指先。
爪の先まで痺れる。
走り抜ける快楽に。
スパーク。
脳裏が白く発光する。

どこまでも優しい愛撫。
骨までグズグズに蕩けてしまったような。

吐く吐息が、やけに甘く濡れてるのが遠く聴こえる。
キィン、と高い音がどこかで響いた。頭の中。

執拗に弄られる。
敏感な昂ぶり。
そうして堪えきれず、熟れた体内から煮立った蜜を吐き出した。
追い上げられるというよりは、押し流されるように。

それでも与えられ続ける快楽。
放った蜜の分の、僅かな空洞。
すぐに新たに湧き上がるソレで満たされる。
前よりもっと熱く、煮詰めたようなソレに。

ゾロの指先が、閉じていた襞に触れた。
ひくひく、と勝手にそこが蠢いて。
力が抜ける。

くらり、と一瞬意識が蕩けて。
ぞくぞくぞく、と知ったばかりの快楽が、背筋を駆け上ってきた。
息を吐いて、快楽を逃がす。
何時の間にか閉じていた目を、一瞬だけ開いて。
天上に吊るされた飾りを見上げた。

「ぞ、ろ、…ッ」
目を閉じる。
熱を感じる。
ダイスキな、ゾロの。

「んん、も、っと…ッ」
ゾロがくれる快楽。
それだけで、身体が震える。
爪の先から、髪の毛の先まで。

モットホシイ。
マダ、タリナイ。

焦がれる、ゾロに。
もっとゾロが欲しい。

「ぞ、ろ…ッ、ちょ、…ダイ」
収まることのない吐息の合間を縫って、言葉を零した。
腰骨の浮いた場所、くう、と吸い上げられて。
チリ、と痛みが走った。
すぐに快楽に転化される痛み。
堪らなくて、喘ぐ。
また同じ場所を食まれた。

ふいに、ゾロの重みが遠のいた。
なぁに、と問うヒマも無く、冷たいリネンが熱った肌を覆って。
きし、とマットレスが鳴いた。

「ぞ、ろ…?」
瞼を持ち上げた。
さらさら、と髪が耳元で鳴った。
待ってろ。
そう、やさしい声が届いて。

ゾロがするりとベッドルームから出て行った。
ひく、と喉が鳴った。

熱くなりすぎた身体が、少しだけ冷える。
ふる、と震えて、肌を擦ったリネンの柔らかさに。
また新たな快感が湧きあがる。

ぼう、とした頭で考える。
底なしの快楽だ、と。

黒い影がふと覆い被さって。
同じくらいに熱ったゾロの腕、リネンの間に滑り込んできた。
そのままきゅ、と抱きしめられて。
耳元、待たせた、と小さな声が落とされた。
柔らかな口付けが続く。

じわ、とゾロが纏った夜気が溶けた。
ほぅ、と息が零れた。
快楽ではなく、安堵、の。

「ゾロ…」
する、と手を伸ばしてゾロの背中に触れる。
ゾロに抱きつく。
まるで子供みたいに。

く、とゾロの腕に力が入って。抱きしめ返してくれた。
目を閉じて、頬擦り。
とぷん、と身体を満たしていた蜜が、色を変えた。
大きなゾロの掌、脇腹まで滑ってくる。

「は、ぁ…」
いっそう柔らかになった吐息が、口から零れ出た。
切羽詰っていた餓えが蕩けて、甘い声になる。

ず、とゾロの身体がずれて。
痛いくらいに張った胸の飾りを、舌先が擽り始めた。
「あああ…ッ」
ズク、と鳩尾に快楽が走った。
く、と歯で挟まれて、短い悲鳴を上げた。
ゾロの背中に、爪を立てる。
熱く濡れた舌が、噛んだ場所を押し潰すように当てられた。
びく、と脇腹が跳ねて。
甘い悲鳴が勝手に零れた。

もう片方の手、反対側に伸ばされた。
ずらしたタイムングでそこを弄くる。
快楽の起源が二つになって、思考が止まる。
パシ、パシ、といくつもの火花が散る。
快楽の電流、狂ったように駆け回って、放電。
母音だけの嬌声が、オフビートで零れ出す。

ひり、とするまで、ゾロの舌と歯と唇は、乳首を弄くり続け。
名残惜しげに、濡れた音を立てて口付けてから、濡れた痕を残して、滑り落ちていく。
熱く昂ぶったモノが揺れる下腹まで、すう、と。
ゾクゾクゾク、と尾てい骨あたりに快楽が蹲る。

ひくん、と揺れた昂ぶりを避けて、舌先が薄い皮膚を削ぐように弄る。
まどろっかしい愛撫に、く、と喉を鳴らした。
開きっぱなしだった脚の間、ゾロの手が滑り込んできて。

ひくひく、と勝手に蠢く襞を、じわり、と押し開くように触れた。
ぐらり、と頭が快楽に揺れた。
ひくん、と腰が揺らいで。
「…ッ」
声にし損ねた嬌声が、喉を潰す。

熱い息、下腹を滑り落ちていって。
指が触れた場所、追いかけるように、熱く濡れた舌が掠めていった。
「…あああ…ッ」
グン、と腰が重くなる。
触れるか触れないかの軽さで、舌先が踊るのを、敏感になり過ぎた身体が感じ取る。
軽い愛撫に餓えた感覚が、より神経を尖らせて、拾い上げていく。

する、と指が離れていった。
その熱が掠めるだけで、爪先が跳ね上がる。
僅かに潜り込んでいた指先が開いた場所を、舌先がぐ、と押し上げた。
「は、あ、あああ…ッ」
ぎゅ、と襞を閉じる。
けれど、じわりと蠢いたソレに、ひく、と肌が波打って。
快楽に塗れた息を、繰り返す。

どこか遠くで、くちゅ、と濡れた音を耳が拾い上げた。
熱い舌がつ、と引き抜かれて。
冷たいものが押し当てられて、腰が思い切り跳ねた。
「あ、あああ、ふ、あ、」
濡れて蕩けた感触は、遠のくことはなく。
ゾロの手が、ぐ、と腰を引き寄せていって。
つるり、とそれは入り込んできて、ぐぐぐ、と奥まで一気に分け入ってきた。

「ん、あ、は、あァ…ッ」
じく、と最奥が疼いて。
ぎゅ、とゾロの指を締め付けた。

異物感、遠のくことはなく。
熱い襞を押し広げるように、蠢いて。
ゾロの指を飲み込んだ場所が疼く。
じわじわ、と緩やかな快楽が、全身に広がって。
引き抜かれる感覚に、フツフツと体内に熱が沸きあがり。
滑った粘膜を内側から擦り上げるように押し付けられる指に、目の奥がチカチカとする。

何度も何度も、指は出たり入ったりを繰り返し、徐々にそれは内を掻き回す動きになって。
溜まらず収縮する襞に、ゾロが喉で微かに笑ったのを聴く。
内腿を、くう、ときつく吸い上げられて。
悲鳴になりそこねた声が、熱い吐息となって喉から滑りでた。
ピン、と爪先が尖り、思わず腰を浮きかけると。
ぐり、と指先が抉るように、奥のポイントを撫で上げた。
「んあああああああッ」
ピン、と快楽が一瞬で張り詰めた。
夢中で縋る、ゾロの背に、シーツに。




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