1am Monday, August 27
バックシートで、眼を閉じた。

首謀者共、アレを担ぎ出してきたバカ共、破綻を予感してそれに乗った大バカ、これで全部がいなくなった。
網から漏れた雑魚はいるかもしれないが、そいつらのリミットも時間の問題だ。

ニューイヤーが拝めるとでも思っていたなら救い様のない連中だ。
ハンタァと、呼び出された連中はいまごろ屋敷のクリ―ンアップ中だろう。あと、大体2―30分で全てが「片付く」。

ペルは、屋敷に残っていた。
正確に言えば、浜に。

エンバーミングの特技があるわけもないのにな。ただ、まっしろのリネンを取り出して、裂け目を見せていた喉元を拭い、
覆っていた。
それがちらりと最後に見えた。

アレの優秀な部下がすぐに来て、からっぽの墓所にトマが入れられる。
中身が空ろだった。アレの後ろにちらりとみえたのは、どこまでも深く底のない何かの裂け目。
おれの足元にも稀に覗く同じモノ。

けれど、おれはオマエにはならない。求めるものの形を歪めてそれをいつまでも自分の中になど閉じ込める気も無い。

―――おれが死にたがっている、と子守りはいつだかため息混じりに言っていた。
半年前までなら、たしかに。
似たようなモノであったかもしれない。

いつ終わってもいいし、むしろ。
ソレを楽しみにしていた感も、あったかもな。

面倒なディールにばかり顔をつっこんで。呪詛の言葉を集めて。
わらっていた。なんだ、まだ誰も追いついてこない、と。

前も後ろも無く。
時間を切り取って、掌に載せて眺め。あとどれくらい先があるのか、ウンザリしていた。
―――けれど。

意識の底が揺れた。
イメージは、熱風と。
白い羽。

……あぁ、そうだよな。
開けかけていた目をまた閉ざした。
「善きもの」。蒼、それも天上の青。

燐光でも、鬼火などでもなく。
おれの求めるもの。

知らず、深く息をついた。
――――もうすぐだ。




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