容を保っていられるのが不思議なほど、どこまでも柔らかく蕩けた身体を抱いた。
疾走して餓えを充たすように、緩やかに充たして自然と揺れ溢れるモノを穏かに掬い上げるように、
わらって抱き合って駆け上がり飛び降りるように、幾度も。
くすくす、とカオの横に伏せた耳元にサンジのわらう声が聞こえた。

あがってしまう息の合間に、それでも小さくわらって。
スキダヨ、と言っていた。
背中をサンジの熱った指先が滑り。
返事の代わりに、頬に唇を押し当てた。
ふわふわと上気して柔らかい。
喰っちまいてェな、と。また思った。

耳もと、カオを埋めて同じような柔らかさの耳朶を口にしてみる。
「にゃ…あン」
クスクス笑いながら、あまく声を零していた。
クマチャンが言っていたことはホントウだった。
僅かな麻痺作用と、飛び過ぎない程度の催淫作用、感覚の鋭敏化、精神の向上、および…、
ここまで思い出してまた薄い柔らかな肉を舌先で弄んだ。
「ふふっ、んにゃあ…」
ああ、あとは。
強精作用、か。
感覚の天辺でたまに意識を飛ばしていたサンジが、効能通り、意識を手放さなかった。
昂まり過ぎた感覚の最中で目元を濡らしはしても。

さらさらと、身体の表面をサンジの手が触れていくのがわかる。
何度となく、容がなくなるかと思うほど抱き合った後、バスタブに浸かり穏かな気分でまた抱き合い、笑いながら
縁からそれでも湯水が溢れていき、そしていまも。
じわりとした動きの腕、気だるそうではあってもサンジはまだ眠り込んではいない。
ネコのエサの効き目、ってやつか。
考えながら唇を耳朶にまた寄せる。やはり柔らかさが違うような気がした。

頬にまた唇で触れてみる。確かめる。
「ん…ふふ」
ふわりとまだ上気したままの滑らかな線。
甘い、気がする。
デザートももうジュウブン喰ったけどな。
口を大きめに開き。
やんわりと唇で食んだ、柔らかな部分を。

「ふふ、…ヘンだよぉ…」
「フン、美味そうだったんだけどな」
「ん…ゾロの耳、おいしかった…」
笑顔が、洩らす吐息が、サンジのどこまでもが蕩けていた。
そのまま。
唇を重ねて舌先を滑り込ませた。
ゆったりと絡み付いてくるとろりとした熱と、吸い付いてくるような動きに勝手に笑みが零れた。

少しは上手くなったな、と頬と髪を撫でる。
「アナタに…教わったもん…」
笑った。
まだ、濡れて水分を含み。鈍く金に沈む髪を指で梳いた。
「髪、少しは乾かせ。風邪ひくぞ」
額に唇を落とした。
ほんの僅か。ふぁ、とサンジは小さく欠伸をもらしていた。
そうは言っても、そんなヒマなんかおれがやらなかったのか?

まァ、いい。
んー、と明らかに眠そうな返事が返ってきた。
抱き寄せた。
冷えた髪に口付けて。
オヤスミ、と小さな声が届いた。
「あぁ、良い夢を」
眠りに落ちる寸前の声だな、いまのは。
「んー…、」

すう、と吐息が潜まり。眠ったのだと知る。
窓の外は。あと1−2時間で夜が明ける頃だろうと見当がつく。
ふわふわと、幸福そうな寝顔でも見ながら。時間を潰すか。
ちょっとした「デンワ」を2件ばかり、する羽目になりそうだ。




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