"ベイビィ、森の中で育ったの?ワイルド・チャイルドだねえ"
笑ってたサンドラの声。
「おれはな?羞恥心ってヤツがないと思ってたが」
"経験は…あるの?いっぱい?じゃあ青姦とかも?"
「サンジ、ベイビィ。マイ・スィート・チャイルド。オマエほどじゃなかったな、」
「………みあああああああ!!!!」
ゾロ、なんてことを、うわ、ぎあ、うわあん!
"青姦知らないの?外でセックスすることよ。けっこうマニアックなんだけど、そういうとこまでは知らなかったのね?
ゴッメン、ベイビィ、見た目通りなんだ?"
「オマエ、カラダ柔らかいしな。」

………ぎあ。
「外で聞くウタもエコーがかかる、ここだからか?」
ゾロの声、…さっきのとうって変わって、心ッ底うっれしそうだ。
「うわあん…!」
ゾロの腕から離れて。
「泣くなよ。寧ろ、鳴いちまえ」
漸く事態を理解した頭、あまりの羞恥のために熱りすぎた顔を冷やす為に。
笑っているゾロの声をバックに、ざぶん、と水の中に沈んだ。

ゴボゴボゴボ、と耳がくぐもった音を拾い上げる。
ドォン、と水の中、音がして。
目の前、笑ってるゾロの顔。
ぐ、と引き寄せられた。
沢山の空気の泡が、煌きながら上がっていく。
それはそれは美しい眺めで―――

現実逃避しかけたとろこに、笑ったままのゾロの顔が近づいてきた。
柔らかく、口付けられて。
水の中、ゾロの腕の中。
舌がくう、と絡んで…。

―――あぁ、うん、オレは、ゾロがスキ。
そしてここはオレとゾロ以外、人は誰もいない。
ゾロだけが、見てるなら。
ゾロだけのために、見せてたんだったら。
―――――いっか?

くい、とゾロの腕を引っ張った。
ゾロがすぅ、と唇を離して、水面に浮かび上がる。
「ぶはッ、はっ、はっ、」
息。酸素。
酸欠でちょっとグラつく頭。
目の前のゾロは、息を整えながら。
ぶるぶる、っと頭を振って水を飛ばしてた。
………そういう仕種、スキ。

「…うーわーあー…」
呟いたオレに、ゾロが手を伸ばして。
前髪、濡れて顔に落ちてたのを、梳き上げていった。
一瞬眼を閉じて。
また開いた。

「端整込めて、イタダカセテイタダキマシタ」
サンクチュアリの自然に溢れた、キレイなパノラマの中で。
水に濡れてキラキラと煌くゾロが、純粋に嬉しそうな顔をして、からかい混じりに告げてきた。
真実。
「…ゾロ、オレが意識飛ばすまで、愛してくれたんだ?」
うわ、照れるなあ、コトバにするのって。
「そういうことだな、」
なんだかええと…バツが悪いなあ。

顔、まだ赤いまま。
どっか奥深くから、笑いが零れていった。
最初はクスクス笑いから。
それから、それはクックッって飛び始めて。
抑え切れなくなって、うはははは、って笑って。
「あはははははははははは!」
「エサが効き過ぎだぞ、オマエ」
ゾロも、笑ってた。
「や、ホント、も、ハハハハハハハハ!!」

笑ったまま、後ろにフォールバック。
ダボン、と水にまた戻って。
「―――ああ、この自然の中におわします神よ。おれにあの色っぽいベイビイをお返しください」
青い空、水の中に、ゾロの声と一緒に吸い込まれた。
笑い声。
うん。そっかそっか。
いっぱい愛されたんだ、オレ。
うはー、ここで?
聖域で?
それで、夢に見たのが洗礼???

「おい、バカネコ。正気に戻ったか?」
ぱしゃん、って軽く水、叩かれた。
ざ、と前髪を後ろに掻き上げてから、笑ったままゾロに向き直る。
「―――ン?」
「ゾォロ、オレさ。"コドモ"、卒業してもイイと思わない?」
どこの世界に。
こんな濃厚な、メイクラヴする"コドモ"がいるんだよ、まったく。

すい、ってゾロの首に手をかけた。
「ネコは日々セイチョウ中って?」
「オレさ……今、ゾロとシタイ」
チュウ、って口付けた。
「もっかいだけ、ね?」

「サンジさん。おれはびょーにんです」
「んん、水の中、重力から解放されるから、大丈夫」
す、って目だけで笑ってるゾロに、笑いかける。
「バァカ。我慢させてどうすンだよ?」

