肌の重なった部分が酷く熱い、息を浅く取り込んで。翠を見詰める、上から。
掌で辿る肌はさらりと乾いていて。それでも、僅かに上がった体温を伝えてくる。
袖の深い赤に隠れて手指で辿る後が隠されていく。
に、とゾロが笑みに唇を引き上げる。エロスの匂いがする。
ガキの好きにさせてくれる、オトナ―――？…なんでもいい、おれは。おまえを欲するだけだから。

身体の上に手を置いて、半身を落とし。心臓の上に口付けた。
ぺろ、と肌を舌先で押し上げてから、少しだけ身体をずらせた。
ふ、と軽く息が吐かれるのが聞こえた。
そのまま胸の間を舐め下ろして。
身体を起こす。
均整の取れた体の線を目と指先で確かめて、辿って。
絹の滑る音がどこか涼しそうに聞こえる、おれが腕を動かす毎に。
すう、とまた下肢を引き下ろして、鳩尾のところ、舌先でなぞった。
どこか笑うように、囁かれる。気持ちイイよ、と。

あやされたような気がしたから、軽く歯をたてた。
脇腹を舐めて。好きな線を確かめる。
くくっ、と喉奥でわらってる。
しゅる、と。絹とシーツの間で擦れる音が立つ。身体を起こしたから。
触れたかった中心にそうっと手を伸ばす。
翠がじっと見詰めてくるのが目を伏せたままでも感じられる。

眩暈がしそうな熱さが伝わる、そして手肌が触れた瞬間に跳ね。く、と息がおれの喉で引き連れる。
手を引き上げて、指先をぺろりと舐めて、下ろす。濡れた指先で熱を撫でる。
両方が利き腕だったら良かったのに、ふと埒も無いことがアタマを掠める。
低く軽く唸る声が聴こえる。
くう、と先端から根元まで撫でて、熱さを混ぜて濡らして。
おれもちっさく笑いを隠して、軽く吸い付いた。熱い先に。
ひく、と唇の内側で熱が揺らいで。深く含まずに舌を絡ませれば。ちゅく、と微かに音が漏れてた。

濡れた手をずらせて、そのまま自分の奥を濡らす。く、と肩が勝手に揺れて、口端に熱があたる。
「―――――っ、ぅ」
抑えていた自分の息が零れた。

さらさら、と。ゾロの手が髪を撫でていく。目を上げて、身体を起こして。
微笑んで返す。
左手、ゾロの身体を辿って。
自分で滑りを奥に運び。眉根を寄せるようにしちまったけど。息を吐き出す。
体温より、高い気がする。

ゾロの指先で耳朶を掠められて。内に指を締め付けられて、泣き笑いみたいな顔になる。
「―――――ゾ、ぉロ、」
「良さそうだな、」
片方の膝を立てるようにしたなら、また赤が肌の表を滑り落ちて。
その感触と、耳に忍び込むような声に肌が波立つ。
下肢が独りでに揺らいで。
また少し受け入れる場所が綻ぶ。

腕が伸ばされて、それが緩く結んでいたローブの紐に掛かって。
「―――――や、ぁ…だ、」
どうにか声に出す。
「なにが？」
声が低く笑みを混ぜ込む。
「解いたら、ゃ…だ」
く、と上からゾロの腕を抑える。
左手。
「なぜ？」
「まえ――――みえる、」
下肢を少しだけ引き上げようとして。
声が揺れた。

「見せてはくれないんだ？」
くく、と笑う声が聴こえて。頷いた。
身体を跨いで、膝で立ち上がる。
さぁ、と。引き上げられていた絹がまた滑っていく。
「―――――んん、」
「じゃあ自分で解けよ」
それなら文句無いだろう？と。からかうような口調にまた首を横に振る。
ゾロの中心に引き出した手指で触れる。その熱さに指先が焼けそうに思える。

「意地悪するんだ？」
低い笑い声、ゾロから。
熱くなるばかりの吐息を漏らして。熱を奥にあてがって。翠を見下ろした。
ゆっくりと息をしようとするのに、だめだ。
「いじわる……？」
声が揺らいでる。
「そう。キレイなオマエを見せてくれないんだろう？」
押し開くように、奥に触れていた熱ごと。ほんの少しだけゾロが軽く腰を揺らし。
「―――んぁ、」
息が零れていく。

熱を内に感じる、ほんの僅か。ゾロの脇腹の辺りで手を握りこむ。
押し拓かれる感覚が強い、勝手に視界が潤んでくる。
ほし、と言ってる自分の声がする。
「ほし、見てな…よ、」
「ふぅン？」
唇を舌で濡らす。
ゾロがすう、と目を閉じていくのが見えた。

「ぞ、ろぉ、」
「なに？」
熱に指先でそろりと触れる。まだ入り込めていない部分を。
反りそうになる喉を押しとめて、また身体を僅かに落として。
「さみしぃ、―――――翠、おまえの。みせて……？」
「オマエは見せてくれないんだろ？」
あまい、あまい声。
聞かせられたおれのほうが溶けそうな。

「―――――ふ、ッァ…」
ぐう、と身体を落として。
上がりそうになった声を押しとめる。
目の奥でなにかがフラッシュする。
肌が直に触れて、喘ぎに似た息が漏れてく。
ゾロの身体を挟んだ脚が、勝手に強張って震えかける。

「―――――だ、って、」
ゾロの胸の上に手を突く。
「解いたら、」
は、と
浅く息を吐いた。
「すぐ、脱げちゃ…だろ…ぅ？」




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