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 意識が跳んだ。
 一瞬の静寂の世界。
 淡い光に溢れた、白い場所。
 す、と体温が落ちて。
 けれど、触れてくる柔らかな感触に、ストンと舞い戻る。
 
 途端、熱く潤んだ空気が身体中を満たし。
 快楽の名残がそこここで弾ける肌は、ゾロの熱を感知する。
 顔中に、キスされていた。柔らかく。
 止まっていたと思っていた鼓動が、胸を激しく上下させているのを知る。
 苦しさ。
 そして痺れるような快感の果ての鈍痛。
 
 ゆる、とゾロが動いて、留まっていたものの熱さを思い出す。
 吐息が震えて。
 脚を抱いていた手指が、ゆるゆると容を辿っていく。
 汗に濡れた皮膚、ざらりとした感触に安堵する。
 
 ゾロ。
 アナタの総てを愛してるよ。
 ぶれる吐息に、想いを乗せる。
 言葉を綴ることは、もう出来ないから。
 
 放った先からエレクトする。
 与えられる快楽に。
 湧き上がる想いに。
 可笑しいくらいに正直な身体。
 全部、見せてあげる。
 頬の筋肉が動いて。
 甘ったるい喘ぎを零す口が、笑みを浮べたのを知った。
 
 ズル、と少し乱暴にゾロが楔を引き抜いた。
 強く引き攣れる襞に、呻き声を上げた。
 
 放った蜜、腹から胸に散っていた。それを、ゾロが音を立てて舐めとっていく。
 舌が肌を引き摺る勢いで。
 肌が粟立つ。
 包むものを失った襞が、それを求めてひくついているのを感じる。
 食われているのだ、と今更ながらに思い当たって。
 心が悦びに浸る。
 
 力の入らない身体を、強い腕が反していった。
 頬に当たる枕の柔らかな感触。
 肩甲骨を噛まれて、熱い息をそれに吸い込ませた。
 
 浮いているだろうヒップを、強いゾロの指が割って。
 空洞になった入り口を、やすやすと潜り込んだ指先が押さえ。
 またグン、と穿たれる。
 潤んだ襞は、つるりと奥までそれを迎え入れて。
 ワンテンポ遅れて、衝撃が脳に達した。
 
 それでも零れ出て行くのは、甘ったるい嬌声。
 首に息を感じて、噛まれたのを知った。
 がくがく、と膝が笑った。
 
 往復するゾロのものに、新たな快楽の波が押し寄せてくる。
 手が砕けた脚をもっと拡げさせて。
 リネンに僅かに擦りつけられる感覚も、深い愉悦に転化される。
 ドロドロに溶けた体内から、じわ、と蜜が沸き出て行く。
 ゾロの指先が、それを受け止め、押しとめるように先端に添わされる。
 
 遠慮なく打ち込まれる楔に、狂ったように声を上げる。
 枕に吸い込まれて、くぐもった悲鳴。
 スピードが上がり、確実にポイントを抉られて。
 快楽の津波に溺れる。
 
 大きな手が、張り詰めた器官を、性急に追い上げていく。
 まるでそこに別の意志を持っているかのように。
 意識の浮く寸前まで、快楽を与えようとするかのように。
 すでにキリキリと張り詰めた精嚢は、痛みを訴える。
 それでも、身体は反応して、蜜を零す。
 快楽の暴走に、無意識のうちに枕に噛みつく。
 
 ぐちゃぐちゃと濡れた卑猥な音、下腹部から響いてきて。
 ゾロが吐息だけで笑ったのを、微かに知覚する。
 内と外の両方から、遠慮のない快楽を与え続けられて。
 
 キィン、と耳鳴りがして。
 また身体が勝手に跳ねた。
 筋肉という筋肉が瞬時に収縮して、それからふわ、と緩まった。
 それは辛うじて繋いでいた意識さえも飛ばして。
 最後に背に覆い被さるようにゾロの半身が倒されたのを、触れる熱で感じた。
 奥の奥まで穿たれ、跳ねる肩を押さえ込んで。
 注ぎ込まれる熱い蜜。
 満たされる。
 
 迸る精液は、快楽の深さと反比例して、決して多くはなく。
 それでも、ゾロの手は、もっと出させるかのように、手を上下させる。
 一気に高みまで放出される。
 鋭すぎる身体を抜け出て、音の無い世界へと。
 
 それでも、手元に残るのは。
 尽きないゾロへの想い。
 容の無い、純粋な、名付けようのない想い。
 微笑む。
 
 そして、意識が途切れた。
 
 
 
 
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