Day Thirteen: To El Paso
額が。痛い。
―――――ざらざら、ざぁらざら………熱心に毛づくろいされて――――って……ゎ?これ、エリィ―――
静かにドアが閉められた音に。急に目が覚めた。
「おはよう……!」
まだ目は開けられないけど身体は起して枕に寄りかかるつもりが――――ってェ……
「おはよう、早いな?」
「―――――ぅう、」
ピロウが薄くて後ろアタマをヘッドボードに鈍い音付きでぶつけて挨拶。
マットレスは妙に揺ら揺らする。
くっく、とゾロが小さく笑う声が近づいてくる。
マットレスに手を突いて、妙な揺れに身体を慣らそうとしたなら、とん、とアタマにキスされた。
「煩くないだけ良かったネ」
「まぁな」
ぎゅ、とゾロの首に両腕を回してもういちど、オハヨウ、と言った。
あぁ、もう着替えてるんだね、おまえ。
背中を直にするすると撫でられて、ゆっくりと長く息を吐いた。
「動けそうか?」
「脳震盪は起してないと思うんだ、」
軽口で返す。
「じゃあ起きて―――どっか目に入った珈琲スタンドかなにかで朝飯にしよう。オオケイ?」
「唇は切ったかもしれない、」
くく、と耳元で笑い返す。
「そりゃ大変だ調べなきゃな、とか言って欲しいのか?」
また、さらっと口付けられる。
「いま切ったンじゃないさー?」
く、と額を押し当ててからベッドから降りる。
「ああ、昨夜?血の味しなかったから大丈夫だ」
「じゃあピリってしたのはエリィの所為だね、」
何着るかな、とラゲッジの前に座り込む。
短いの禁止令が出てるけど。じゃあ―――デニムとカットソーとシャツくらいだろ、と。ちょうど一番上にあった、あぁ、これ。
ヴァ―ミリオンのクリーニングから戻ってきたやつだね、それを手に持って立ち上がる。
「クォータ貰うね」
「どうぞ、」
そう言って通りすぎざまゾロをみれば。
そういやエリィと挨拶してないな、と。顔近くまでエリィを引き上げてハナサキをあわせていた、親子して。
コインを落として、温かな水が降ってくるのを待つ。
水の中で軽く伸びをしてから、シルヴァのブレスをしたままだったのに気付いた。
身支度を済ませて、ドライヤーもしっかり壁にホルダーが埋め込まれているのにまた小さく笑って。
ふい、と。四角い小さな鏡に映る自分を眺めてみた。
ヴァ−ミリオン仕様とどこか違ってるか……?
うううん−−−、若干ガキっぽい気がしないでもな―――――あ。
浮いた鎖骨の横、軽く痕が残されているのに気付く。
ぎりぎり、襟元から覗くか覗かないかのところ。
ぱ、と落とした目線の先、肘の少し内側にも。
ローライズのデニムを穿いて、ノースリーブのカットソーを被る。―――――覗き込まないと痕は見えない、オーケイ。
シャツを羽織ってから、部屋に戻った袖を捲くりながら。
「お待たせ!すぐ出れるよ」
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