「…アナタがいないと、もうオレは"オレ"じゃないんだ」
アナタがいないと、オレは不完全で不安定な存在のまま。
そういうものに、オレはなったから。
だから。ゾロが見据えているものの先に来る全ての事柄の向こう側を目指して。
いつか完全なハーモニーを作れる日を願う。
唇が重ねられ、またゆっくりと離れていった。
「スキダヨ、」
囁きを、落とす。
アナタを待つだけじゃなくて。
アナタと添える日を目指して、オレも頑張るから。
とてもゆっくりとした動作で、両腕で抱きしめられた。
オレも腕を回して。身体を預ける。
「…向こう側で、会おうね」
その場所が、どこだかわからないけど。
全てを乗り越えた、その向こう側で。
また、一緒になろう。
サンジ、と。
一度だけ、名前を呼ばれた。
「ばぁか、」
「…いいもん、」
「途中で会えなくてどうするよ?」
僅かにからかうような口調のゾロの声。
「最後の最後、って意味だもん」
いつ、どこがその場所になるかわかんないけど。
死ぬ時なのか、死んだ後の時のことなのか。
もしかしたら、もっと先のことかもしれないけど。
「最終ゴール見据えて、ガンバロ」
途中でたくさん会って。
会えない日も、たくさんあることを覚悟してるから。
「ゴール?ガンバレ?……フザケロ」
歌うようにゾロが言っていた。
フザケロ?いいえ、ものすごく真剣。
そこまでオレは、アナタを求めるよ。
ずっとずっと先、またその先まで。
「…ゾォロ」
「―――ん?」
笑いながら、ゾロを見上げた。
「ダイスキ」
「却下。おれはおまえからは愛を要求する」
にぃ、とゾロが笑った。
声を上げて、オレも笑う。
音にする応え。
「I love you with all my heart and soul」
アナタを、心と魂の総てで愛してるよ、ゾロ。
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