まっしろで、ゾロの齎すものの他は何もワカラナイなか。頬が濡れてるのを漸く知って。
言葉が容をつくらずに中を通り抜けて。
首を振ろうとした、どうにか。
だけど、蕩け落ちそうに重い、上に向かって四肢が引き上げられそうななかにいて、うまくいかない。
「ちが……、」
掠れた声が、熱い、息さえ取り込めないくらいの喉をせりあがって。
「あいさせてくれてる、」
吐息に乗っ取られそうな、頼りない音しか出せないけど。

ごめんね、と涙が零れてった。馬鹿なコドモでしかないけど。だけどおまえのこと、愛してるんだ。おまえの捨て去った過去までぜんぶ、欲しいって我侭言うようなガキで。
ぼろぼろ、勝手に零れっぱなしの涙。ぺろ、と熱い舌が掬っていてくれて。
限度がない。
「―――ぁ、っう、」
泣くな、って言われたのに。
何度も舐めとって、目尻から頬へと。柔らかに吸い上げられて。狩る物の仕草だ、と意識の外で思う。
いま、喉、差し出したら。噛み破ってくれるかもしれない。

「―――ろ、ゾロ、」
切れ切れな声で名前を綴る。内を埋め尽くしてる熱に焼かれるままで。
ぐ、と。強く押し上げられて、内を。悲鳴じみた声を上げた。
追い上げられる、快楽の天辺まで。達したばかりな自分の身体が、また感応していくのもわかる。
「あ、あぁア…ッ」
弛緩する暇なんてなくて、ぴりぴり、神経だけがちぎれてく。
知らずに、ゾロの腰に回していた脚が跳ねるみたいに浮いた。
「んぁ、あっ」
耳朶を噛まれて。また声があがる。
吐息を間近に感じて、狂ったみたいに鼓動が高まって。一瞬だけ、目をきつく閉じる。
そうしたなら、背中に柔らかな感触があたって。
埋められた熱さが押し拡げてく感覚が移って、鳴いて。下から、見上げてた。硬度を保ったままの、翠。

声に出せずに、唇で名前を作って。
鎖骨、きつく噛まれて背が浮き上がる。
強い腕に抱きしめられてる、穿たれて涙を零して。快楽のその先まで引き上げられて。
「あぁ、あっ…ッ」
切れ目ない嬌声が、嫌で聞こえなくなりたい。
「ひぁ、アっ」
なのに、また高まっていた中心に触れられて。止められるハズもなく。
「ぁあ、―――や、ぁ。ね、はなし…っ」
一点を穿たれるのと、指先で蜜を零してる先を強く抉られるのとを受け止めきれずに。
「ぁああッ」
ぐ、と身体中が湧き上がる感覚に溶け落ちる。
指先から冷えて、背筋を這い上がる痺れに混乱する。
「―――る、よぉ…」
溶ける…?崩れる―――?わからない。
その間もずっと、掻き混ぜられて。リネンにすがり付いてるのか、逃げたいのかわからない。
「ん、っんン、」
リネンからも、引き戻されて。強く穿たれて眩暈がする、ずっと。

「――――――も、ィ…っ、あ、ア…っ」
また身体中が形を無くして。溶け落ちそうな熱さだけになって、ソレが溢れてく。
なのに、放してもらえなくて、内からもソトも押し撫でられて滅茶苦茶に首を振る。
「は、っあ、ぁああ―――っ」
ぐ、と下肢を引き上げられて。深くに熱を感じて。零される熱に身体が歓んだ。
切れ切れの吐息。
合わさった鼓動が早い、でもわからない、おれのだか、おまえのだか。
また、奥に溢れるものを感じて、鳴いて。
目が、ゾロを探す。こんなに間近にあるのに。体中で感じてるのに、まだおまえのこと、「みたい」。
ぐら、と反転しそうな意識を押しとめて。
ゾロ、と。名を呼んで。
余裕が少し薄らいだ、それでも冴え冴えとした翠のソレを捉えて。
強い眼差しに捉えられて。ぞく、と深くから甘い、重い痺れが沸き起こり。果てが無い。
――――あぁ、おれ。ほんと、バカネコでも、いいから。

喉もとを晒す。翠に。
「―――おまえのに、しろ、ってばぁ」
強請る。
す、と。牙の代わりに、手が伸ばされてくる。
涙で揺らぎそうになる視界、それをそうっとゾロの掌に閉ざされる。
「ぞろぉ、」
瞼越しに感じる体温、それが流れ込む。
ぐ、と。喉奥でゾロの唸るのが聞こえる。
「おねがい、だから、」
とろ、と脚の間、零れるように熱いものがある。
感じるものがすべてだ、って。そんなこと、わかってるんだ、だけど―――ふ、と空気が揺らいで。
晒した喉元、てろり、と熱い舌が舐めていく。
「―――…ん、ぅ、」
くぐもった、甘ったれた声、それが勝手に漏れる。
耳朶までそのまま熱い舌先が上がってくる。
唇で触れられるよりさき、きつく噛まれて。びくり、と腰が揺れる。
「な、ぁ。も、っと。気持ちよく、なろ……」




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