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 腕に抱かれて。
 幸せな気分に、うっとりとなった。
 眠る直前のような、おだやかであったかな気持ち。
 そういうものが溢れて。
 でも、それはすぐに熱くなって。
 更に蕩けて。カラダの中で、蜜状態になった。
 口付け。
 味わう、ゾロの舌。
 舌先が触れるだけで、何かが体内で溢れて。
 満たされる。
 熱に。
 蕩け出す。
 感覚に。
 ハレーション。光の渦。
 深い快楽。
 意識が跳ぶ。
 それでも欲しくて…欲しくて。
 
 ベッドの上、服を脱がされて。
 初めて触れ合った肌。
 ジョーンとは、一緒に寝てたし。
 お風呂上りとか、抱きついてたりとかしてたけど。そういうじゃれ合いとは、違う。
 辿る指とか、掌の感触。熱に包まれる、ゾロの。
 全部曝して。余すところ無く差し出して。
 ゾロが触れていった。
 震えが走った。
 
 その場所からどんどん新しく火が点いて。
 快楽に焼かれて、全部蕩けるかと思った。
 心の奥底から、喜んでいた。
 細胞が片っ端から、歓喜に震えて溶けていった。
 気持ちよくて。
 解けた熱が、一箇所に集まっていって。
 そこをゾロに触れられて、肉体が容を忘れた。
 
 キモチいいから。
 ゾロにされているのが、イイから。
 もっと欲しい、と強請った。
 ぐちゃぐちゃに蕩けたかった。
 オレは全部、ゾロのもの。
 だから…全部。
 息も、鼓動も、喘ぎも、涙も。
 嬌声も、震えも何もかも。
 ゾロに見せた。
 差し出した。
 
 一度熱を吐き出して。
 震える肌が、肉体の容を思い出させて。
 ふう、と息を吐く間も無く、次の波がやってきた。
 後ろの、排泄器官。
 ああ、そうか。
 そこなら…うん、物理的に、入れることは可能だなぁ、と思い当たった。
 たまにオスどうしで惹かれあう野生動物がいる。
 本能で、圧し掛かろうとする。
 けれど、排泄器官を使うことを学んだドウブツはいない。
 ヒトだけだ。
 すごいなぁ、ヒトにできないことなんかないのかなぁ。
 けど…どうするんだろう、とも思った。
 そんなことを思っている間に、指はどんどん触れていって。
 
 不思議な感触。
 触れられると、勝手に窄まって…オジギソウみたいだ。
 けれど、その不思議な感触も、快楽の一種だとゾロが伝えてきたから。
 どこかしら、待ち望むような気分で、ゾロの指先を受け入れた。
 不思議な感触。
 身体中をキスされたりすると、鳩尾辺りに震えがくるのに。
 襞に触れられると、頚椎のあたりに震えがきた。
 
 ぞわぞわ。
 侵食される。
 覚えのある…気持ちよさと、初めて受ける感触。
 勝手に身体は震えて、窄まり。
 ゾロの指の容、馴染んでいった。
 排出しようと窄まるのに、留まる指。
 どんどんと奥に入っていって。
 
 ああ、ダメだ、なんだかぞわぞわがとまんないや、と思っていたら。
 すごく熱いものが、濡れた感触を伝えた。
 びっくりした。
 熱くて、濡れてて、自由自在に蠢いていたのは、ゾロの舌先。
 身体が震えた。
 本能が警告を出した。
 
 ふいに頭を過ぎったのは、肉食獣が獲物を食らう映像。
 一番やわらかいそこから、食べていく。
 ああ、そうか。
 オレは生きたまま食われるのか。
 ゾロに。
 
 そう思ったら、身体が全部反応しだした。
 熱くなって、蕩けて。
 オンナノコみたいに、そこから蜜が零れてるんじゃないかって思えるくらい。
 熱くなって、思考が停止した。
 もぐりこんだ舌先に、感覚が走り出して。
 もっと奥まで欲しかった。
 奥の奥まで満たして欲しくて。
 
