一度目に達した時ほどには深くない、けれどそれでも満ち溢れる満足感に浸る。
サンジの甘い声が、身体が、音を立てて滴りそうな具合に、蕩けていた。
突き上げる度に響く粘着音よりさらに濃そうな密度。
縫いとめていたサンジの手を離して、胸まで飛んでいるさらりとした蜜を拭う。
「―――っぁ、」

それにすら感じて、喘ぐ組み敷いた身体。
頬に口付けて、涙を舐めとって。
それから一度荒い息が収まらないままに口付けてから、サンジの身体を抱き上げる。
ぐう、と体重で奥まで潜っていったのを感じる。
「……ろ、ゾ、ろ―――っ」

くう、とその刺激でまた力が漲る。
びくびく、と身体が震えていた。
フー、と息を吐いてから、サンジの身体を引き寄せ、足の位置を無理矢理直してからリネンに背中を着く。
サンジの抱いたままの身体が、びくりと震えていた。
「ハ、…ぁウ、」

「オマエ、上。動いて」

サンジが無意識に足の位置を動かしたのを待ってから声をかける。
「―――――ゃぁ、で…きな―――」
「ふぅん?」
涙声で、サンジが震えていた。
「―――ま、って、」
「マテナイ」
「―――――ぁ、」

ぐ、と両手でサンジの腰を支えたまま、足で下半身を擡げて、突き入れる。
くう、と熱い掌で手を掴まれた。
「―――い、ぁッ、」
「く、きっつ、」
ぎゅう、と締め付けられて、ウメイタ。

こぽ、とオイルと注ぎ込んだ精液と、腸液のカクテルが零れ出ていく。
張りっぱなしの袋を伝い、足の間を伝い落ちて、浮かせた背中までゆっくりと垂れていく。
「う、っく、」
思わず唸り、目を見開くと。
サンジがさあっと胸元まで赤くなっていた。
「オ、マエの中から溢れたの、すっげ、あっちィ、」
緩く焦らすように突く。
「―――あ、んぁうっ」
「火傷、しちまいそぅ、」

ゆら、とサンジの腰が前後した。
ふ、と思いつく。
「サ、ンジ、上体、起こせるか?」
その声に、サンジがぐ、とリネンに手を突っ張り、身体を起こそうとしていた。
擡げていた腰を落とし、上げられやすいように腰を抑えていた手をずらして、胸を少し押上げてやる。

「ん、っく…」
サンジが息を詰めていた。
「ほら、頑張れ、」
リネンに置いてあったサンジの手を、腹に乗せる。
「体重、乗せていいから」

ゆら、と揺れながら、サンジがどうにかといった風に身体を起こした。
滑りかけた掌で落ちないように、胸を抑えて。
「サンジ、膝、立てろ、」
「――――ゃ、ァあ、」
「できるって。ホラ」
サンジがぶるっと震えていた。
つい、と手を動かし、乳首を指の間に挟んで力を入れた。
「ひ、ア、」
びくん、と跳ねて、くうう、と締め付けてきた。
「ふ、…サ、ンジ、」
笑い声に似た、唸り声で返す。

その後に、ざあ、とリネンが引き摺られる音が響き、サンジが膝を立たせていた。
受け入れる位置が変わり、サンジが刺激に喘いだ。
退かしっぱなしだった布団を、手を伸ばして引き寄せ。
ゆら、と身体を傾かせたサンジを一度軽く突き上げてから、布団を背中に押し込める。
「―――ぁあ、あっ」

壁に着いてた方が、楽だけどな。ま、いいか。
ネジが数本跳んでいるに違いない頭で考えて。
それから、サンジの尻を両手で支えた。
「一度、空っぽにしとこーな、」



熱い掌、イキナリ。
ぐらぐらする上体をなんとか支えてたのに。
ヒップに宛がわれて。
「―――――――な、」
中に埋めたままだったのに。ぐい、と押し上げられた。
「―――――ぁ、あ、や…っ」

縋るものは何も無くて。神経が灼けた。
つる、と指先が滑って。
引き抜かれた瞬間、液体の溢れるくぐもった音がして。それがジブンのうちがわから骨を伝って響いて。
耳からも。
「ァ、―――ゃあ、」

拓かされきった場所は痺れたみたいに。
緩んだ口開けたままで、熱いモノが流れ零れて。
ウチから外へ、知った感覚に泣く。
引きつるみたいに、立たせた膝も、リネンについた片足も痙攣するみたいに震えて。
「うわ、すっげやーらしぃ眺め、」
「―――やぁ…っ、ぞ、ろッ」

留まらずに、目を閉じる直前に。
見えたのは、濁って泡立った金色、それがどろりとゾロの腹まで伝い落ちていくさまだった。
「オマエのなかと同じ熱さ、」
ひどく嬉しそうな、低く響いてくる声に震える。
「…ひっ、う」
嗚咽が漏れる。かみ締めた唇の間から。

