柔らかな声、あまいの。
雨垂れみたいに、ぽとん、ぽとん、と優しく降ってくるのが聴こえる。
ゾロの全部、オレをスキだって言ってるのがわかる。
すう、とオレというものを成り立たせているすべてに、染み込んで来る。
ウレシイ。
止め処なく溢れる想い。
ウレシイ、と細胞が全部で、叫んでる。
きゅう、とゾロに抱きついた。
「スキ」
コトバ、音になる。
力いっぱい抱きしめられた。
「ゾロだけ、が、とくべつ」
スリ、と頬を摺り寄せる、肩口に。
「ぞろ、すきだよぅ」
ふにゃり、と笑ったまま、コトバが零れる。
「うれしくて、とけちゃいそー…」
掠れたままの声で、告げる。
頭、後ろのトコ。ぐるぐる、おっきな手で撫でられてる。
「まだ、溶けるなよ」
ゾロの声、蕩けるように甘い。
「ゾロも、蕩けてる…」
ふにゃあ、って笑って、肩口を舐めてみた。
きゅ、と髪に口付けられた。
「もっととけよ…?」
硬いデニムに、すり、と腰を押し当てた。
ふ、とゾロが笑ったのが聴こえた。
「もっと、ゾロの、ほしい、」
あむ、とゾロの肩口に噛み付いた。
す、と腿のところ、ゾロの手が滑っていった。
はふ、と息を吐き出す。
蕩けた身体は、こぽこぽと蜜を湛えている。
髪にゾロの額、一瞬押し当てられた。
「ダイスキ、」
ふあ、と息を吐き出しながら、音にした。
きり、と耳の辺り、ピアスされる。
「ん、」
パシン、と痛みが走って。けれど、すぐに快楽に転化される。
くちびるが離れて、すい、と抱き上げられた。
「…んん、」
くる、と反転させられて、キラキラの水面、眼下に広がる。
すい、と岩の上から降ろされる。
宙に浮かぶ瞬間は、飛んでるように思えるケド。
たぽん、と冷たい水に足が着いた。
「つめたッ、」
「すぐ忘れる、」
甘い声、優しい。
ふにゃりと笑いながら、降ろされた岩に両手を着いた。
「キモチイイ」
首、後ろ。骨の下、イチバン下のとこ、ぺろり、と熱い感触。
「んあ、」
とろり、と甘い身体、力が抜けそう。
すい、と岩に着いた手の上、ゾロの掌重なった。
それから、背中を味わうように辿るゾロの舌に翻弄される。
骨の窪み、薄く浮いた筋肉。
反応して動く筋肉、形を変えたソレにそって熱い舌が辿っていく。
所々きゅう、とキツク吸い上げられる。
一瞬、チクン、と痛みが走る。
「うンッ、」
びくり、と背中が跳ねると。く、と歯を立てられた。
背中に全部、意識が向かう。
「は、」
ガクガクと膝が揺れ始める。
「んんんっ、」
腕、伸ばして、岩にしがみ付く。
ごつ、と膝、岩にぶつかる音がする。
痛みはないけど、ひんやりとしたその感触、キモチイイ。
「ぞ、ろぉ、」
身体、容が溶けるようだ。
くう、と背骨の窪み。熱くて柔らかい舌が、差し入れられた。
「…んにゃあんっ、」
ぎゅう、と岩にしがみ付く。
ストン、と腰が落ちてしまいそうだ。
はぁ、と熱くなった息を吐き出す。
かり、と薄く食まれた。
「イイ声、」
ゾロの声、笑いを含んでる。
「も、とけちゃ…ッ、」
く、と腕、回ってきて。支えるようにして、指が尖った胸のトコ、押し撫でていった。
「はぁ…っ、」
くう、と背中が反る。
閉じた瞼の向こう、キラキラが溢れてる。
意識、飛び始める。
ふ、と掠めるように、背中、浮き上がった線をなぞられて、がくん、と腰が落ちた。
回されていた腕に、ぐ、と支えられてる。
するり、と伸ばされた掌に、柔らかく中心部を撫でられて、びく、と腰が跳ねた。
それを抑えるようにぎゅう、と握られて、悲鳴に似た声が零れる。無意識に。
「あ、ア、ァ、」
背骨、舌がツゥ、と辿り落ちていった。
「ゾロ、あ、やぁっ、」
背中、ぐう、と反る。
背後、明るさを増した。
尾てい骨の上辺りで、熱が止まる。
快楽の中枢、蹲る体内の熱。
脇腹のあたり、かぷ、と噛まれた。
ぶるぶる、と身体が勝手に震える。
「ぞ、ろぉ…ッ」
キン、と耳鳴りが始まった向こうで、ぱしゃ、と水音がしていた。
きゅ、きゅ、と促すように施される愛撫に、泣きたいくらいに快楽がせり上がって行く。
「は、ぁ、ァ、ッ、」
声、勝手に零れていく。荒い吐息と同時に。
「サンジ、」
不意に濡れた感触、奥に触れた。
「ふぁっ、」
甘い声に、びく、と腰が揺れる。
く、とやんわり押し当てられて、きゅう、と勝手にそこが窄まった。
「ふっ、うゥ、く、っ」
熱い波、津波みたいに身体中に溢れた。
くう、ってゾロの指、差し込まれて。
ぎゅう、って締め付ける、覚えた指の質量。
奥までするん、と入れられて、喘いだ。
