目が覚めた、ハズだったけど。
なんどかとろとろ、と眠りに引きずり込まれた。
二度寝、三度寝。いままであまりしたことがなかったけれど。
今日に限って、何故だかとても眠かった。
4度目に目覚めた時に、ああダメだ、起きなきゃ、と思った。
気だるく欠伸をして、伸びをして酸素を身体に入れて。
ぱかり、と目を無理矢理開けた。

仄明るい空間は、わずかにオレンジ色を帯びていた。
柔らかな、自然からは切り取られた空間。
それでも、どこまでも世界の一部で。
ゆっくりとラグから這い出た。
カバンのところまで行って、中から取り出すのは、平らな缶に入ったクリーム。

ゾロ、多分、泳ぎにでも行ったんだろうなあ。
じゃあ、まだ平気だよね…?

気だるいまま、缶をラグの上に放り投げ、温かさが残る場所まで戻った。
いつのまにかゾロが穿かせてくれてた、寝巻き代わりの短パンを脱いで。
ついで下着も。
上も脱いじゃうかな、どうせ着替えるんだし。
んー…でも面倒…、あとにしよぅ。

ぺたり、と座り込むと、ラグの毛がふわふわと擽る。
「…んん、」
欠伸を漏らして、缶を開けた。
指にクリームを掬い取って、少し指で温めた。
「…はー…」
腰を浮かせて、手を宛がい。
広げて、クリームを乗せた指をそうっと押し当てて…。

ばさ、っと音がして。
「…は?」
振向いて、ぱちくり、と瞬いた。
ティピの入り口、幕が捲られて。身体を折って入ってきたゾロと、ばっちり目が合った。
カチン、とマジック。
一瞬で、固まる。




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