| 
 
 
 
 野生児の生態について軽口を交わし。
 さらり、と背を撫で上げ。胸の上にサンジの、体温の上がった身体を落とさせた。
 「ふ、あ、」
 短く息が上がるのが聞こえる。熱い吐息が肩口にふわりと零される。
 顔を、項を撫で。髪に指先を溶け込ませて上げさせる。
 口許には笑みが浮かび。
 柔らかな眼差しで見下ろしてくる溶けた蒼を見つめ。
 唇で触れた。
 
 猫のコドモが漏らす音に似た声が、聞こえる。
 舌先で唇を割り。
 甘い音を零す前に貪る。
 抱きしめ、肌が溶け合うかと思う。
 サンジが目を閉じ、湧き上がるなにかにその金の色を溶かし込んだ睫を震わせていた。
 
 おまえがスキダ、と言葉にせずにまた、どこかで思考が容になる。
 
 腕に抱くもの。
 抱きしめかえす腕。
 ふざけた口調で、遠慮なく喰う、と先に告げていたけれども。
 口調の軽さとは裏腹に、酷く真摯、としか言えない思いに動かされる。
 
 陽射し、滝音、葉擦れの音、サンジの裸の肩の上に
 光の環が梢を通して落ちてきていた。
 その場所に口付ける。
 ひくん、と四肢が震え。
 じわり、とまた。
 穏かに
 乾きが喉元まで競り上がり。
 
 あぁ、やっぱり。喰っちまおう、そんなことを思い。
 耳もとに声を落とした。
 「脱ぎっぷりの研究しなくていいからな、」
 
 ぱかり、と目が見開かれ。
 サンジがふんわりとわらった。
 その目元に口付け、背骨にそって下肢まで手を滑らせ。
 サンジの喉がコクン、と鳴るのを耳が捉え。
 喰いきることにした。
 
 確定。
 
 
 
 
 next
 back
 
 
 |