コトバに。
返されて、また投げ返して。
それが行き来をしているあいだに、薄い光の膜で包まれた小さい珠にでもなったみたいに。
身体の内側も指先もぜんぶ、温かくなってく。
おれも、多分。
間違いなく、「そう」かもな、とは思う。
おれは、おまえのこといままで知らないくらいに受け入れて。
それが苦痛じゃない、ちっとも。
痛い目には、会うんだけどな。
溜められた湯の中で身体を少し浮かせて。
ゾロの肩に近い場所に縋る。
それだけで、なかからとろり、と零れて。
「―――ふ、は」
息だけでわらった。
かぷ、と軽く耳を咥えられて。
横目で、でっかいいぬの飯前、そんな笑みを確かめる。
ゆらり、と身体の周りで湯が波を作っていって。
片手を、とぷん、と。なかへ降ろした。
微かな抵抗。まだ熱い中心を辿る。
「ん、」
笑い声混じりでも、それ、うめき声だね。
湯の中でも溶け合わずに輪立つ熱をなぞって。
息を吐けば。また中から零れかけ。
ゆっくりと身体を擡げる。
ふ、と耳元。穏やかな笑い零されて。ふるり、と身体が震えた拍子に熟れた硬さをすこし含んだ。
「ン、―――ぅ。」
一緒に張り込んできた熱さに唇を噛む。
背中を、でかい手がさらりと撫でてきて息を呑む。
「ぅ、あ、」
また少し潜り込む。
あれだけ拓かれて、慣れてる筈なのに。
圧迫感。
たまらなくなる、あたまのなか。
熱で埋められて。
おまえだけになって。
ゾロが、息を呑んでいた。微かに。
アタマのなかが静まり返って。
ふんわり浮かべられたままの表情で見つめられて。
身体を落とし込む。
熱と一緒に、それより冷たく思える、「みず」が入り込んできて、小さくウメイタ。
「―――あぁ、あ」
ミドリが。
飢えとはちがう、それよりもいっそう。
狂おしさ?いとおしさ?そんなもんでイッパイになった眼差しで見据えてくる。
喉元を晒して、傾いだ身体を撓めて。
「すげ、イッパイ」
くう、っと。感情を隠さずに笑ってた。ゾロが。――――うれしい?おまえ。
背中と、支えられた腰から。ひたり、とあてられた掌から体温と一緒におまえのなかを充たしてるものまで一緒に流れ込んできて。
喉が鳴る。
身体を持ち上げるたび、中を濡らしてたものが零れて。
落とし込めば、出て行くものと充たしていくものの間で聞こえないはずなのに濡れきった音が背骨を伝って頭の天辺まで。
「ん、っく、」
頭を振る。
落ちかかる髪の間から水の表面に薄く油膜が張っていくのが見えた。
あ、ぁ、―――あ。
中を締め付け、声にならない喘ぎを漏らす。
逸らせた首を追いかけてあつい息が耳元で零されて。
「ん、ぁう、ぁ、」
締め付けて、中で熱がまた固さを増したことを悦ぶ。
「ぞ、ぉろ、」
首に腕を回して、引き上げた身体を落とした。
揺れる、溢れる。
「ん、キモチイイよ、すげえ」
声に、ウチ側から震える。
腰が前後に捻れて。
上側を擦られて。悲鳴じみた声が唇を割っていった。
水、緩慢な動きに縁にあたって。波音めいた音が聞こえる。
「ん、――ふっ、ぁ、」
首に回した腕ごと引き寄せて。
身体があたるほどに落とし込んで。
舌を差し入れた。唇を割って。
背を抱く手、力がこめられたのを感じて。
舌先を誘い込んで食んだ。
ゆら、と揺らぐ。身体が勝手に快楽を追って。
舌を吸い上げられて、喉奥から鳴いた。
ゾ、ロ…ッ。
歯を立てられて、悦楽に泣いた。
押し上げられて、緩く。
頭を振る。
背を、爪で裂いた。もっと、なぁ、もっと。
全身で抱きついて。強請る。
これじゃ、足りねぇ、よ――――。
緩やかに押し込まれて、焦れる。
口付けを解きたくなくて、混乱する。
小刻みに、腰が揺らいで。
膝の力が抜けてって。
「ん、んんッ」
ぞぉろ、ゾロ。なぁ、な――――
わかって、んだろ……?
