あンたはひでぇヤツだな、と。
ゾロが苦笑いを浮べた。
「I need you」
アナタが欲しい。
「アナタを、愛してる…世界中の、誰よりも」
それは本当。
「アナタは、誰よりも、特別」
信じて。
「…アナタが、欲しい」
後で泣くのは、構わないから。
「アナタが、オレは、欲しいんだ」
後で傷付いても、いいから。
「ゾロ…オレに、アナタを愛するチャンスをください」
守ってもらえなくてもいいから。
「オレじゃあ…役不足ですか?」
世界中で誰よりも、アナタを愛するから。
「オレに、アナタをください」
世界がアナタを裏切っても。
オレはアナタと共にいるから。
ゾロを見る。
「おれは。いらないんだ、至上の者は。手に持つ気はない、けれどあンたは―――」
「…?」
至上?
「唯一のものだ、そんなモノはいらない」
…オレは、ただの、ニンゲンのオスだよ…?
ふう、と溜め息が洩れた。
「…わかんないよ。どうして…?」
オレの何が、ダメなの?
ゾロだって…世界に一人しかいない存在じゃないか。
「おれが、あンたを愛しているから。だからだよ」
「…わかんない」
首を振った。
「オレを愛してるっていうのなら…オレを抱いてよ」
抱く。
抱いて欲しい。
強く。
「オレは…アナタと…愛し合いたい」
触れて。
触れられて。
「キスして…触って…齧って…舐めて…愛し合いたいんだ」
「あンたに触れて、わかった。おれはあンたを引き摺り下ろすべきじゃない」
「…どこから、オレを下ろすっていうの?」
する、と指で頬を触れられた。
眼を閉じて、上がらない指の変わりに、舌先でそれを舐めた。
「オレは…タダの、ニンゲンの、オスだよ…?」
アナタと同じ。
アナタに餓えて。
アナタに渇いて。
アナタを欲する。
「アナタが狼じゃないように、オレだって、ニンゲンなんだよ…?」
発情する。
愛して、って、全身で叫ぶ。
「アナタに求愛してる、タダのオスだよ…?」
オレの何がダメなの?
ゾロの指先、くちゅ、と舐めてみた。
「二律背反だな、バカバカしい」
そ、と濡れた指が、唇を撫でた。眼を閉じて、唇をそっと開いた。
唇、感じる、ゾロの指。ぺろり、と舐めた。
「オマエが、喘ぐカオを見て欲情する。おれの手でもっと熱を上げたいと願う。」
「…してよ」
オレを熱くしてよ。
アナタが欲しいんだ。
アナタに、オレを満たして欲しいんだ。
「けれど、同時に。」
…?
「オマエの喉を引き千切っていっそ殺しちまおうか、と」
こくり、と息を呑んだ。
「…オレを置いていくなら、殺してってよ」
ゾロを見上げる。
すぅ、と冷めた光が、目の底にある。
「オレは、アナタ以外と愛し合いたいと思わない」
オレは狂ってるのかなぁ?
「アナタを想うだけで、身体が熱くなる」
…狂ってるとしたら。
「アナタに疼いて、満たされたくて…内側から、ドロドロに熟れていってる」
目を閉じた。
「アナタに置いていかれたら…」
目を開けた。
「オレは、その熱の処理の仕方を知らない」
瞬き。
「だから…その熱に、オレは冒されて。内側から、死んでいく」
ああ、狂ってるのかもしれない。
笑った。
「オレは…この熱に、耐えられないから」
きっと、どうしようもなくて、狂っていくから。
「それなら、いっそのこと…砂漠の熱に、焼かれることを選ぶ」
オレは本気だよ。
「アナタに愛されないなら…太陽に焼かれて、死ぬよ」
だって。
「アナタ以外は、いらないもん」
「なあ、」
ゾロの渇いた声。
「アナタ以外を、愛したくないし」
知ってるか、とゾロが言葉を続けて。
口を閉じた。
「ヒトの尊厳をイチバン手っ取り早く取り去る方法」
「知らない」
ヒトの尊厳?
「ああ、簡単だぜ?」
…簡単?
「…どうするの?」
「犯せばいい。」
…犯す。
「…それで?」
レイプ、ってことだね。
意思に反して、性的行為を行うこと。
「ヒトには有効な手段だな、男女問わず」
「…アナタは。オレをレイプしたいの?」
オレはアナタを受け入れたいのに?
「いや、おれはオマエを抱きたいだけだよ。だけどな、妙な罪悪感がある」
「…なんで?オレがまだコドモだから?」
オレはマイナーだ。確かに。
けど、それはどうしようもないことだし。
ゾロが首を横に振って、苦笑いを浮べた。
「おれは、オマエの味を知っている」
「…?」
味?どういうこと?
「まるっきり、オマエを犯しているような気がしたな、あの時も」
「…あの時って、いつ?」
オレを犯した?
いつのこと?
「夢で散々魘されていただろう。」
「…ウン」
…アナタに抱かれる夢を見てた。
する、と投げ出した足、ゾロの手に撫でられた。
「…ッ」
ふる、と身体に熱が走った。
過敏なカラダ。
全身でゾロを感じたいから、ストップはかけない。
ふわ、と体温が上がる。
「オマエを舌と唇とで昂ぶらせて愉しんだ」
「……あ」
今朝の…コト?顔に血が昇った。
「オマエの声に煽られた」
自棄するような笑み、ゾロの口元に刻まれている。
「…オレは…アナタに抱かれる夢を見てた」
夢での感触。
リアルな熱。
「リアルだな、夢じゃない」
思い出して、快感にカラダが震えた。
「…オレは…夢だと思ってた」
吐く息が熱い。
「ああ、だろうな」
「夢だと思って、悲しくなった」
指先が震える。
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