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 「ストップ、」
 「んにゃ?」
 あれ?
 大きな手が、額のとこを押して、くい、と上を向かされた。
 「なにしてる、バカネコ」
 「…オハヨウ、ゾロ」
 にゃは、と笑ってみた。
 「オハヨウ、じゃないだろうが」
 「アナタの味見、してるの」
 「しなくてイイ、」
 「どうして?オイシソウなのに」
 する、と親指で撫でてみた。
 
 腕が伸ばされて、ズル、と引き上げられた。
 あっという間にゾロの胸の上。
 「何をする気かと思えば、」
 「いつもオレの、ゾロがおいしそうに食べるから。オレも食べたくなっただけなのに」
 呆れた風に言いながら、オレの髪をくしゃくしゃって引っ掻き回してるゾロの唇にオハヨウのキスを落とした。
 
 「オレ、自分以外の人間の。こんなにじっくりと見たのも初めて」
 質感が、他のボティパーツと較べて、明らかにとても違ってた。
 おもしろかった。とても。オレのともなんだか違うみたいだったし。造りは一緒なんだけどなあ?
 「…個体って不思議だねえ。もっと探索してイイ?」
 「―――却下。」
 「ほえ?」
 「個人情報は流出サセマセン。」
 ゾロ、に、って笑って言ってる。
 「ふは!!」
 笑ってゾロにぎゅうっと抱きついた。
 「スキャナよりよっぽど細かく情報取り込めるのに」
 くう、と背中を抱きしめてきたゾロの首元に、柔らかく噛み付いた。
 
 ふ、とゾロが小さく笑った。
 …とてもセクシーな声。
 …んん、なんでだろう?
 オレ…すっごい体調いい。
 …ああ、そっかぁ。昨日の夜、セーヴした分。
 エネルギーが消費されずに残ってるんだ。
 
 んんんんん…うずうずする。
 きゅう、とゾロの首元、吸い上げてみた。
 屋根を叩く雨の音。胸のドキドキはいい伴奏だ。
 「ゾォロ。まだ眠い?」
 掌が、首の後ろ、項あたりを。少し強めに撫でていった。
 「もうちょっと寝る?」
 …ゾロが寝たら、もうちょっと色んなとこ、味見できるかなぁ?
 わくわく、ドキドキ。楽しいなあ。
 「あぁ、寝る」
 「…オヤスミナサイ」
 くすくす、って笑いがオレの口から零れていった。
 なんでこんなに楽しいんだろう?
 
 くう、と抱きこまれて。とさん、と身体の位置を入れ替えられた。
 身体に乗ったゾロの重み。
 「…あ、ずっるい!!」
 もっと食べたかったのに。
 ぱくん、って耳元唇で挟まれた。
 「んん」
 きゅう、っと目を瞑る。
 「オマエの魂胆なんぞ、ミエミエだ、っての」
 「…けちー」
 くく、と喉奥でゾロが笑ってた。
 むうう。だったらオレに味見させてくれたっていいのになぁ。
 …ちぇー。
 
 「…じゃあさ?一個だけオネガイ」
 すう、と上から覗き込んできたグリーン・アイズ。おもしろそうにキラキラしてる。
 「ゾロ、寝ててもいいから。オレに片手、チョウダイ?」
 右手でも左手でもいいから。そしたらオレは指5本を味わって楽しむし?
 ゾロの右手、鼻先でひらひらしていた。
 両手でソレを捕まえる。
 「…ゾロの右手、いただきます」
 にゃはあ、と笑うと、横からちゅ、とキスが降ってきた。
 「食べてもいいよね?」
 けれど、返答はなく。変わりに、頬から唇へとゾロの唇が移動してきた。
 笑ってはむ、と啄んでみた。
 
 する、と舌先が滑り込んできて。唇をもう少し開いて迎え入れる。
 熱い舌、目を閉じて舌先で辿る。
 容、舌触り。細かい毛のような舌の表面を撫で上げてみる。
 「…ん」
 甘い。美味しい。ウレシイ。
 やんわりと口付け、応えられた。そしてそのまま、く、と絡められた。
 「……っ」
 
 オレが捕まえてた手。力を入れ忘れてた両手からするん、って抜けて。
 オレの頬を撫でていく。
 夢中になって、ゾロの舌を吸い上げて、絡めて、溜まり始める唾液を飲み込んで。
 「…んん…」
 息が上がり始める。
 右手、頬からそうっと滑り降りて、首筋を撫で下ろしてくる。
 ふつ、と体温が一度上がった気がする。
 ぱたり、とオレの右手が勝手にシーツの上に落ちた。
 左手は、胸の上。
 早くなり始めた鼓動を指先で確かめるように、ゾロの指先が首筋を辿る。
 「ン…ッ」
 
 ぽう、っと頭が白くなっていく。
 もう耳に聞こえるのは、上がっていく吐息と、心音だけ。
 鼻から抜けていく声は、とっくにとろりと蕩けて甘い。
 ゾロの指が、すうっと胸元まで辿っていった。さらり、と撫でるように、触れて。
 ひくん、と指が勝手に跳ねた。
 左手、そうっとゾロの背中に伸ばす。
 触れる、広い背中に。
 熱。
 「ンん…」
 
