| 
 
 
 
 名前を呼んだサンジに口付ける。
 そっと啄ばみながら、腰を支えていた手をずらす。
 腹に当たっていた欲情の証を揃えて握りこむ。
 くう、とくぐもった声を出していたサンジから唇を浮かせ囁く。
 「ちゃんと首に腕回してろよ、」
 息をどうにか取り込んだサンジが、眉根を寄せていた。
 唇を開き、何か言葉を乗せかけ。けれど、きゅう、と腕が回された。
 「That's my baby(いいコだ)」
 笑って項を緩く啄ばむ。
 熱い吐息が耳元を掠めていった。
 
 水の中、ゆっくりと手の中のものを擦り合わせながら、先ほどからなぞっていた場所にまた触れる。
 そうっと柔らかく蠢く襞を指先で辿り。
 熱い水の中で、先端を潜り込ませる。
 ぴく、とサンジのものが手の中で育ったのを感じる。
 「――――ん、…っ」
 遠くの潮騒、近くの水音。皮膚を震わす位置で、甘い声。
 きゅう、とサンジの腕が首に縋ってきた。
 首筋を啄ばみながら辿る。
 指をく、ともう少し押し進める。
 「ん、ぁ…っ」
 
 手の中に握っていたものから手を離し、サンジのものだけ握り直す。
 ぴく、とサンジの脚が跳ねて、水がちゃぷ、と音を立てて跳ねた。
 「ぁ、…あっ」
 とろ、と滑った感触に、触れた先端を親指で割る。
 たぷ、とまた水面が揺れ。青白いヒカリに跳ね散る水の雫が見えた。
 
 ゆっくりと埋め込んでいた指先を蠢かす。
 まだきつい内側に、反射的に絞られる。
 「…っん、ァ、」
 サンジの腕が滑ったのか、縋ったのか。
 首からずれていく感触を感じ取る。
 
 「不安定か?」
 耳の後ろに舌を這わせながら訊く。
 びくっとサンジの身体が震えていた。
 サンジの中心部をゆっくりと包み込む。
 「ッァ、」
 ぐ、と奥に指を差し込む。
 「気持ちがいいな、」
 くう、と首筋を吸い上げて告げる。
 たぷ、たぷ、とサンジが跳ねる度に水音が上がる。
 
 「ぁ、ぞ、ぉろ…、」
 サンジの脚が、胴に当たっていった。
 「一回、軽くなっとくか?」
 きゅう、とサンジのものを絞り込みながら訊く。
 サンジがゆっくりと上体を擡げ。
 ゆらりと蕩けた蒼が見詰めてくる。
 焦点が合う。
 「ん?」
 く、と中に埋め込んだ指を軽く蠢かして促す。
 
 「――――んぁ、っぅ」
 潤んだ蒼、滲んだ涙が溜めきれずに零れ落ちそうになっている。
 「キレイだよ、サンジ」
 とん、と唇に口付ける。
 「だからオマエが楽なほうがいい。どうしたい?」
 理由になっていないな、と苦笑する。どちらも真実ではあるが。
 
 ぴたりと耳元にサンジの顔がくっ付けられた。
 そろりとサンジの中心部を撫でる、水の中。
 「―――い、きた…っ、」
 小さな声に微笑む。
 「ちゃんと掴まってろよ、」
 「ゾ、ォロ、」
 
 きゅ、きゅ、とサンジのモノを水中で擦り上げる。
 耳元に口付けられる、上がる甘い声が直に耳に注ぎ込まれる。
 ぞく、と背筋を熱が這い登る。
 緩く差し込んでいた指でそうっとサンジの体内を掻き混ぜながら、サンジを追い上げていく。
 熱く蜜を蓄えたもの、強弱をつけて、リズミカルに。
 
 サンジの白い首筋に、そうっと歯を立てる。
 傷を作らない程度に力を加えて。
 「あぅ、…アっ」
 ふる、とサンジの身体が震えていた。
 とくり、と手の中の熱が一瞬強く張り。
 きゅう、と絞り上げてから、そうっと手を離す。
 耳元、荒いサンジの吐息。
 「んっ、―――く、」
 
 埋めていた指はそのままに、空いた掌で背中を撫でる。
 とん、とん、と赤く染まっているだろう首筋や頤に口付けを落とす。
 きゅう、と内が指を締め付けてくる感触を味わう。
 「サンジ、」
 く、と腕が縋ってきた。
 「上がるか?」
 「―――――あ、つ…」
 
 「逆上せたか?」
 笑って指をそうっと引き抜く。
 サンジが熱い吐息を吐いていた。
 けれど。
 間近で金が闇に踊る。
 ああ、本当にキレイだな。
 
 「―――ぁ、」
 サンジが、僅かに震えていた。
 濡れた肌が青白いライトに照らされ、闇から浮かび上がっている。
 「月があるのがこっち側じゃなくて残念だったな」
 トンと火照った肌に口付けてから、サンジを抱えたまま立ち上がる。
 さぱ、と水音が立って、笑った。
 サンジの熱い指先が頬を包んできた。
 濡れた熱い感触に笑って、それに口付ける。
 「いらない、」
 とろりと甘い声に笑いかける。
 
 「月なんか、いらない」
 「じゃあ暫くお別れを言いな、」
 オレがオマエを連れていっちまうから。
 そう囁きを落としてから、湯から上がる。
 蒼が見詰めてきて、笑いかける。
 濡れた身体のまま―――いいか?
 甘く艶めいた眼差しに問いかける。
 
 薄くサンジの唇が開いた。
 「なんで、きくの…?」
 ふわ、と蕾が綻ぶようにサンジが微笑み。
 火照った肌から甘い匂いが立ち上る。
 低く笑ってベッドルームに続く扉を開けた。
 「ゾロ、」
 
 「オマエを一番気持ちよくさせたい」
 囁き、唇で肌に触れてきたサンジに答える。
 ちゅ、とまた甘く肌に口付けられる。
 「連れてって、」
 おまえと一緒に、と。
 そう言って見上げてきたサンジに。
 「All the way, darlin'(最後までな)」
 笑って答える。
 愛情、それが蒼に蕩けているのが解る。
 
 
 
 
 next
 back
 
 
 |