水が揺らいで。
脚の下に両腕を差し込まれて。
予感に震える。
抱え込まれたまま、零れる水音がする。
傾いで、引き上げられた身体から、水が伝い落ちていって。
斜め下から突き上げられて。内が掻き混ぜられて。
逃げられない。
閉じ込められる。
身体が跳ねて。
それでも解かれない口付けに歓喜して。蠢かされた舌に零されない嬌声を乗せて。
混ぜて返して。
腕が滑る。
ゾロ、―――ぞ、ろ。
差し出すほどに吸い付かれて。
腕んなかで、ずっと。
いてもいいかも、って思っちまう、―――おれ。
おまえも、ずっと、いろ?だから。
隣に、側に、なかに。
―――――いてほしい。
おまえだけ。
優しくしようと思ってた。
とろっとろなまンまで、イかせてみようと思ってた。
―――――甘かった。
ンな余裕、無くなった。
焦れたサンジに、縋りつかれて。
引き上げて、貪る。
絡みつく内に強く突き入れ、慄く舌先を思う様吸い上げる。
それでも、許されていると感じる。
嬉しい、と震える全身が語ってくる。
キモチガイイ、と蕩けた肢体が、それでも快楽に跳ね。
打ち込むリズムを変える。
小刻みに数度浅く揺らし、奥を抉るように一度強く突く。
びくん、と跳ねた身体、それでも襞に締め付けられる。
粘膜に絡みとられる。
さっきのように、度を過ぎた快楽だけを追っているわけじゃない。
いとおしさ、内の中にひたひたと沸きあがり、溢れ。
どこか恍惚に笑ってでもいるような心持ちで、激しく抱いている。
鼻にかかって甘い、切れ切れな息がゆれる水面に零れ落ちていく。
深く息をして、口付けを緩める。
ぐ、と抱き上げる腕の力を入れて。
「んぁあ、…っぁ」
ぎりぎりまで引き出し、一気に奥まで突き上げる。
解けた口付け、それでも縋り付いて来るサンジを高く上げたまま、斜め下から突き上げる。
「あ、あン、あ!」
「っく、」
歯を食い縛る。
ぎゅう、と締め付けてくる内に絞られて、頭がチカチカしだす。
サンジの目、蒼が霞んでいた。
くう、と息を洩らしながら、サンジに笑いかける。
余裕がないままに。
「ぞ、ろ…ォ?」
コドモのような声に、なに、と荒い息に混ぜて問い返す。
大きく突き上げる度にざっぱざっぱと水が波打って、飛沫が上がる。
「すき、―――すき、だ、よぉ?」
「ああ、サンジ。オレも―――好きだ、」
快楽に歪んだ顔が、キレイだ。
「おまえ、だけ、」
欲情する、表情に、仕種に、伝えられた言葉に。
「あァ」
水から立ち上がり、サンジの背中をタイルに押し当て。
「わかってる、サンジ」
「あっ、」
肩に唇を押し当て、冷たさに反った身体に突き入れる。
ぐちゅぐちゅと濡れた音が、反響して響く。
サンジの唇が押し当てられたまま、震えているのを感じる。
「ンンンっ、」
「すげ、イイよ、」
腰を抱え直し、攻め立てる。
内が追いかけるように蠢いて、絶頂の到来を知る。
「オ、マエ、イけそ?」
グン、グン、と強く押し入れながら訊く。
「ぁ、あ…っ、」
「オレ、も、すぐ、」
こくこく、と必死に頷いているサンジの耳元で囁く。
首筋に唇を押し当てる。
「だめ、――――も、ィ…」
ぞくぞく、と震えたサンジに息を呑み。
くう、とサンジの首に歯を立てて、奥まで突き入れる。
「ああ、ッ、ん、ぅあ、」
腹に熱いサンジの蜜の感触。
びくん、と内に締め付けられて、うめく。
「ぐゥ、」
グン、と突き上げて、ぎりぎりと背中に爪を埋められる感触に震える。
ぎゅう、と集中して、吐き出した。
サンジの身体の奥深く。
びくん、とサンジの身体が何度も跳ね上がっていた。
「あ、アー―――、ッ、」
「っく、」
うめいて、一気に引き抜き。
たぱぱ、と注ぎ込んだ精をサンジのうちが引き止める間もないまま、垂れ落ちる音を聴いた。
「…ひ、ぁ、ッ」
脚が抱え込んでいた腕から跳ね上がる。
上半身でサンジの上体をタイルに押し付けたまま、さらに降り落ちる音が響くのを楽しむ。
「ぁあ、あ―――――、」
真っ赤に染めた顔を横に振っていた。
熱い息を吐いて、首元から顔を上げる。
ぽたっ、たぱっ、と雫が落ちる音がゆっくりになり。
「――――ぉ、ろ…っ、ゃぁ、」
泣き出しそうなサンジの声に、サンジの腰をバスタブの縁に下ろさせる。
かたかた、と快楽に震えているサンジの脚を腕にかけたまま、身体を落とし。
「―――ぅ、ふ、ぁ」
ひくひくと蠢いている襞に口を付ける。
ぺろ、と舐め上げ、一瞬蠢かし。
「あぁ――、んぅ」
熱を持った内を宥める。
思わず、といった風に腕、掴まれて。
柔らかく蕩けたサンジのモノを含む。
「あ、や―――っ、」
くちゅ、と吸い上げて口を離し。
ぺちゃぺちゃと舐めてきれいにする。
サンジの腰が揺れて、笑う。
縁から引き降ろして、抱きしめる。
「キモチヨカッタ、」
くてん、と身体を預けてきたサンジの熱い肌に口付ける。
「―――ぉろ、」
水中に脚を投げ出し、サンジの身体を腕に抱いたまま休ませる。
まだ忙しく上下する胸から、走りっぱなしの鼓動が聴こえてきて、嬉しくなった。
顔を上げ、ゆら、と眼差しを合わせようとしているサンジを見下ろす。
額に口付けて、笑いかける。
「ゴチソウサマデシタ」
サンジが、すう、と瞼を落とし。
それから、ひどく嬉しそうに、にこお、と笑った。
――――オツカレサマ。
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