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 ゆっくりと下から突き上げ始めるリズムに、身体中にスパークが走る。
 指が背中の溝を辿る感覚に、皮膚が粟立つ。
 グラグラと、体内で蜜が煮詰まっていくのを、脳の奥で感じる。
 抑えられない声。びくびく、と何度も身体が震え。
 喘ぐリズムのままに零す嬌声に併せるように、だんだんと穿たれるリズムが早くなる。
 「ぞ、ろ、ん、んん、ふ、ッ、んんっ」
 
 中心部に、熱が篭り始める。
 けれど、ゾロの強い指がそこにあって。
 溢れる蜜を零すたびに、びくり、と力がそこに入る。
 しなやかに、けれど激しく突き上げるリズムとはベツのタイミングで、引き絞る勢いでそこを弄られて。
 「お、かし…くな…よぉッ」
 どうにか言葉を口にして、頭を振る。
 
 熱が暴走を始めて、思考がストップする。
 感じるだけになって、目が勝手に涙を零していく。
 喘ぎ。
 息をするのは、声を出すのと同じことになっている。
 苦しい。
 クルシイ。
 快楽と熱に、窒息しそう。
 喘ぐ。
 声が止まらない。
 
 掠めるように触れていた奥の場所を、ゾロが段々と直に突き上げてきた。
 「もっと、感じろよ」
 低いゾロの声、喉に篭って、押し出されてきたようなソレ。
 狼の唸り声に似た、ソレ。
 「おれを食うんだろう」
 「あああッ、い、あ、ァ、っふ、う、」
 ぎり、とゾロの背中に爪を立てた。
 お返しに、とばかりに喉元を、噛まれた。
 「い、た、ァ、あゥ、っく、」
 溢れていく、何もかもが。
 それでも、ちり、と痛みを覚えた場所、ゾロが音を立てて舐めとっていくのを聴いた。
 
 グン、と最奥の快楽の中心、強く突かれて。
 「ゾロ、ぞろッ、タスケテ…ッ」
 ぎゅう、としがみ付いた。
 「あ、ああ、イく、イきた…ィ、イ、かせて…ぇッ」
 溢れ出る嗚咽交じりの嬌声に、狂ったように一つのことだけを乗せる。
 
 ぐうう、と熱が膨張するような吐精感。
 けれど、ゾロの手は、追い上げてはくれなくて。
 柔らかな愛撫にとって変わる。
 根元、押さえられたまま。
 「やぁッ、ゾロっ、はッ、ああああッ」
 
 開いた唇に、滑り込んできた熱の固まり。
 「ん、んんっ、んふッ、んぅッ」
 舌が絡められて、言葉を形作れない。
 喘いでいくままに、息すら貪られて。
 湧き上がり続ける熱に、意識が白く発光する。
 
 不意に身体が揺れて。
 とさり、とシーツに降ろされたのを知った。
 ぐ、と奥まで穿たれて。
 パシ、と脳内で光が弾けた瞬間、手を緩められて。
 びくびくと痙攣するように跳ねる身体が、塞き止められていた蜜を放つ。
 それと同時に、身体の奥、熱い熱が散って。
 
 「は、ハッ、あ、ァ、は」
 短い息を繰り返し、一時停止した脳が再起動する。
 強く抱きしめられていた。
 揺れる肩に、柔らかく濡れた感触が、ふ、と落とされて。
 さら、とゾロの熱い掌が頬に触れた。
 そうっと包み込むように拡げられた感触に、目を開けると。
 じぃ、っと覗き込まれていた。
 一瞬、どこかとてつもなく深いところで繋がる。
 感情も欲望も何もかもを取り払った、深い深い場所で。
 
 すっかり熱った頬、まだ濡れたままの目許に、いくつもの口付けを落とされる。
 ゆったりとした動きの指先が、汗を含んで張り付いた前髪をそうっと梳き上げていって。
 髪にも、額にも、柔らかな唇の感触が触れていったのを感じた。
 荒い息のまま、ひとつ息を呑んで。
 喘ぎっぱなしですっかり乾いた喉を、どうにか潤す。
 
 きゅ、と目を閉じて、一度視界をクリアにして。
 ふぅ、と息を零した唇に、口付けられた。
 全身を弛緩させて。
 走りきった距離を思い出すように、意識もリラックスさせて。
 まだ喰う気か?と柔らかく囁いたゾロの声に、瞼を開いた。
 片眉が引き上げられていて。からかい口調だということに気付く。
 
 さらり、とまだ汗に濡れた肩や腕を撫でられる。
 ゆったりとゾロの笑いかけた。
 ちゅ、と耳元、口付けを落とされて。
 ゾロの髪に手を伸ばして、やっぱり濡れてどこか重いそれを梳いた。
 「…うん」
 
 ふんわりと笑いかける。
 「も…ちょっとしたら…今度は…」
 ちゅ、と唇を啄まれてから、そうっと柔らかく声を絞って伝える。
 ゆっくりと愛し合おう?
 
 
 
 
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