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 カラダの境界線を忘れてる。
 ゾロが僅かに近づくたびに、皮膚で距離を測るように熱を感じ取っている。
 触れられる一瞬の気配に震え。
 触れられた一瞬の熱さに震え。
 
 ぞくぞく、と這い登る悪寒にも似た快楽。
 尾てい骨あたりに、熱が溜まっていく。まるでマグマみたいに。
 それなのに、指先も皮膚の表面も、容なんか無いみたいに溶けてる。
 だから、腕を、手を、足を、どうしたらいいのか、わからなくなる。
 
 「あ、あ…っ、」
 手を引き上げられた。
 そこに落とされる唇が、灼熱のようにも思える。
 震える。
 「んあ、」
 びく、と勝手にまた脚が跳ねたのを、行動の一瞬後に理解する。
 
 くう、と指の腹を熱い唇に食まれた。
 そこから、力が抜けていくみたいに感じる。
 溶けていく。
 身体をもてあますほどの快楽。
 だけど―――、
 「ん、ぞ、ろ…、もぉ…っと、」
 ヤメナイデ。
 もっとほしいから。
 
 「眩しくないか……?」
 柔らかい声が聞こえる。
 甘やかすかのような囁き。
 首を横に振る。
 さら、と髪を撫でていかれて、瞼を開いた。
 潤みっぱなしの視線の先。
 柔らかな翠の双眸。
 
 「ぞ、ろ、」
 こく、とつばを飲む。
 焦れて、焦がれて。
 願いを言葉にしようか迷う。
 喘ぐ。
 「ん?」
 目許に押し当てられる唇。
 
 手、どこ―――伸ばす。
 ああ、ゾロの背中だ。
 熱い身体、広い背中。
 
 する、と膝を引き上げられる。
 そこもさらりと触れていかれる。
 「ん、は…ッ、」
 びく、と身体が跳ねたのを理解する。
 ゾロはまだ、なのに。
 もうオレは何度――――?
 
 頬に唇が押し当てられて、蕩けきってどろどろになった身体から、何かが溢れていく。
 ああ―――涙だ。
 低い声で名前を呼ばれる。
 喘ぎっぱなしで口の中が渇いている―――こんなに蕩けて潤んでいるのに。
 
 涙、ゾロが唇で拭きとっていった。
 「―――あまい、」
 低い声。
 ぴくっとまた腰が僅かに跳ねる。
 焦れる。
 「…ぞ、ろ、」
 腕に力をいれる―――入ったのかな。
 応えるように抱え上げられた膝裏に、ゾロの指先が僅かに埋って。
 やんわりと耳朶を口に含まれて。
 肌の近くで零される吐息、熱い口中に引き込まれる感覚に眩暈がする。
 さっきから、くらくらしっぱなしだけど。
 
 「―――ん?」
 低い声、また焦れる。
 目を瞑る―――ああ、ダメだ。
 「ほし、…よぅ」
 揺れる声、勝手に細められたオレのもの。
 
 ゾロの指で、舌で、寛げられた奥に触れられて、また腰が跳ねた。
 涙と一緒に、熱く堪えきれなかったものが勝手に転がる。
 雫。
 「お、くに…ほし、」
 ゾロの肩口に額を埋める。
 「や、あ…っ、」
 欲しい場所に注がれたのは―――シーヴァ。
 違う、そうじゃない、それはイラナイ、欲しいのは…っ、
 「ぞ、ろの…あつ…ぃの、…ほし…っ、」
 泣きながら零すネガイ。
 
 くう、と指先が潜り込んできた。
 塗り広げられる感触に、勝手に脚が突っぱねる。
 「ひ、あ……、ア、」
 「熱いな、オマエ」
 「ぅ、え…っ、」
 低く僅かに掠れた声にすら焦れる。
 
 とん、と瞼に濡れた熱。くちづけられた。
 「ぁ、…ぞ、ろぉ…っ、」
 勝手に腰が焦れて揺れる。
 緩み、潤んで、ひくついている場所。
 絡みつく腸壁をからかうように、ゆっくりとゾロの指が出て行く。
 
 背中、浮いていた空間に入り込んできた力強いゾロの腕。
 ぐ、と引き上げられて、抱え上げられる、硬い木の上から。
 「く、ぅー…っ、」
 ゾロにしがみ付く。
 漸く重なった熱が嬉しいけど、まだ、足りない。
 もっと、もっと奥がいいよう。
 
