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 Day Fifteen: Arizona
 
 サンジが眠りに着いたころに上から退いて、いつもどおりに抱きしめて眠った。
 脇に退かせる時にも、うな、だかむぅ、だか文句を言い。けれどあっさりと首筋に鼻先を押し込んで、すう、と眠りに着いていった。
 一部始終を寝惚け眼で見ていたエリィは、足元で深い息を吐き、一度起き上がって伸びをしてから、反対方向に丸まり直して落ち着いた。
 他人の家であるのに、こんなにも自然に落ち着けるのが妙な気分だ。
 
 夜中に一度、リトル・ベアが起きる気配につられて目が覚め。それから明け方に一度。
 6時ごろには起き出して、外に行く気配を感じ取っていた。
 サンジはまだ腕の中で眠っており。エリィは窓際に座って外を眺めていた。
 30分ほどじっとしている間に、この家のおちびさんが起きて泣き出し。
 それをあやしてミルクをあげる母親の声も聞いていた。
 リトル・イタリーに住んでいた頃には馴染みだった音と気配。
 不思議と心が安らぐのを感じていた。
 
 エリィは、けれど。赤ん坊が泣くのを始めて聞いたのだろう、多分。
 耳をぴくぴくさせて、気配を伺っていた。
 「エリィ、オマエも朝ごはんにするか?」
 聞けば、んなぅ、と返事が返され。
 隣で眠っていたサンジは、微かに掠れた甘い声を上げて伸びをし。それからぎゅ、と抱きついてきた。
 
 「ヘイ、ベイビィ。起きるぞ」
 トン、と額に口付ける。
 「−−−−…う、」
 おはよう、と口が動いたけれど聞こえたのは最後の音だけ。
 笑って金の髪を掻き混ぜた。
 「今日は観光するんだろ?掃除してから出て行くのなら、もう起きろ」
 ぼう、と蒼が覗き、ふにゃ、とサンジが笑った。
 「―――ヨコに居る、変なの…」
 「ずっと乗っかったまま寝てられるか」
 ふにゃふにゃな口調のサンジに口付ける。
 「オレがずれ落ちて困るだろうが」
 くすくすとサンジが笑い、背中に回されたままの腕が、さらに力を込めてきた。
 「よく眠れた?」
 「不思議とな。この家には妙なマジックがかかってるのかもしれない」
 
 それからふい、と思い当たる。
 「ああ、それか。安心しきっている赤ん坊が居るからかもな」
 あむ、と首筋を齧られ、小さく笑った。
 サンジの耳元に軽く口付け。
 起きるぞ、と笑いながら耳に音を落とし込んだ。
 さらさら、と髪を撫でられる感触に、そろそろ切り時か、と思い至る。
 「―――――っン、」
 返事が返され、とん、と頬に口付けた。
 
 きゅう、と再度強く抱きしめられ。サンジが起き上がった。
 (でもってすぐ坊抱っこしてるし>笑)
 それから側に座り込んで喉をごろごろと鳴らしていたエリィを抱き上げている。
 ベッドから起き出し、トランクを指し示す。
 「で、今日は何を着るんだ
 
 
 
 
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