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 酷く甘い声が耳に聴こえた。
 ソソラレル、ってバラしたら、怒るんかな?
 口に含んだまま、押さえつけた爪先の、指と指の間に舌を捻りこませていく。
 指を代わる代わる吸い上げて。
 「――――っや、ぁ、ぁあ」
 身体がぐう、と反っていた。
 くく、と舌先を指に絡める。
 「や、ぁ、ぞ…っろ、やぁっ」
 
 蕩けた声が制止してくるのを無視して、丁寧に足指を舌で絡めては吸い上げていく。
 くちゅ、と濡れた音が間近で聴こえる。
 サンジの脚が何度もびくびくと跳ね。指先が全部カールした。
 「っぁ、ああ、ン!」
 押さえつけていた手の力を増して、脚を撫でる。
 無意識に逃げようとしている脚を、押し留める。
 
 「逃げる?」
 甘い声で問い掛ける。
 「―――ぅ、っぁう、」
 肌がさあっと火照っていくのを見詰める。
 「なぁ、サンジ?」
 足の甲に音を立てて口付ける。
 ぐうう、とサンジの喉が上下していた。
 ふ、ン。泣くかな?
 
 腕がパタンと顔から落ち。またリネンに縋っていた。
 そしてどうにか、といった風に首を横に振っていた。
 目を強く瞑ったままで。
 ふ…ン。頑張るな、サンジ。
 
 つつ、と舌を滑らせて、抱えた足先から膝まで濡らしていく。
 「…サンジ、」
 イイコだな、オマエ。頑張ってるじゃねーの。
 
 「は、ぁ、アぁ、―――ウ、」
 サンジがくう、と息を呑み。
 けれど、閉じたままの眦からとうとう涙が零れ落ちていった。
 抱え込んでいた足を下ろし、身体を擡げて。
 真上から、サンジの顔を見下ろす。
 
 「サンジ、」
 なぁ、泣くなよ。
 許してやれねーんだから。
 泣かせるって、言っただろ?
 
 こく、とまた喉が動いていた。
 「――――――っぁ、」
 息も上がってきていた。
 「美味いよ、オマエ」
 トン、と唇に口付けを落としながら囁く。
 美味いと知っている涙を、そうっと吸い上げる。
 
 「――――く、って。も……っと、」
 「そりゃモチロン、」
 まだまだ、こんなもんじゃ足りないしな。
 またぽろっと涙が零れ、伝い落ちていった頬を片手で包む。
 「いくらでも欲しいからな、」
 オマエにだから、オレはいくらでも餓える。
 
 サンジがリネンから指を剥がし。
 その指で、唇に触れていった。
 ぴくん、と指を跳ねさせていたけれど。
 く、と足も絡められた。
 
 掌で、熱くなっているサンジの腹辺りを撫でる。
 「…ぅ、―――んあ、」
 ああ、すげぇ感じまくってる、オマエ?
 肩口に、くう、と一瞬歯を立てられて笑った。
 そのまま濡れそぼったサンジの昂ぶりを手指で包み込み、そうっと握る。
 「あ、ン…っぁ」
 ハ、すげェクる、その声。
 きゅう、としがみ付かれて、笑い、頬にそうっと唇で触れてからサンジの耳にしゃぶりついた。
 「ぞぉ、ろ――――っ、」
 
 「サンジ、」
 耳に直接声を落としこむ。
 「くぅ、ンっ」
 掌に濡れた感触。サンジが零した蜜を掌全体で伸ばして、きゅう、と絞り上げる。
 「んんぁ、……っ、」
 「サンジ、」
 スキだよ、と囁いて、そのまま舌先で耳を塞いでみた。
 く、とサンジの腰が揺れ、ぬくぬくと舌で耳の穴を濡らす。
 「ア、アッ…!」
 
 サンジの身体がびくびくと跳ねていた。
 手の中で、蜜を零し続けるものを軽く握り、上下に扱く。
 「ああ、んッ、ンゥ……っ!」
 首を反らして逃げようとしているのに、ふ、と笑って。
 そのままサンジの耳を追って、唇を押し当てる。
 わざとくちゅくちゅと音を立てながら耳全体を舐り。
 「ひぁ、ン!」
 手の中のサンジのモノを扱き上げる。
 
 「イイ声、すげえイイよ、サンジ」
 熱い息と共に囁いてみる。
 紛れも無い本音、そしてきっとサンジは―――
 「―――ゃあ、…ゆー―――なァっ」
 ああ、ほら。声、泣きそうだし。
 「あンん、」
 って、おい、泣いちまったか。
 なんで泣くかな。恥ずかしいのか?
 
