昼間の熱波がそのまま、地表に漂うような。
それでも、もう随分と冷え込んできた外に出てみる。
足元でさらさらと砂が流れた。
木造の古めかしい家と、その横に博物館でしか見たことのなかった「本物」のネイティブのティピがあった。
驚いた。
そうしたなら、突然。
「良く来たな―――!」
声が響いて思わず肩が跳ね上がった。ティピの内側から。
ゾロも、す、と冴えた眼差しで声のした方を見遣り。
「どれどれ―――」
張りのある声がまたして。
ティピの入り口が捲れ上がった。
出てきたのは――――
「……ほう!」
小柄な、ネィティブの老人だった、けど。ただの老人じゃないことは、もうその立ち姿からだけでもわかる。
「こんばんは、」
「ほおおおう!!」
ええっと……そんなに感心されても、困るよ
「アグィラ・ブランカという人間に紹介を受けた」
ゾロが、隣で会釈をして。
「ここに来れば夜を越させて貰える、と」
「うむ。良く来たの。ワラパイのグレート・サンダ―・フィッシュじゃ」
にい、と。
その老人が唇を引き上げて。
「この狼は礼儀がなっておるな!」
わははは、と大層大きな声でわらって。
「リトル・ベア!」
家へ向かって誰かを呼ぶ。
そしてすぐにおれにまた眼差しがあわせれrて。
「良く来たの、似て非なる者たち」
すう、と笑みが表情を覆っていって。ドアが開かれて光が切り抜かれて。
中から大きな人影が逆光に浮かぶ。
シルエットが、何かを抱いて…声が聞こえた。まだ小さい子供、なのかな。
「そんなに似ていますか」
そうゾロがグレート・サンダ―・フィッシュに笑い。
「うむ、左右の手ほどにはの」
入りなさい、と促していた。
「実は、連れがおりまして」
「む?おまえには子がおるのか!」
「はい?!」
イキナリ、グレート・サンダ―・フィッシュがおれを見上げてきて。
祝着!!とか、ばしばし背中叩かれたけど、ハイ?!え??
ゾロが、後ろで。ぷ、って吹き出してるけど、―――こら、笑うなってば。
「あの、グレート・サンダ―・フィッシュ?」
なんだ?ときらきらと茶色の目が煌いてるけど―――
「猫です、」
「むう、」
実に、本当にひどく残念そうなカオをされてしまったけれど。ええーと・・・
「子に変わりはないか」
ええと。ぶつぶつ仰ってるの、聞こえますけど―――
「客人は客人だな、連れて来い」
くっく笑ってるゾロに向かって、グレート・サンダ―・フィッシュが頷いていた。
ふにゃ、と。細いコドモの泣き声がドアから聞こえて。あぁあ、急がないと。
あの人に挨拶もまだしてないし、赤ちゃんが可哀想だ。
「リトル・ベア!」
ドアに向かってグレート・サンダ―・フィッシュが声を掛けて。
呼びかけられた人が、す、と見遣ってきた。腕のなかの赤ちゃんは大人しくなってる。
「なかなか、艶めいた猫だの、こちらは!」
―――え……?ハイ?!
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