| 
 
 
 
 明るい日差しと蕩けた幼い恋人の身体。
 柔らかなウェストコーストの甘い風と、重たい吐息に涙交じりの嬌声。
 滴る体液と黄金色の媚薬。
 狭い体内としなやかに手折られるように添う身体。
 何種類ものキスマーク。
 せがまれる度、煽る度、浅くきつく残したバイトマーク。
 縋る爪先には軽い血糊の痕、沢山の涙と限界まで搾り取られた体液。
 煽る、煽られた風情に煽られる。
 子猫チャンの餌は随分と強力らしい。泣き濡れた顔がそれでも浮かべるのは柔らかな笑み。
 叫びに近い嬌声を上げる唇は、赤く火照ってぽってりと膨らんでいる。
 オレのアンジェはインキュバスらしい―――死神には似合いか、と妙に笑いが零れる。
 
 膝をリネンに着くまで高く引き上げさせ、一気に刺し抜いた。
 そこからはペースダウンすることなく、早いリズムで追い立てた。
 身勝手な“カチアットーレ”は未だ健在らしい。それでも―――サンジは甘い嬌声を零す。
 もっとも熱い身体と狭い粘膜に、それこそ“喰い切る”勢いでのめり込んでも、ぎりぎりのところでペース配分は心がけた。
 戒める必要もなく、“壊す”気は毛頭ナイから、委ねきられた肉体を思う存分味わっている間も、蹂躙するのではなくただ交じり合うだけ。
 言い直せば、“愛し合う”こと―――オマエが気持ちがいいとオレも気持ちがいい。
 「ぞ、…っろ、ぞろぉ」
 ぽろぽろと涙を零しながら、それでも熱い吐息と早い鼓動のリズムに、充分な快楽は得ているのだと解る。
 抱え込んだ内膝に歯を立て、強く押し込む。
 「――――ャ、ぃ…っ」
 サンジの手が中心に伸ばされ、自分の熱を押さえ込もうとしていた。
 「イケよ、ほら」
 ぐ、と強く刻みいれて。最奥まで届かせてから、そのまま強く腰を打ちつけた。
 「ァアあ、っ」
 とろ、と。濡れそぼった先端からさらりとした体液が溢れていった。
 ふゥん、出すものはなくなっても、快楽には終わりがないってことか。
 サンジが身体を何度も跳ねるように震わせている。濡れた蒼が間近で開いて、困惑を写しこんでいた。たすけて、と。掠れきった声が告げてくる。
 さら、と脇腹を指先で擽った。
 ドライオーガズムに浸った肉体は、そんな刺激にも反応する。
 「ぁ、ああ」
 またさらりとした体液が僅かに零れ出るのを目にする。
 
 「快楽にも従順だな、サンジ?」
 ぐ、と押し込みながら、声を落す。
 サンジの唇が動いていた。
 「おまえだから、」
 苦しそうに、それでも淫靡に染まった声が目を見詰めたまま告げてくる。
 さあ、と身体が赤く染まり。サンジが跳ね上がるように震える。ぎゅう、と締め付けられ、小さく笑った。
 「食い千切られそう、」
 とろ、と垂れた僅かな体液を拭い取って口に運ぶ。
 更に締め付けられ、濡れて甘い匂いを放つ指先を咥える。舌で舐め取り、その濡れた指でいっぱいに広がった襞に手を伸ばす。
 「ギチギチ、」
 「っは、あ…ァっ、」
 笑ってサンジの胸に唾液で十字を切る。
 下肢が揺らいだそのリズムを乗っ取って、早いテンポで腰を揺らし始める。
 ぐ、とサンジの脚が引き寄せるように力を込めてき。上体を倒して奥まで強く熱を押し込む。
 「……っく、」
 「な、か。おまえ、で溢れさせ…ッ」
 泣いて懇願するトーンに、低く笑う。
 ぐ、と押し込んで、溜め込んでいた熱をサンジの体内深くで開放する。
 「――――っ、」
 溜め込んでいた回数分ある体液を、何度かに分けて放出した。
 ぎい、と手指が縋ってきて。細かく痙攣するように身体を震わせたサンジが、もう何度目かの絶頂に到達する。
 
