砂埃に覆われたハイウェイを走る。
ヒストリック・ロード66は、聳え立つグランドキャニオンに向かって真っ直ぐに伸びている。
手書きで書かれた地図を片手に、キャニオントップへ向かうルートを外れ、小さな町がある方に進む。
小さな家が僅かにある木立などの間に在って、マカロニ・ウェスタンのセットにもありそうだな、と感想を抱く。
サンジはもの珍しそうに外を眺めている。
陽は落ちかかっていて、外は随分と暗くなり始めた。

「ゾーロー、」
イーストウッドどこか歩いてた?と笑ったサンジに首を竦める。
「残念ながら」
「完全に、レジデンスだね」
「そうだな―――ああ、この奥にあるらしい」
ほんとにだいじょうぶ?と訊いてくる目に小さく笑いかける。
「顔見てヤバそうだったら取って帰ればいいさ」
「ちがう、おまえの心配してるんだってば」
顔ばっちり覚えられちゃうじゃないか、と言っているサンジに肩を竦める。
「カメラマン、顔が似ているからってオレたちを引き留めたんだろ?だったらもう覚えられてる」
嘘を吐かれる所以はないが、カメラマンという職業上、コールをかけるような相手の顔を忘れることもないだろうしな。

「んん、それもそうだけど・・・」
にこっと笑ったサンジの髪を撫でる。
「大丈夫だろ、ワラパイ族の人間に恨みを買った覚えはないしな」
「あ、」
すい、とサンジが笑った。
「それ、"わるい"カオだよ」
「結構キライじゃないだろ、オマエ。オレのこういうカオ」)
「結構どころか――!」
にかっとサンジが笑った。
「相当スキ」
くしゃっとサンジの金色を撫でてから、地図で示されていた家の前で車を停めた。
集落の外れ。
「どうなるかな。アイツの伝言を的確に伝えるのなら、オマエも一緒に行ったほうがいいんだろうな」
「ゾロ、」
サンジが窓の外を見て言った。
「ティピがあるよ?」
「少なくともホンモノだってことが解ったな」
目を煌かせたサンジに笑いかけた。
「それじゃあ行ってみるか」




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