 きゅ、と首筋に灼熱。
 「や、あんっ、」
 びく、とゾロの腕の中で身体が勝手に跳ねていく。
 コントロールは最初から手放してあるけど。
 腰が蕩けてて力が入らないのに、びっくりするくらいに大きく跳ねる。
 
 ぺろ、と噛まれた痕をゾロに舐められた。
 ぞくぞくとまた快楽が背骨を伝っていって、どこかでマグマに落ちて拡散していく。
 さら、と背中に柔らかな感触―――ベッドだ。
 認識すると同時に、ぐ、と割り開かれたのが解る。
 また涙が勝手に落ちる―――感触を脳が処理し切れなくて、まるでそれでつじつまあわせをしているようだ。
 
 脚、上げさせられる―――力、跳ねる一瞬にしかもう入らない。
 膝裏に熱いゾロの体温を感じて、強く閉じていた目を開く。
 潤んでいて焦点は結ばれない。
 そして。
 ゆっくりと、ゆっくりと。
 開かれていく感触。
 質量を受け入れる、その最中にゾロの声。
 ああ、オレの名前だ、ソレ。
 どうしよう、また眩暈がクル。
 
 「あ、ア、は、」
 ぞくぞくぞく。
 震えが駆け巡る。
 熱さに灼けるみたいだ。
 「―――サンジ、」
 「も、っと…ぉく…」
 甘い声に、涙声で強請る。
 腕で縋って、肩口に唇を押し当てる。
 「ぞ、ろの、あ、っついの、ほし、」
 熱に浮かされたみたいに、自律が利かない。
 全部、ゾロのものだから、それはいいんだけど。
 
 く、と腰を引き上げられて、くらくらと眩暈に意識がぶれる中。
 体内のマグマ溜まりのある位置まで熱が入ってくる。
 焦れる。
 ハヤク火を点けて。
 ゾロが欲しい、もっと。
 熱、もっと奥で感じたいよう。
 
 「欲しい?」
 わずかにからかいの滲んだ声が軽く囁いてくる。
 締め付ける。
 無意識に。
 そして、意識して。
 「ほ、しぃ、」
 渇いている、だからゾロのがほしい。
 
 緩く押し上げられる。
 にぃ、とゾロが笑みを浮かべていた。
 見下ろされる視線を感じて、潤んだ焦点を必死で合わせる。
 「ふ、」
 喘ぐ。
 く、と奥を突かれて、手指でゾロに縋る。
 「ああっ、」
 ドウシヨウ、どうしよう。
 わけ、わかんないよう…全部が感じすぎてて、もう―――
 
 「あ、んん、」
 キツク目を閉じた。
 緩く揺すられていく。
 放すまいと締め上げて強請る。
 笑ったみたいな吐息が落ちてきた。
 ゾロの首筋に唇を押し当てる。
 「ぞ、ろ…ッ、」
 おしあてたまま喘ぐ。
 
 「逃げねェよ、」
 からかうように言われて、もっとしがみ付いた。
 ハナサナイデ。
 「あ――――ッ、」
 ぐう、と強く突き入れられて、背中が反った。
 「あ、…あ、」
 
 もう言葉は象れない。
 快楽に呑まれる。
 触れてくるゾロの熱に呑まれる。
 自分の容は曖昧だ。
 でも、イイ。
 ゾロの、だし。
 オレは、ぜんぶ。
 
 広げられた場所に、熱い指先が触れていって。
 悲鳴みたいな声が勝手に零れていった。
 ぐ、と下肢を引き上げられ、ますます奥に擦られる。
 「く、ぅ」
 ―――イイよう。
 
 「縋れよ、構わない」
 ぐ、と。
 快楽が生まれる場所だと覚えこんだソコを強く抉られて、仰け反った。
 何度も押されて、頭の先から爪先まで痺れたみたいになる。
 蕩ける。
 感電して、溶けていくみたいだ。
 
 「オマエを、愛するよ」
 声、聞こえた。眩暈の渦の中。
 ―――嬉しい。
 意識を、ゾロに合わせて委ねてしまう。
 だけど、多分。
 オレは笑ったハズだ。
 
 
 
 
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