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 舌が軽く痺れたように鈍くなったのは、なにもキスをしすぎたせいじゃあない。
 何種類ものハーヴの味と、ベースになっているコーンオイル。
 そういえば昔親父に山奥で味見させられた野草のソレに似ているな?
 「あまり勧められないな、」
 軽く指先にもう一度垂らして。口で軽く喘いでいるサンジの唇にそうっと塗る。
 「美味いもんでもないしナ?」
 やんわりと指先を食んだサンジの目を覗き込む。
 「猫チャンの感想は?」
 ぺろ、と舌先を覗かせて舐めとっていたサンジに、にぃ、と口端を引き上げる。
 僅かに眉根を寄せ、妙に色っぽいカオになった恋人を見詰める。
 「キスでじんじんしてるの、かな……?」
 唇、と吐息で呟いたサンジの返答に、くっくと笑いが漏れる。
 
 そのまま上体を擡げ、片手にとろりと瓶の中身を零す。明るい日差しの中、黄金のソレは妙にきらめきを放ち。
 「―――案外本物のゴールドより価値があるのかもな」
 サンジに目線をやりながら、軽口を叩く。
 「砂金、」
 くくっとサンジが甘い笑いを零す。
 「おれの視界、それがかかってるかも、」
 両腕を差し伸ばしたサンジにまた上体を合わせながら、塗れた片手を握り締めて、くちゅ、と音を立てさせる。
 「サンジ、」
 「−−−イエス?」
 軽く頬に唇を掠めさせながら、耳元に声を落す。
 
 「足、上げろ」
 く、と僅かに緊張した身体に、耳朶に牙を立てて追い立てる。
 「ぁ、あ」
 少し戸惑いながらも喘いだサンジが、少し恥じらいつつも軽く足を引きずりあげていく。
 「イイ子だ、」
 噛んだ跡に舌を這わせ。きゅう、と首を竦めていたサンジの中心部に手を伸ばす。
 「冷たくはないだろ?」
 「−−−−−んッ、」
 熱を持って自己主張しているソレを、濡れた手でゆっくりと辿る。
 きくん、と腰を揺らがせたサンジに吐息で笑い、僅かに力を込めて軽く上下させる。
 「−−−ぁ、っぅあ、」
 「あんまりこっちをコレで可愛がると、後々つまらないかもな」
 濡れた先端を軽く指で押し開き、金色の液体を刷り込む。
 なに、と子供みたいに戸惑う蒼を覗き込んで、うっそりと牙を剥いて笑いかける。
 「少し鈍く感じるダロ?」
 「ぁあ、ア…!」
 
 身体を跳ねさせたサンジを間近で見下ろしながら、ゆっくりと手を滑らせ、奥へと向かわせる。
 「んぁ、ぞ、ろ…っ」
 不安そうなトーンの声。走りっぱなしの心臓。
 「信頼しろよ」
 使うと判断したオレのことも。
 コレを苦笑交じりのからかい半分で放って寄越した、どうやら何もかもお見通しのようなメディスンマンのことも。
 「ちが…、」
 一生懸命な口調になったサンジを見下ろし、片眉を引き上げて先を促す。
 「へ、ん……っ、」
 揺れっぱなしの声に笑う。そのまま柔らかな精嚢に手を伸ばし、軽く解すように指先で揉む。
 「ヘン?どんな風に?」
 「ひ、ぁ…っ」
 更に身体を跳ねさせたサンジの目尻に軽い口付けを落す。
 やわやわと指先にあるソレを弄べば、熱を増して張ってくるのが感じ取れる。
 零れ落ちる吐息の全てが喘ぎに変換されている。切れ切れに放たれる鳴き声は、酷く甘い熱を帯びていた。
 「たりな…なんて、っ」
 揺れっぱなしの声に小さく笑う。
 「へん、」
 涙が滲みっぱなしの蒼を見据え、目を細める。
 
 「どういう風に足りないんだ?」
 「平気、なん―――、」
 サンジが息を呑む。
 「おまえ、に触れられ、ても。もっと、って……」
 囁きのように細まった声に、軽く笑いを零す。
 「足りなければ自分で補ってもいいんだぜ?」
 つるりと手を滑らせ、軽く開いていた脚の間に滑り込ませる。
 「ゃ、ゾロ、が。ぃ…っ、」
 喉を逸らせたサンジの脚に乾いた手を滑らせる。
 「生憎手は二本しかないんだが」
 軽く脚を広げさせて、指先を奥に掠めさせる。
 きゅう、とリネンを握ったサンジの膝に軽く歯を立てる。
 「ア、っン」
 「まあ焦らされた方が後の快楽が倍増するのは昔から誰もが知ってることだから、どうするかは任せるよ」
 とろ、と目の先で揺れた中心部の先端から透明の蜜が伝い零れる。
 それを目にしながら、指先でひくついている入り口を軽く擽る。
 縋るような声が名前を呼んでいる。
 「だぁから、オマエの好きにしていいんだって」
 内腿に歯を立てる。
 「ほし、よぉ、」
 泣き声じみて切羽詰ったトーンに、くすりと笑いを零す。
 「もう少ししたらな」
 
 
 
 
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