ぺろ、と首元、ゾロの舌、這って。
「んあああッ、」
ぶわ、と熱が溢れる。
達してしまいそうなのを堪える。
くう、と内側、開かれたのを感じる。
ガクガクと揺れる膝。
グラ、と身体が揺れて、もっとゾロの指が奥まで潜ってきた。
「あぅンッ」
「サンジ、」
低い声、耳元で聴こえた。
きゅ、と噛まれて、ぐう、と奥歯を噛み締めた。
びくん、と身体がまた跳ねた。
ぐい、と腰を引き寄せられた。
頬、熱い腕に押し当てる。
「ぞ、ろぉッ、」
ぐる、と中を抉るようにして、指が引き抜かれていった。
「イ、あッ、」
また波が、過ぎていく。
もうすぐ、到達する、限界。
く、と押し当てられたのを感じて、またひくん、と腰がゆれた。
「ゾ、ロッ」
待ちわびる、熱を、質量を。
きり、と肩口、噛むように口付けられた。
そして、グ、とゆっくりと入ってくる、ゾロのもの。
熱、じわ、と入り込んできた。
波、引き起こされて、溢れる。
「あ、ぁ、ァ、はッ、ああッ」
最後まで受け入れる前に、パシン、と目の前が白くなった。
一瞬、息が止まる。
カァ、って熱が、上がって。
びくびく、と身体が震えた。
耳元、ゾロがうめいてるのが聞こえた。
その声に、達したばかりの身体がまた震えて。
ぎゅう、と締め上げる。
「―――オマエ、ヨスギ」
「――――ハ、はっ、はぁ、」
ごく、と息を飲む。
低くて掠れたゾロの声。
ぐ、と強く、一層抱かれて。
またゾロを、ぎゅう、と締め付けた。
一瞬、身体が冷えたように震えた。
つぎの瞬間、首筋、ゾロの牙、埋められて、熱が倍の高さで上がる。
「はっ、あアッ、」
ぐ、グ、と刻まれるリズム。
岩に膝が当たるのも、気にならないくらい。
快楽の波、引き起こされていく。
埋められたままの牙、僅かに強さを増して。
それでも、痛みを上回る快楽。
腰が勝手に揺れる。
濡れた音、滝音に負けない強さで、響いてくる。
熱に、快楽に、音に、総てに、満たされて。
「サンジ」
名前、呼ばれて。
コントロール、失う。
与えられる感覚を、貪る。
すぐ、また、波がくる。
ズル、と引き抜かれた。
「やっ、」
ヤダ、と声に出来る前に、ぐい、と身体、回させられて。
「や、じゃねェよ、」
涙目で見上げた先で、ゾロがにぃって笑ってた。
「まだ、離せるわけないだろ」
「だっ…て、イッ…ちゃ…うっ」
「ほら、―――捉まってろ」
「う、」
両腕で、ゾロの首に縋りついた。
ぐう、と両足、抱え上げられて宙に浮く。
拓いた場所、また直ぐに埋められた。
ズル、と呑み込んで。
「くぅンっ」
声、零れていった。
またぎゅう、と目を瞑る。
ぺろ、と首筋を舐められて、ゾロの背中に回した足、ぐう、と力を入れた。
キーン、と耳鳴りがする。
刻まれるリズムが激しさを増して。
「あ、ああッ、」
直ぐに到達する、快楽の沸点。
呻き声、降ってくるみたいに聴こえた。
身体の奥、熱、注ぎ込まれて。
ぎゅうう、とゾロにしがみ付いた。
息が止まりそう。
頭、真っ白なまま、荒い息を繰り返す。
ずる、と落ちそうになるのを、ゾロの腕が引き止める。
合わさった胸から、ドクンドクンと鼓動が響いてきて。
きゅう、と胸がいっぱいになった。
ほっぺた、ゾロの唇が触れた。
ふぅ、と少し、息が落ち着いた。
「生きてるか、」
「…なんとか」
からかい混じりの声に、掠れた声で応じた。
「じゃあ、水浴びでもするか。―――洗ってやるよ」
柔らかい声、頭上すこし上から聞こえる。
きゅう、って目が回りそうだ。
「も、すこし…まって、」
ぎゅう、と抱きしめられた。
ぎゅう、ってしがみ付いた。
ゾロがぐ、と奥までまたすこし入ってきて。
ゾロが岩に腰掛けるようにしたのを知った。
「は、」
クラ、と眩暈。
「あぁ、それとも」
「…な、に…?」
「おまえ、もう少し喰われてるか…?」
甘い、色を含んだ声。
「…このまま…?」
「せっかくだから、オマエをもう少し見たいしな?」
落とされた声に、少し笑った。
「どこか寝かせられる所まで連れてく」
「…ん」
ちゅ、と音と共に口付けられた。
「返事は?」
ゆっくりと、目を開いた。
相変わらずボヤけた視界の向こうの翠に、無理矢理焦点を当てる。
キラキラと光る目、オレのダイスキな。
「…もっと、みて」
そうっと唇を押し当てた。
「あァ、」
そして押し当てたままで告げる。
「もっといっぱい、アツいの、ほしい」
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