 「なンで?すげェクるぜ?」
 すげェソソられンのにな。
 耳朶をくちゅと吸い上げながら、囁きを落とす。
 「ぁ、―――っあ、ア、」
 ぽろぽろと涙が零れ落ちていくのが見える。
 頬が真っ赤に染まっている。
 けれど、サンジは間違いなく感じていて。
 手の中に零された蜜ごと扱き上げると、ぐちゅぐゅと濡れた音がやけに大きく響く。
 「あ、―――は、…ンぅあ」
 感じているのを、それでも隠そうとしているのか、抑えようとしているのか。
 無駄なのにな?感じさせてるのに。
 
 サンジのものより下手をすれば固くなっている自分の昂ぶりを。
 手の中に握りこんだサンジのものの下に、すい、と押し当ててみた。
 「な?」
 ウソじゃねーだろ?オマエの声、すげェイイし。
 
 ぎくっとリネンを握っていた手が跳ね上がっていた。
 くう、と勝手に笑みが沸き起こる。
 「―――ッア、ぁ…っ」
 またサンジが震えていた。
 ん?もう抑えらンねー?
 まだまだイけるよな?
 「サンジ?」
 吐息を耳に落とし込む。
 
 
 
 息が出来ない、熱い、
 涙零れてるのかもしれない、わからねぇ。
 熱と快楽だけで埋められて。
 触れてきた熱さに眩暈がした。手指で触れられて背骨が軋んだ。
 濡れた音がする、耳元直に落とし込まれて。
 舌が送り込まれて、遠慮なくかき回していく。
 
 「んッ、ンァっ…」
 名前も一緒に潜り込まされて溶け込まされて。
 舌から逃げようとしても片腕に抱きすくめられて身体が張り付く。汗、熱。
 「あ、――――んン、んーッ」
 手指に高められて、身体を折っちまいたくなる。
 ぞ、ろ。…ゾロ、な―――、
 
 すげぇ、と。ぽそっと呟かれた、独り言……?
 またいっそう追い上げられ。声を上げた。
 びくり、と腰が揺れて。
 「ろ、ぞ、―――ろぉ、」
 泣いてるみてぇに呼んでる、おれが。
 
 耳朶を舐め上げてた舌が。ぬるっとした熱、また入り込んできて。
 「ア、ア―――っ」
 手指に弄ら通しだった熱も腰ごと揺れちまったかと。けど、蜜を零してた先を親指でぐうと押し撫でられて。
 「あ!あ、うッ」
 「いいぜ、ホラ」
 追い上げられる。
 
 「ぁああ、」
 あまい声に、鳴く。
 「ほら、サンジ、溶けちまえよ、」
 くちゅり、と含まれたままの耳元で音、落とし込まれる囁きがアツイ、
 首元を反らせても声と舌が追いかけてきて。余計に感じさせられる。
 「やぁ、ああっ」
 
 追い上げられるリズムに泣いた。
 腕を抑えようとしかけて。
 弾けて、零した。
 「ア、ア、―――っ」
 身体が緊張と弛緩を取り違えて。
 手指を感じた。
 吐息、声、手、熱、ぜんぶが。アツイ、
 
 「っふ、ぅ、」
 息を吸い込んで。すぐに切れ切れになって。
 嗚咽じみた音が漏れる。
 「サンジ、」
 背骨から重くなる、そんな声、呼ぶな―――。
 掌の熱にまた震えた。零れ落ちても、まだ。
 「は、なし…手、はな―――」
 切れ切れに哀願する。
 「ヤだ、」
 ――――ぁ、あ。
 
 かぷ、と。火照ったままの耳朶をまた歯に挟まれて。
 「あァ―――、ぁん、」
 引き伸ばされた鳴き声が喉からせり上がって。
 「やぁ、――――ぁ…ッ」
 手指に、まだ留まっていたモノ、最後まで搾り出されて。
 「ぁあ、―――ァ!」
 底の見えない自分の貪婪さに、泣いていたんだ。
 ゾロ、――――――――これ、ひでぇ、なあ?
 
 
 
 
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