はふ、と息を吐いた。
ゾロに触れられてる、と思うだけで、身体が熱くなる。
薬を塗り拡げていくゾロの指の動き。
自分でやるときとは違って、どんなにそれがそうされることと意味が違うんだ、って頭の中で言っても、
「んん…っ、」
じわ、と快楽が、襲ってくる。

ゾロがふ、っと小さく笑ってた。
また、じわ、と涙が浮かぶ。
身体に理解させようと、首を僅かに振っても。
ゾロの唇がやさしく頬に触れてきて。
「あ、ふ…、」
熱くなった吐息が勝手に口から零れ出て行く。

「煽るなよ、」
からかうみたいな声、酷くやさしいゾロのそれが、ふわ、と耳から入り込んでくる。
「…っ、」
きゅう、ってゾロの指を締め付けた。
く、と奥に塗り広げられて、ぎゅう、とゾロのシャツの背中を握り締めた。
「あ、おってな…ぃ」
は、ぁ、と息を吐く。
耳の横、髪、そして目許。柔らかく唇がプレスされていく。
「ぞ、ろの、…ゅび、」
ゾロの肩口に唇を押し当てる。
「き、…もちイ、ィ…っ」
ん?とやさしい声のゾロに応える。
「…したくなるよぅ…、」

ふえ、っと息が勝手に上がった。
ゾロの牙が、きゅうって耳朶をピアスしていった。
指が引き抜かれる感触に、ぶるぶるって体が震える。
「ち…がぅ、て…わ、か…てるの、に」
背中、宥めるように撫でられた。
さらさら、と掌が滑る感触が、泣きたくなるほど気持ちがいい。
「やっぱり、」
と穏やかなゾロの声に、ぷるぷる、って首を小さく振った。
溶けてるときにしよう、ってゾロが決めたのが、なんとなく伝わってきた。

「…オレ、…は、したな…ぃ?」
ぎゅう、って情けなくて、唇を噛んだ。
ぽと、ってまた勝手に涙が零れた。
ぎゅう、ってゾロに抱きついて、顔を首筋に埋める。
「いや?――――けどまぁ、」
おまえの世話は朝しないことにする、って。ゾロが緑の目を煌かせながら、そう言った。
「…ん」
こくん、って頷いた。
「溶けてる時の方がおまえもラクそうだしな?」
そう言って、ゾロが目を細めていた。

「…ひ、とり…のとき、こんな、にならなイ」
はふ、って息を吐いて、湧き上がり始めた快楽を宥める。
「フウン?」
ぺろ、と首筋を舐められ、またひくっと喉が鳴った。
「むしろ、」
「…っ?」
笑いを含んだ声に、顔を上げる。
「同じだったら、それはそれで由々しきモンダイだな、」

「…ゾ、ロ」
「なんだよ?」
ぎゅう、とゾロの背中のシャツを握り締める。
ゾロの目が、またにっこりとしていた。
「……少し、待って…ね、」
もう少ししたら、落ち着くから。
そうやっとのことで言ったなら、ゾロは。ふわん、ととてもとても穏やかに笑みを浮べていた。

さらさら、と髪を撫でられた。
音と共に、快楽が静まっていく。少しずつ。
「すきだよ、」
甘い声の囁きが耳に届いた。
こくん、と頷くと、前髪を上げられた後に額に口付けられた。
ふるっと快楽の名残が背中を抜けていく。
ふ、と小さい息を吐いて、それを逃がした。

ゾロの身体に押し当てていたものも、それと同時にゆっくりと静まっていく。
「あ、ザンネン」
「……え?」
ゾロを見上げてから、からかわれていたのだと知った。
するん、と押し倒されて、背中に柔らかなラグの感触。捲れたTシャツのところに感じた。
「ぞ、ろ…?」
少し上から見下ろしてきていたゾロが、小さく眉を跳ね上げて。
それから、ちゅ、と音を立てて口付けられた。
「…っ、」

ゾ、ロ?と音にしないで訊いてみる。
ゆっくりと、ゾロの唇が降りていく。
表層を辿るように触れ、臍の辺りまで口付けられて、ゾロ?と声に出して訊いてみた。
やたら小さな声だったけれど。

柔らかく吸い上げられて、ひくん、と身体が揺れた。
ちくり、とその場所に感じる僅かな痛み。
「…っは、」
ぴくん、とゾロの背中にあった指が跳ねた。
く、と腰骨の浮いたところをゾロの牙がやんわりとピアスして。
「…っ?」
潤んだままの目で、ゾロの緑の目を見上げた。

反応を示し始めてはいるけれども、まだ柔らかい中心部を、ゾロの大きな掌がやんわりと包んで。
「ふ…、」
息を零したら、ゆっくりと身体を引き上げて。ちらっと胸の飾りを舐め上げられた。
「…っ、ゥ」

きゅうと中心部、握り込まれて、目を瞬いた。
快楽にまた、かちりと火が点けられ。
ぎり、とゾロの背中に爪を立てるようにしたら。緑の目で光を弾いて、おもしろそうだ、付き合え、と言ってきた。
「ん…っ」

くう、と舌を差し込まれて、唇を開いた。
同時にきゅう、と握り締められて、ふる、と身体が震える。
「ふ…んん、っ」
ゆっくりと追い上げられる。
深い口付けに半ば酸欠になりながら、それでも沸きあがる快楽に、身体を震わせる。
ちゅ、と濡れた音がすぐ間近から聴こえ。けれど、遠くからもぬちゃぬちゃと濡れた音が聞こえ出す。
湧き上がる快楽が齎す熱に身体が震える度、零れる息さえも取り込むように口付けられる。

穏やかに引き上げられる、快楽の極みに。
もどかしいような、安堵するようなスピードで追い上げられて、何度も身体を震わせる。
髪をゾロの空いている手が僅かに掴むようにし。
合わせる唇の角度をコントロールされる。
「んんっ、」
喉の奥で声を上げる。
勝手に身体が、腰が揺れる。
身体の熱が、一点に集中しだす。
ぼやけた頭は、快楽だけを追って。
「ん…っ、」

ゾロの背中でシャツを握り締めた。
ひく、と喉が鳴る。
がたがた、と身体が震えだし。
「ン、ンンっ、」
口付けられたまま、飛び込む先を知る。
グン、と扱き上げられて、びくり、と腰が跳ねた。

ぎ、と爪の先をゾロの背中に埋めて。
ぎゅう、と抱き込まれて、身動きが取れなくなる。
それでも、何度も強く扱き上げられて、身体は跳ねて。
口付けが解かれて、っぁ…っ、と喘いだ。

反った喉元、噛み付かれる気配に、ふぁぅ、と甘い息を吐いて。
びくり、と背中が反った瞬間、堪え切れずに溜めていたものを放した。
たぱたぱ、って腹の上に雫が垂れ落ちる音が、荒い息の向こうから聞こえてた。
ポン、と一瞬で頭が真っ白になった後、急に身体の熱さを自覚する。
ぎゅう、と搾り出されるようにされて、
「ふ…ぅンっ、」
またビクンと腰が跳ねた。

鎖骨をぺろり、と舐められ、ぐう、と喉を鳴らして。
そのまま、ゾロの舌がゆっくりと辿り下りていき。
零したものを、ぺちゃぺちゃと舐め取っていく音を、震えながら聞いていた。
飛び越えた快楽の向こうから、じわじわと更に熱い何かが染み出すように湧き上がってくる。

肌を辿るゾロの舌の熱さに、くぅ、と声を漏らした。
もっと、と強請りたい。
もうダメ、と言ってしまいたい。
二つの相反する願望の間で、揺れる。




next
back