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うふ。ふふふ。上出来だわ。コンテスト総ナメよ!主要4部門、これはこの私が押せえたわっ。
桟橋におりたったメンツをつらりとみてナミはココロで拳をがっと握る。

そう。あの値上げした新聞でナミは知ったのだ。
今週、この島ではありとあらゆるジャンル分けで、ま、「美人コンテスト」をしている、と。オトコの。そのなかから さらにナンバーワンを選ぼうって企画があるわけだ。おかげで、そうじゃなくても人工過密の娯楽島は、賞金目当てや目の保養や健全なる逆ナンとか、着飾った老若男女で溢れかえり。

根っからお気楽なクルーはナミの小遣い稼ぎと退屈しのぎのダシにされていることなど、関与する余地はない。

「しょっちゅう何かのコンテストしてるんだから、写真撮られたりしたら、ちゃんとアンケートに答えておくのよ。連絡先は全部わたしにすること。いい?」
遠足の先生さながらのナミ。
その前におまえに字は書けるのかという疑問は棚上げ。
「おお」
もうルフィはさっきナミから渡してもらった生まれて初めてのスケートボード(炎のペイント付き)を試したくて 夢中だ。全身で「うずうず」を表現してる。

濃茶のムートンレザーの腰下丈フーデッドブルゾンにグレー地ベースのオレンジ、ピンク、ネイビーのボーダーニット、ライトグレーのハーフパンツにブーツは赤茶色。傷もキュートなストリート系スケーター少年さわやかぁわ いい風にナミに遊ばれてるから主旨さえあえば、入賞くらいは軽くできる程度には仕上がっている。
ナミは仕上げに船長から麦わらを丁寧に預かり代わりにキャップを被せ。
「はい行ってよし」
「っしゃぁぁぁぁー」
ばひゅーん。消失。
奇跡のゴム人間はこの島での1日で、伝説のスケーターとなった。
副賞…「飼いたいオトコ」ナンバーワン、の通知と賞金が後日ナミの手に。

「おい、ナミ。あのこ、俺のことみてるよなっ」
ウソップそわそわ。
ゴールドベージュのペイズリー柄サテンシャツに、サンドベージュのコーデュロイパンツ、カラーストーンの着いたスタッズベルト、てな具合にシンプルかつどこかエキセントリックに仕立て上げれてたウソップは黙っててもアーティスト系。いままで妙齢の女の子から熱く見つめられた経験は非常に少なめな奴であり。あっちからこっちから目線が来た 日には。昇天なさる。
「いってくれば……?」
「お、おお!」
ちょっと照れたりなんかして、こいつは立派に「繊細」そうだ。
副賞:「知的な男」ナンバーツー、の通知と金一封が後日ナミの手に。

さて問題はこの二人、とナミは振り返り、再確認。一緒にいると迫力倍増。ちょっと上出来すぎたかも。コンテストのエントリー依頼どころかうかつに声もかけられない風になっちゃって。くー誤算だわ。

サンジくんにはいつもおろしてる前髪を軽く上げさせて、明るい茶色のヌバックのヒップハンガーパンツにアイス ブルーのカシミアVネックニット(薄手/細身はお約束)、シルバーベースに金茶の豹柄ファーストールをくるくる惜しげもなく長くて細い首に巻いて、残りは長く垂らして。足はちょっとゴツめのブーツ。
セクシーかつグラマラス、モード系王子様の出来上がり。なんだけど。

ただ。横にいるのが。ロックスター風だから、王子様は妙に淫靡な雰囲気です。ナミは勝手に解説口調に一人で突入。

ゾロが、はまりすぎたのよね。ナッパレザーのバイカージャケット、色は甘茶でスタンドカラー、カーキのTシャツが首元からちらっと覗いて、ベージュのトラウザーズ、これが上質のウールってところがミソね、レザーじゃなくて。そこにあえて足元にはクラシカルなタッセルモカシンを持ってきて。で、トドメはクロスプリントの眼帯。いつもの三連ピアスだし。どうみてもモダンラグジュアリーなロックスターでしょうよ。キレーで色っぽいオトコ連れた。ああぁイヤミで最低な二人組だわっ。

はぁ。とりあえず一緒にいてあたしが引き受けるしかないわね。目指せ賞金、よ。
「ちょっとつきあって?」
ナミの小悪魔笑顔。全く別の意味で心臓を射抜かれた男二人に選択の余地は無し。




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