 首の角度を変える。軽く唇を浮かせて、また深く合わせる。
 ぷつ、と胸の小さな突起を押されて、小さく笑みを浮かべた。
 けれどそれはすぐに肋骨の辺りまで滑り降りてくる。
 「ふ…ぅン」
 口付けを解かずに、深い息を吐いた。
 声が漏れていく。
 ふつ、と肌が粟立った。
 
 トクトクと鼓動が走る。
 つる、と奥の方までゾロの舌先が探りに来た。
 もう少し唇を開いて、さらに奥まで迎え入れる。
 「んん…」
 大きな掌、押し包むように脇腹を降りていく。
 骨の一本一本を確かめるように、辿られる。
 
 ゾロの足に、足をそうっと絡めた。
 片足、ゾロの背中にある手と反対側のを。
 合わせていた唇、笑みの形に端が上がっていく。
 ゾロの舌をきゅう、と吸い上げた。
 身体の熱、ふつふつと快楽に沸き上がる。
 熱くなる。目覚めて敏感になる。
 ゾロの手、腰骨を辿っていった。
 太腿を、ゾロの腰に擦りつける。
 指先、背中の窪み、なぞって。
 
 「…んん…っ」
 ゾロの手、腰骨から押し当てた脚を辿っていく。
 背中、爪を僅かに立てた。
 もどかしい熱。
 はやくもっと熱くさせて。
 蕩け始める。
 ひく、っと爪先が僅かに跳ねた。
 脚、少し引き上げられて。さわ、と撫で上げられる。ゆっくりと。
 「ふ、ぅ…」
 パシパシ、とあちこちにスパークが飛び始める。
 サーキットがショートし始める。
 く、と勝手に腰が揺れる。
 ちゅ、と音を立てて口付けが解かれた。
 「んあ…ッ」
 こく、と唾を飲み込んで、喘いだ。
 
 「は、あ…っ」
 かり、とシーツを掻く。
 潤んだ視線の先、ゾロが満足そうに目を細めてオレを見ていた。
 ひく、と喉が鳴る。
 身体の中を熱の波が通り過ぎていく。
 「ゾ、ロォ…っ」
 喘いだオレの喉を、ゾロの舌が舐め上げていった。
 「ふ、ぅンっ」
 ゆら、と身体がまた揺れていった。
 
 熱くなる。蕩けた身体、空気が動く僅かな振動すら拾い上げる。
 「溶かして、味見だけしてようか。朝のうちは、」
 「やぁ…っ」
 耳元、耳朶を食みながら注がれた囁き。
 そんなのズルい。
 オレだって、味見したかったのに…!
 「ゾォロっ」
 「ほら、食ってていいぜ…?」
 指先、左手の。擽るように唇を撫でていった。
 こくり、と息を呑む。
 
 シーツに放置しっぱなしだった手を伸ばして、ゾロの手首を捕まえた。
 目を閉じる。
 「んぅ」
 く、と指先で唇を割られた。
 そうっと入ってきたそれを咥える。
 「んンぅ…っ」
 キリ、と耳朶をゾロの犬歯が穿っていって。
 きゅう、とゾロの指先を吸い上げた。
 舌先、ゆっくりと鎖骨の方へ、濡れた感触を残しながら辿っていく。
 含んでいる指を、奥まで咥えこんで舌を這わす。
 「ふ…っく」
 骨を確かめるように辿るゾロの舌先。薄く歯を立てられて、身体が震えた。
 「う…っ」
 
 くちゅくちゅとゾロの指を吸い上げていく間にも、脚の付け根、内側から撫でられていく。
 「んうっ…ンっ」
 僅かに熱く立ち上がった中心部には触れていかない。僅かに動いた弾みで押された空気が撫でていくくらいだ。
 眩暈がする。
 「ふ…っ、ぅ」
 指先に舌を絡めた。
 辿り落ちた唇、胸の中央に触れていく。
 時折かり、と軽く齧られて、爪先が跳ねる。
 ゾロの指先を咥えたまま、溢れそうな唾液を飲み込んだ。
 「く、ぅ…ッ」
 
 さらり、と舌を指が撫でた。
 きゅう、と吸い上げて、舌で指先を掻き混ぜる。
 もどかしくて、ゾロの背中を引っ掻く。
 歯が、ゾロの指を僅かに掠った。
 く、と小さくゾロが笑ったのが聴こえた。
 胸の立ち上がった小さな飾り。ゾロの舌先がくる、と掻き混ぜて。オレがさっきゾロの指にしたみたいに、軽く牙を掠めさせた。
 ぴり、っと走った電流に、びくん、と腰が跳ねた。
 「ん、ヴ、ゥっ」
 
 舌先で、ゾロの指を追い出した。
 掌、押し上げた脚の膝裏まで撫で上げて。そのまま緩く抑えられた。
 「ぞ、ろッ」
 熱い。
 喘ぐ。
 細かく息を継ぐ。
 求める。
 強請る。
 快楽が出口を求めて渦巻く。
 「ぞ、ろぉ…っ」
 
 
 
 
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