
濡れきった声が耳に届くのに薄く笑って、ぎゅう、と引き絞ってくる内側が唆してくるままに、もう少しだけ咬み付く顎に力を込める。
きゅう、と手が腰に更に縋ってくるのに、顎の力を緩め。てろりと舌先で薄い窪みを辿る。
「パァット、」
揺れて戸惑い、それでも酷く甘いルーシャンの声に、ンん?とパトリックも舌で舐め上げながら応える。
く、とルーシャンが息を呑んだ。
「それ…スキだ、変だ……おれ、」
蕩けて甘ったるい声に、パトリックはさらに優しく、さらりと喉元を舐め上げた。
「変?ちっともヘンじゃねえよ、ルーシャン」
みぅ、と不安がる仔猫のような甘い声に、パトリックは覗き込んでくるブルゥアイズに視線を合わせた。
「イイってことだ、それも全部」
にぃ、と笑って、ぢゅく、と喉元をきつく吸い上げる。
「んん、」
「オレ好みで、オレはイイと思うぜ?」
甘く喘ぐルーシャンの濡れた胸元に手を滑らせていく。
「咬まれて感じて、キツくされて感じまくって。サイコウじゃねえの、オマエ?」
「うぁ、…っ」
するりと胸元を指先で辿り、立ち上がって芯の通った尖りを指先でくるりと押し潰す。
「オレだけのモノで、オレ好みなんだぜ?サイコウ以外のなんだってンだよ、ンン?」
っぁ、と甘く喘いだルーシャンが、きくんと腰を捻っていきかけた。
快楽がさあっと貫かれたままのルーシャンの身体の中を駆け巡っていき、目の前にある顔が甘いピンクに色付いていく。
とろ、とブルゥアイズが見詰めてくるのに、にぃ、と口端を吊り上げて返した。
「オレのイイコチャン」
ふにゃ、とルーシャンが甘えた囁きを零した。
「キスしたい、」
「ん、」
「あんたに、掻き混ぜられてる間、ずっと、」
くう、と口端を両サイド吊り上げ、とん、と柔らかな唇に押し当てる。
「じゃあしがみ付いてろ、ずっと」
ほら、両腕回してこい。そう囁いて、するりとルーシャンの背中に手指を滑らせた。
する、と酷く柔らかに熱く火照った両手が首筋から背中へと添わされていくことに、唇を押し当てたままパトリックが笑った。
「ラフ・ライドもすげえスキだもんな、オマエ」
す、と唇が擦り合わされ、パトリックがとろりと優しくルーシャンの唇を舐め上げる。
「パット、あんただからだ……」
そう囁いて、くう、と自分から下肢を合わせてきたルーシャンの唇に唇をきつく合わせた。
さら、と両手を移動させ、ルーシャンの両足を抱え上げるように位置を変え。甘く震える声を零したルーシャンの唇を舌先で割りながら、ぐ、と腰を揺らした。
「オレのカワイコチャン」
リズムを刻み始める間に囁く。
きゅう、とブルゥアイズが一心に見詰めてくることに、とろりと口蓋を舐め上げる。
「全部オレに堕ちちまえ」
ふる、と背骨の奥から身体を震わせたルーシャンを、ぐっちゅ、と音を立てさせて強く突き入れた。
「んぁう、っ」
「オレのカワイコチャン、一生可愛がってやるぜ」
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