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 「別にここでも構わないのにな?」
 「星がみたいよ、」
 「では先に出てドウゾ」
 「ん、」
 さぱ、とサンジが青から上がり。それに続いて立ち上がった。
 「一度シャワー浴びないと、不味そうだぞコレ」
 「逆上せるー、」
 そういいながらサンジがシャワーに向かう。
 「サンジの人工着色料漬けはさすがにカンベンしたいな」
 
 笑ってサンジが浴び終わった後にシャワーブースに入る。
 さくさくとバスタオルで身体を拭いたサンジが。さらっと赤いヒラヒラに腕を通していた。
 今ならあの青の中にいたら間違いなく“キンギョ”だろう。
 シャワーを止め、ブースから出て。タオルで身体を拭いてから、ベッドルームに向けて歩き出したサンジの背中を見詰める。
 相変わらず“芸術的な”ラインだと思う。
 
 冷蔵庫の中からミネラルウォータを取り出し。
 タンブラにそれをあけてからサンジに手渡す。
 自分は残りを総て飲み干した。
 す、とサンジが腕を伸ばし。ずれた赤から覗く細い手首に口付けたくなる衝動を抑えた。
 そのままサンジの横を通り過ぎ、ベッドに腰をかける。
 
 水を呑み終えたサンジが、赤のボトルを持ってきていた。
 「グラスはバスルームに置いてきたぞ?」
 「誰と呑むか、が大事だったりしないかな、」
 「オマエがそれでいいのなら」
 すい、と微笑んだサンジが、そのままベッドの隣にとさんと座った。
 「あ、」
 す、とラベルを見たサンジが、慌てて立ち上がり、バスルームにグラスを取りに行っていた。
 その間に少しでもデカンタさせておこうとコルクを抜いておく。
 グラスを洗ったサンジがするりと戻ってきた。
 
 「とはいえ、美味しく呑んであげないとね」
 ふわりと笑みが浮かんでいる。
 「なにか腹に入れるか?」
 「ううん、」
 「じゃあワインだけで」
 差し出されたグラスに、ワインを注ぐ。
 充たされる赤から芳醇な香りが立ち上っていく。
 じぃっと見詰めてくるサンジに、なんだ?と口端を引き上げる。
 にこ、と笑ったサンジに苦笑して、ワインのボトルをサイドに置き。グラスの中の香りを嗅いだ。
 そのまま一口テイスティング。
 「もう少し置いた方が美味そうだな」
 「星、みてよう」
 
 とん、と肩に口付けてきたサンジが、真横に腰を落ち着けていた。
 「この土地からだとミルキィウェイが見えるな」
 天井を見上げ、小さく笑った。
 「それが、さっきの空の川だよ、」
 する、と寄り添ってきた身体が心地よい。
 「ミルキィウェイはいったいどれくらいの星が集まってできているんだろうな?」
 つるりとしたシルクが肌を撫で。サンジがす、と肩口に口付けを落としていった。
 サンジがするりと腕を背中に回してきたので、ワイングラスを傾けながら、真上にある星々を見詰める。
 
 「ソムリエール…?」
 柔らかい声に、なんだ?と問い返す。
 「あとどれくらい寝かせたほうがいい?」
 「そろそろいいぞ」
 とん、と口付けられて笑った。
 「テイスティングか?」
 「うん、」
 煌く蒼に、したいようにさせる。
 ぺろりと舌先が唇をなぞっていき。それを追いかけて同じように舌を蠢かせた。
 するりとあつい熱が滑り込んできて。
 濡れたそれがゆっくりと押し合わせられる。
 からかうように軽く舌先を絡めてから、サンジが口付けてくるのに任せる。
 
 あむ、と柔らかく舌を噛まれ。
 口付けを解いたサンジが赤ワインを口に含み、再びそれを合わせてきた。
 甘く深いワインがゆっくりと零されていき。それをそうっと飲み干す。
 「美味しいね、」
 「だな」
 囁いてきたサンジに頷いて返す。
 「もう一口いかがですか。」
 「貰おうか」
 にっこりと笑ってサンジの髪を軽く後ろに撫で付ける。
 ふわあ、と頬えんだサンジが、またワインを口に含んでいき。
 軽く熱された芳醇な赤ワインが、ゆっくりと喉を滑り落ちていく。
 軽く喉だけ鳴らして飲み干しながら、甘く舌を絡み取られ、そうっと絡み返させた。
 く、と肩を押され、そのままベッドに背中を着く。
 
 サンジが口付けを深めながら、掌で肩や胸や腕を辿っていく。
 するりとシルクが肌の表面を横切っていく感触に口端を引き上げる。
 熱いサンジの手が齎すものが。ゆっくりと肌の表面から奥へと落ちていくのを感じ取ってゾロは更に薄く笑った。
 サンジが腰を跨いで完全に乗り上げており。
 ゾロはくくっと喉を鳴らした。
 ちらりと目線を移動させた隙に、サンジの長い脚が赤の裾から生えているのが見えた。
 頤に口付けされながら、受身に徹しているのもなかなかつらい、とゾロは思う。
 サンジがゆっくりと体の位置をずらしながら、首筋を齧ってきた。
 
 「美味いか?」
 「ん、」
 とろりとした声にサンジに笑いかける。
 見上げる蒼が潤んでいて、キレイだ。
 ぺろ、とサンジが舌で首筋を辿ってきたのに、ゾロはまた小さく笑った。
 「でもそれじゃあ折角の星空が見えないか?」
 「おまえの、目に映ってるよ…」
 とろりと蕩けた甘い声にくくっと笑う。
 首を伸ばしたサンジが、耳朶に歯を立てていく。
 掌がするすると直接肌に触れてくるのに、快楽がゆっくりと押し上げられる。
 
 「―――積極的だな?」
 低い声でゾロが囁けば。
 濡れたように光りを宿した蒼が見下ろしてくる。
 「―――退く…?」
 酷く艶っぽい笑みを浮かべたサンジに、片眉を引き上げる。
 「いや、これはこれでイイな。どれくらい上手になったのか、知るにはいい機会、だな?」
 
 
 
 
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