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 「オーケイ、了解。寒くないか」
 ゾロが、に、って笑った。
 「ウン。大丈夫」
 笑って応える。
 「熱ってた体が、キモチイイくらい」
 
 どこもかしこも、さらさらしてて。
 冷たい水で、とてもキレイに洗われてた。
 ぺろ、って唇を舐めてきたゾロの舌を、軽く前歯で噛んだ。
 ……あれ?
 ………ん?ええと、いつの間に、洗われたんだろ…?
 
 「…んん?」
 ぱちくり、と瞬きをした。
 「んんん?」
 「なんだよ?」
 ひょい、と空を見上げた。
 「んんんんん?」
 イタズラな光を宿したゾロの眼を覗き込む。
 「だから。なんだよ?」
 「…ゾロ、いつのまに」
 くい、と少しだけ抱き上げられて、浮いた。
 いつの間に、オレの中、洗っちゃったの…?
 
 「―――サンジ、どこまで覚えてる?」
 「へ?」
 覚えて?
 …ええと、夜。薪した後、ティピの中入って。
 …いっぱい舐められて、触れられて、あそこが…うにゃ。
 うにゃ、照れるゾ。
 ええと、そのあと―――
 
 きゅ、と首筋、軽く噛まれた。
 「んあっ、」
 びくん、と身体が勢い良く跳ねた。
 「おっと、」
 水から浮いていた場所、冷たさに麻痺してないで、まだびんか―――
 
 すい、と抱き寄せられた。
 エコー。
 "スキダヨ"
 柔らかな声、不意にじわ、と沸きあがってきた。
 いっぱい囁かれたコトバ、全身で愛されてて、けどそれいつのこと―――?
 
 「え?えええええ????」
 今朝!?
 思い当たった。
 「ん?」
 今朝って、いやもう昼下がりもいいとこなんだけど、ってオレいつ眼が覚めたっけ?
 「……ゾロ、あの、」
 ぺろ、ぺろ、と耳元、舐められてく。
 「なに?サンジ」
 味わうように、舌がくう、と皮膚を引き上げていって。
 「…あの、オレ、……いままで、ずっと、抱かれてた…?」
 甘い声、耳に落とされたのに、おずおずと訊く。
 いや、訊くまでもなく、オレの下腹部の丁度裏っ側は、とても存在感があった名残を、まだなんとなく筋肉が主張しているわけなんだけど。
 
 「あそこが、」
 「あそこ?」
 くい、と頭、ちょっと回された。
 「オマエが指定した場所だぜ?」
 そう示されたのは、燦々とお日様の眩しい光が降り注ぐ、川岸においてある岩のところ。
 「背中ごと喰わせて貰った」
 「セナカゴト?」
 
 フラッシュバック。
 岩肌に当たった冷たい岩がキモチヨカッタ。
 なにより、ゾロの、ゾロの―――
 「んみゃあ!」
 うわ!
 今絶対、ぼんっ、て言った!オレの頭!!!
 「それから、えらく美味かったから」
 つ、と冷たい指先、背骨に添って降りていく。
 艶っぽい、ゾロの声。
 ぜったい、うわ、ぜったいゾロ、知ってる。オレの頭が、飛んでたコト。
 「視覚でも愉しまないとな、悪いだろ?」
 
 「みああああ!!」
 うわ、どうしよう?え?やっぱり?
 「みてもいいし、もっととけよう、ってリクエストで」
 「へ?りくえすと?」
 「あぁ、オマエからの」
 
 "もっととけよう"
 口にした覚えのある音の羅列。
 に、と笑ったゾロ。
 かああああ、って顔が赤くなる。
 「さて。おれはどこへオマエを連れてイッタデショウ」
 「そ、れって…、」
 それって。
 川縁、と、
 「木陰の下、で」
 所謂、ええとナンテイッタッケ。
 「たいへんよくできました。」
 ますますゾロがにぃい、って笑ってたけど。
 
 
 
 
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