視覚、悦び。熱も容も高まり
衝動、
自らの手で壊し、また何度でも作り上げる
受け入れようとする容、奪い、蹂躙する
上りつめるまでに、幾度吐精させただろう、

涙、舌で味わい
上がる苦痛を堪えた嬌声を耳にし
おれのどこかが歓喜した。

この身体と、それの育む命はおれのものだと。
血の味のする幸福感で満たされた
撫でるだけの愛撫では足りない、
その下の肉も、筋も、血の流れさえも取り込み、味わおうとする衝動。

背後から抱いて、項に牙を立て。
溜め息とともに思った。
手に入れたいと。

羽根を引き千切り、その肉を食む、じわりと拡がる悦楽。
それでも、おれは。
けれど、おれはオマエを愛している。



濡れた身体を引き上げた。
ぴくりとも動かない腕、引き上げ。指先、口付けた。
半身を起こさせ、頬、唇を寄せた。
意識のない身体を抱き上げる。
篭もってしまった熱が、肌を潤ませ。瞼は閉ざされたままで。
浴室まで運び、腕に抱いたまま溜めた湯に沈む。
身体に散る痕に。僅かに眉を顰めた。
配慮など、出来なかった。
余す所なく、口付けた痕が散り、指の痕が残り、それらを目にして。背中から抱きしめた。
そして腕をずらし。
下肢へとあてがう。

綻んだままの中へ差し入れ。残滓を引き出す。
意識が戻っていなくてよかったな、ふとそんなことを思った。
ひく、とそれでも眉根が寄せられ。あわせた背がわずかに揺れた。
水の中でも、ひたりと指に添う液体の残りを。
余す所なく、出来うる限りの穏やかさで拭い取り。
抱き上げたまま、緩く流れる水滴で身体を洗い、頬に、瞼に口付け。
ふ、と思い当たる。
後にしてきた寝乱れたベッドのことを。
笑い出した。
風呂掃除の後は、ベッドメーキングだ。連中が聞いたならぶっとぶな、と。

バスタオルで身体を包み。居間へとサンジを抱いて戻り。ソファに横たえてから、ベッドルームに戻った。
まさに、ひでえ状況で、また笑った。
なにもかも、引き剥がして。チェストから代えのリネンを取り出し、さっぱりとベドメーキングをしなおした。
何も自分はしらない、というカオをしたベッドができあがり。
ようやく。息をついた。
ウチのメイド共を褒めてやらなきゃいけない、そんなふざけたことが浮かび。

抱きしめあって眠るために。
腕に抱いて眠るために。
目覚めてすぐに、口付けてあまったるい言葉を告げるために。
サンジを居間へ迎えに行った。
眠ったままの身体を抱き上げ。体温の下がっていないことにどこか安堵し。
ほのかに、笑みの欠片がのせられた寝顔に。また唇で触れた。

抱き寄せてリネンにもぐりこみ。
胸に抱きしめてから。
灯かりを消した。
空恐ろしいほどの、幸福感が。足元から上ってきた。眠気と一緒に。
頭を抱きこんで。吐息をついた。
オヤスミ、サンジ。
良い夢を。

おれはいまより良い夢はみられそうもないから、同じ事は言わないでくれ。




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