「オーライ、さっさと落ち着こう」
笑ってサンジの髪をくしゃりとする。
「アリステア、今度はメイドのいるコテージがいい」
からかう声に苦笑する。
「信用できるメイドを雇ってるコテージがあればな」
ざ、と見回しながら、カメラや盗聴器、を隠しておけそうな場所を探す。
くすくすと笑うサンジの声が耳にくすぐったい。
「ディナーはどうする、」
「あ、」
壁をノックしてから、配線を調べる。
「ん?」
すい、と振り向く気配に見上げる。
「――――――おれじゃないんだ、」
「オマエはデザート」
ふにゃんと笑ったサンジに、に、と笑いかける。
「外は面倒、」
「ケイタリングかルームサーヴィスだな」
無意識で甘えているような声に頷く。
「メニュウ次第、どちらでもおまえの好きな方で、」
「オーライ、」
リヴィング、ダイニング、ベッドルーム、バスルーム。総てのクロゼットと引き出しも調べてから、アンパックし終えていたサンジが居るほうに向かう。
ベッドルームからでもリヴィングからでも出れる造りになっているテラス。
リヴィングの方の窓を、サンジが開けていた。
階下、道路を挟んで少し離れたビーチ、浪打際でブレイクする波の音が響いてくる。
ジャグジーを見つけ、サンジが笑っていた。
「なんで花びらはいつもついてくるんだ?」
白いタイルに青い照明が反射している。
サンジがまたけらけらと笑っていた。バスケットに花弁でも盛ってあったんだろう。
「日常から抜け出せる装置みたいなモンだからだろ」
「キスで充分、」
柔らかい声が甘い。
「もっと望んでもいいんだぞ、サンジ」
笑って恋人を呼ぶ。
す、とテラスから覗いていたサンジに、腕を広げる。
蕩けそうに甘い笑みを浮かべたサンジが。
ゆっくりと腕の中に収まってくる。
抱きしめる。
「愛しているよ、ベイビィ」
髪に口付けを落とす。
安心したように吐息を零したサンジを強く抱き寄せる。
やわかく体重を預けられ、ひとつ息を吐く。
オマエが今、オレと共に在ることを感謝する。
さらりと背中を撫でられ、小さく笑う。
「ゾロ、」
「メシは後にして、先にオマエから喰っちまおうか、」
声のトーンで愛を告げられ、耳元に口付ける。
「いや、って言うとでも思う…?」
蕩けた声が聴こえて、また低く笑う。
「バスルーム、どっちのに入る?」
室内のバスか、ジャグージか。
闇に溶けた海上には。
この先何マイルも覗いてくるような人間はいない―――軍用サテライトはさておき。
「―――そと、」
オーケイ、と耳に口付けてから、腕をそうっと緩める。
「いっぱい愛し合おうな?」
目を覗き込んで笑いかける。
「ん、」
ヘヴンリィ・ブルゥが蕩けて甘みを帯びていた。
ふわりと微笑んだサンジの頬が、僅かに赤い。
やわらかく唇を合わせ、そうっと舌を滑り込ませる。
熱く濡れた器官を絡み取りながら、背中に指が縋ってくるのが解る。
腰を引き寄せ、体温が上がった身体を抱きしめる。
テラスを探索し終えたらしいエリィが、とてとてと歩いてソファに座り込むのを気配で感じ取る。
ようやく落ち着けたらしい。
吐息で強請るサンジをあやすように深く口付け。
それからそうっと服を脱がしにかかる。
静かな波音が、甘い潮風に乗って聴こえてくる。それ以外には、僅かな車の音以外は何も。
背中からじかにサンジの掌が滑り込んできた。
柔らかく口付けを浮かしながら、服を落とさせていく。
間近で上がった濡れた音に、理性が緩む、極僅か。
ゆらりと蕩け始めた蒼が見上げてきて、笑いかける。
ああ、オレもオマエが欲しいよ。
口付けを解いて、そうっと啄ばむ。
「愛しているよ、サンジ」
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