キィワード、もうヒトツ、サンドラに習ったの。
唐突に思い出した。
く、っと腰の辺り、腕、回された。
両足、ゾロに回して、抱っこされるみたいになる。
笑ってゾロに言ってみた。
「ゾロって、"絶倫"ってヤツだネ」

ぶっ、てゾロが噴出してた。
腕、離されて、オレはだっぽん、と水の中に逆戻り。
ぷか、と浮き上がると、ゾロが水面叩いて馬鹿笑いしてた。
「お、おまえ、―――ソノあたまのなか。いちどみせてみろ」
「ひっどぉ!オレのこと放り出したぁ!!」
笑ったままのゾロに、わざと膨れてみせる。

けど、それもあんまり保たなくて。
ゾロにつられて、オレも笑い出す。
ゾロ、オレのこと指差して。満開の笑顔でゲラゲラ笑ってた。
オレもずぶ濡れのまま、大笑いだ。
サンドラ先生。オレのこなれ度はいま何点??
セトがこの状態を知ったら。
…やっぱり、大笑いなんだろうなあ。

はー、って。笑いすぎた後の溜め息で、ゾロが息を整えて。
それから、ぐう、っと引き寄せられた。
す、と真摯な声、が、次に聴こえてきた。
「アリガトウな、愛してくれて」
ふい、と笑って、ゾロを見上げる。
「オレこそ、アリガトウ。受け入れてくれて」
受け入れてくれて、だからいまオレはここに居れる。
そしてとてつもなく、幸せ。

「聖地だったっけな、ここ」
「そう。パワースポット。地球のエネルギーが沸きあがってるトコ」
顔、覗き込んでくる。
微笑を湛えた男性の顔。

I'm so happy to be here in your arms this moment.
オレはいま、アナタの腕の中にいれて幸せです。
And what more matters?
それ以上に大切なことがあったら教えられたいものだね。
愛されて、腕の中にいる。
愛するために、腕の中にいる。
母なる大地の息吹が沸きあがる只中で、抱き合ってる。
これ以上、どこをどうやったら良くなるんだか。
―――怪我、治ってれば完璧だよね。

「ね、ゾロ」
「ん?」
口付ける直前で、囁く。
「オレが、アナタを、受け入れてみてもいい?」
する、と手を伸ばして触れる、ゾロの中心部。
水の中は浮力があるから、ちょっと大変かな。
けど、手伝ってくれるだろうし。

す、とゾロが僅かばかり目を狭めた。
「イイ?」
「否定する理由はゼロだぜ…?」
「にゃあ」
ふにゃん、と笑ってゾロに口付けた。
そのまま、腕を回して。水の中でゾロによじ登る。
腰の周り、足を回して。
ゆら、と揺らめきそうになるカラダ、ゾロの大きな手が支えてくれてる。

ゆっくりと腰を降ろし始める。
「…キツ、」
水の中、残ってたシーヴァは全部、洗い流されたんだろう。
「ムリするなよ、」
声、落とされる。
「ン、」

腹から上の位置は、水の上になる。
だから、膝頭は、水の上。
腰から下は、水の中。
ゆっくりと開いて。きれいな水と一緒に、ゾロを受け入れていく。

「…ハ、」
ゆっくりと背中から腰まで撫でられて、笑いを刻んだ。
ぐぷ、と体内で音がして、一番幅のある部分を、内に迎え入れた。
「…ふ、ぁ」
ゆっくりと、ゾロも息を吸ってた。
笑いを刻んだまま、ぐ、ぐ、と腰を降ろしていく。

なんなく開くようになった筋肉。
心と身体はもちろん、魂まで全部。
ゾロに向かって、開いていく。
「ん、あっ、」
開ききったと知ってる深さまで到達。

はぁ、と深い息を吐いた。
眩暈に、目を閉じて。それから見開いた先で、ゾロがにぃ、って笑ってた。
「熱いな、おまえのなか、」
ぎゅう、ってゾロのを締め付けた。
く、と僅かに突き入れられて、息を飲んだ。
麻痺していた身体の奥から、走り始める快楽は電流のように全身を伝う。
「ゾロも、熱いよ…オレのなかで、」
震える吐息に混ぜて、告げる。

ぐ、と腰を掴んだ指に、力が込められて、ふぁ、と息を吐いた。
目を閉じそうになるけど、抉じ開けるように開いたまま、ゾロの碧の目を見詰める。
快楽、その中にある、欲望、全部オレの。
だから。
「Take me away、」
笑って囁いた。
「And why not?]

ぐ、って応えと共に引き上げられた。
ゆっくりと刻み始めるリズム。
穿たれるリズムが、重なる。
オレはどこまでもゾロと共にいくよ。
だけど、今は高みまで連れていって―――。




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