腰、ずっと上げさせられたまま。
熱をもった視線がずっとあてられているのを感じさせられて。
「ぞ、ろぉッ」
まとわりつく、視線とおなじだけ色を刷いた声に。
「勘違いしそうな色だな、」
「う、ァ…っ」

掴んだままの手首を本能で引き剥がそうとしてた。
「―――――ぅ、っあ、」
「恥ずかしい?」
声が、耳朶を伝って中まで舐め上げてく。
ぎり、と。手首を掴んだ。
剥がそうと。

「―――やぁ、だ、ァ…っ」
ガキが泣いてるみたいな声。
漏れて。
爪を立てる。
なのに、じわ、と押し開いてくるモノに向かってまた腰を落とされて。緩慢に、拓かされてく。
「すげえクる、」
笑い…声?

「――――は、ぁ、ン」
抜かされたときとは別の熱量に喘ぐ。
前にあたる、粘膜が引き攣れる。
流れ出ても、まだ。
濡れきって、溶けそうに熱い。
泣いて、羞恥で。
それでも、濡れて半ば熱くなってた前を片手で引き絞られて。
「ヒ、ァッ」

身体が仰け反る。
「オマエも、すげえ良さそうだな、」
涙が零れてった。
―――きもちいィ。

引き絞っていた手指がずらされて。陰嚢、やんわり揉まれて。
「まだ入ってる?」
「あ、」
身体が傾いだ。

「―――ぁ、や、も…、―――ぃ、や、ぁ」
切れ切れに哀願して。
それでも手指は離してくれないで。
「すげえ薄かったけどな、まだ出るか?」
「―――ぁあ、んッ、あ、ぁ、ア」
やわらかく押し上げられ、掌で包まれて、じわじわと揉まれて。
埋められたまま、熱は側にあるのに手指だけが蠢いて。濡れた声だけが零れてく。

「ゃ、あ」
「ここだけヒンヤリしてるぜ?サンジも触ってみるか?」
「―――やめ…ッ」
首を振る。耳から犯されてるかと思う。確かに、繋がってるのに。ぼろぼろ、勝手にまた涙腺がぶっ壊れて。
「あ、ァ!」
拓ききって、受け入れてる境目を指がくい、と何度か撫でていった。
身体が揺れる。埋めてたモノごと、身体がずれて。

「動けねえ?」
からかうような、面白がってるようなトーンの声に。
涙で霞んだ目を合わせる。
「サンジ?」
「できな…って、い―――った、か…ら?」
切れ切れで。
瞬きすればまた視界が緩んだ。

焼ききれる寸前の神経が、びりびりと何かを伝えて。
声も、身体もなにもかもが揺れた。揺らいだ。
締め付けて、喘いで。
密着してた下肢が引き攣れた。
「なにが?」
さっき聞いたのと違う、口調。
やさしい?

わかんねぇ、もう。
また顎まで濡れたものが伝ってった。
「い、ぅこと。聞けなかった―――か、ら。」
身体の中にある
熱は、そのままに。
涙ばっかり零れてった。

「関係無ェよ、」
キライになってこんなことするのか、って言いかけて。言うより先にこれだけ泣けばゾロは察して。
「こっちのが気持ち良さそうかと思っただけ」
首を振った。
「わ、かんね―――ッ」

ぐう、と嗚咽を飲み込んでも。
じりじり、背骨の下で。
蟠ってるのは押し上げられきった快楽がばらばらになってたヤツ。
ぎい、と。
手首にまた爪を立てた。ぬる、と何かに濡れた。

ぱし。と。
アタマのなかが、また明るくなる、発光。
下から、かるく突き上げられて。
肩が揺れた。

やんわりまた自身を包み込まれて。
「今なら、わかる?」
かあ、っと。蟠っていた熱が走り出す。
襞が呑み込んだモノを確かめるみたいに引き絞られてって。
きゅう、と手指に挟み込まれる。
「―――あ、ア、」

息、熱い。
溢れきらなかったものはぜんぶ、中が吸収してでもいって、溢れる音の変わりに濡れたままで熱を感じ取って。
わけ、わかん、ね…って。
おまえも、おれのこと。苛んでるのか愛してくれてんのか。くっついてる表裏、それはわかってるけど。
「オレはいまのがイイかも、」

―――おれは、
かるく突き上げられて。息を呑んだ。
おれは。
おまえが。おまえの手や、オマエが。おれに寄越したいと思うものなら、ぜんぶ。
それが。
なんであろうと、「いい」んだ、って。
感じてただけのこと、容にされて思い知って。

「オマエ、いま。頭ン中からつま先まで、オレんことでイッパイだろ?」
言葉にされて、刻み込まれて。
「ゾロ、」
呼んだ。
「ゾロ、」
―――くそ、なんてこった、畜生。
ありえねぇよ、何なんだよ。
ゾロ、
「―――舐めて、もっかい、溶かして」




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