 快楽を訴え、もっと欲しいと強請ること。
 浅ましいと思わない?って前に訊かれたことがあったけど。
 
 だってオレは欲しいんだもん。
 だってオレは嬉しいんだもん。
 もっと求めて貰いたいから、オレは素直に求めるんだもん。
 キモチイイから、喘ぐ。
 キモチイイから、震える。
 もっともっと満たしてって。
 アナタだけで、満たされたいって。
 そう伝えるのは。
 オレは恥ずかしいことだとは思わないし。
 浅ましいとも、思わない。
 声も、全部、快楽を訴えるものだから。
 受け取る感覚がオーヴァフローして、息苦しいけど。
 その息苦しさすら、知って欲しいから。
 
 だから。
 全部声にした。
 感覚も、感情も。
 ゾロが入ってきたとき。
 だから、オレは…言い表せないくらいに、幸せだった。
 ああ、これ以上はムリってくらいに、満たされて。
 オレが欲しかったもの。
 自分を失うくらいに、ゾロで満たされること。
 入ってきたゾロのものを、きゅうきゅうしめつけて、悦んだ。
 腕で抱きしめられて、しがみ付いて喜んだ。
 
 汗に濡れた身体。
 熱っていて。
 身体中に入り込む総てが、ゾロで埋められたと思った。
 空気すら、ゾロの気配で一杯で。
 欲しがって、満たされて、溢れた。
 身体が蕩けて、蜜になった。
 思考は白く染まって。
 スパークが走って。
 全部手放した。
 いっさいを。
 
 きっと、本当は一瞬のこと。
 だけど、全部手放して、それでも自分を満たすヒトがいとおしくて。
 不思議な気分になった。
 意識が、甘い匂いになったような、そんな気分。
 ケーキを焼いているキッチンを満たしてる、甘くてやさしい空気のような。
 
 幸せ。
 それ以外に、言い表す言葉がないよ。
 
 ふ、と感覚が戻って。
 ゾロが出て行ったのが解った。
 熱いとろりとしたもの、お腹辺りに散って。
 ゾロが出て行った後、淋しいなんて思う暇もなく。
 ぞくぞくぞく、とベツの快感が走り抜けていった。
 とろり、と垂れ落ちる精液。
 
 ゾロが手で、すぐに拭ってったけど。
 オレは…なんていうんだろうなぁ、うん、なんだか感慨深かった。
 ああ、満足したんだ、って。ゾロが、オレで満足したんだって。
 熱く汗に濡れたゾロの上体が、ゆっくりと重なってきて。
 
 受け止めた体重すら、オレを満たした。
 快楽とはベツの種類の、気持ちよさ。
 
 オレはゾロに全部あげたけど。
 ゾロもオレにくれたんだなぁ、っていう…満足感。
 息が落ち着くまで、ずっとゾロを抱いていた。
 重みがいとおしいと思った。
 汗ばんでねとつくそれすら、嬉しいなんて。
 初めて思った。
 ゾロに頬を摺り寄せて、肩口をカプリと噛んでみた。
 塩味。
 甘くて、さらりとした肌。
 
 不意に、口中が、カラカラに渇いてることに気付いた。
 その上、なんか…お腹空いた。
 ゾロが、髪を撫でてくれて。
 一瞬気は逸れたんだけど。
 きゅう。
 力が抜けてきた。
 ふみゃぁ…。
 
 サンジ、って、名前呼ばれた。
 ウズマキが見える目を、必死で開けた。
 「…ぞ、ろ〜…おにゃかすいた…」
 うわ…視界がぐるぐるしてるよー…。
 ゾロが笑ってる声が聴こえた。
 
 キス。
 唇に。
 音を立てて、落とされてった。
 そして、遠のく重み。
 みゃー…たすけて…。
 
 
 
 
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