 とろ、と。ほんの僅かに中心から溢れた体液。
 ぐ、と体積を引き抜いて、身体をサンジから引き離し。それに舌を伸ばした。
 「ァあっん…っ!」
 びく、と身体を震わせたサンジが、首を左右に振っていた。
 深すぎる快楽に意識が落ちずに、戸惑いと焦燥を覚えているみたいだ。
 柔らかく蕩けたまま、ぴくりと口内で跳ねた熱をきつく吸い上げる。
 「あ!」
 軽く引き寄せたままだった脚が強張り。脇腹が攣ったように痙攣していた。
 ほんの僅かな滑りを舌先で拭い取り。間近でひくついた入り口から白濁した体液が零れ出るのを捕らえる。
 それをひょいと指先で掬い、軽く内側に押し戻す。指は難なく呑み込まれていき。また笑った。
 「んんぁ…っ」
 きゅう、と熱い体内にあっという間に取り込まれ。もっと、という風に蠢く粘膜を指先で撫でた。
 「ぁ、あ、あ」
 「―――すっげ濡れてる」
 きゅう、と喉を撓らせたサンジを見下ろしながら、指できつく襞を擦りあげる。
 「ヒぁッ…、」
 「まだ足りない?」
 「−−−−−ぁ、」
 ぽろぽろと涙を零すサンジが、荒い息の合間に告げてくる。
 「こわ、…ぃ、」
 震える吐息が辛そうで、妙にソソル。
 
 「ほし、のが、」
 きゅう、と目を閉じ。それでも懸命に震える腕を差し出してきたサンジの背中に腕を差し込む。
 指を引き抜き、サンジの両足の下に腕を差し込みなおし。ぐ、と身体を持ち上げる。
 「−−−ふ、」
 熱い息を零したサンジの身体をさらに高く抱えあげながら、脚の位置を直す。
 覗いた蒼に、にぃっと笑いかけながら。下肢を引き寄せ、ゆっくりと下ろしていく。
 くぅ、と。蕩けた身体にあっさりと呑み込まれていき。低く笑った。
 「遠慮すンなよ、」
 「き、もちぃ、ぞ、ろ…」
 きゅう、と手指が肩に縋ってきて。
 く、と自分の体をわずかばかり引き上げたサンジの耳朶を齧る。
 
 そのまま、膝で立ち上がり。熱い息を零しながら首を反らせたサンジを抱え込んだまま、強くリズムを刻み始める。
 「意識が飛ぶまでイケそうかな?」
 「その、ほ…ぅがい…っけど、だめ、」
 粘膜を伝って落ちてくる、先ほど注ぎ込んだ体液が。酷く濡れた音を立てる。
 「ダメ?なンで」
 「意識、ず……っと、」
 スムーズなインサートに、あっさりと快楽が回復していく。
 サンジが、ぁあ、あっと喘いでいるのが耳元で聴こえた。
 「クリア、なんだよぉ……っ」
 明らかに泣き声を上げているサンジに、動きを止め。そのままの姿勢で、顔を覗き込む。
 「そっか、」
 「や、ぁ。ヤメナ、で……」
 潤みっぱなしの蒼に苦笑する。
 「―――オーライ。じゃあもう少し楽しもうか」
 
 に、と笑いかけて。サンジを抱え込んだまま広いベッドを降りる。
 くう、と縋ってきた腕に、体重を引き寄せながら、広いリヴィングを通ってバスルームへと向かう。
 ゆらゆらと揺れる刺激にすら甘い声を上げて鳴くサンジの耳元に口付けて。
 シャワーのコックを捻ってから、サンジの身体をバスルームの壁に押し付けた。
 「っ、」
 一瞬冷たい後に降り注ぎ始めた湯に、サンジの体がびくっと跳ねていた。
 そのまま回された脚に笑いながら、落ちてくる湯の中でサンジに軽く口付けた。甘えたトーンで名前を呼ばれ。リズムを再開しながら唇を舌で割り開いた。
 
 ―――少しエサを与えすぎたか。それともサンジが効きやすい体質なのか。
 あと数回注ぎ込めば、適度に中和されて効力を失うだろう。
 軽い麻痺作用、それは自分にも僅かなりとも影響を及ぼしていて。保ちが良すぎるのも問題なのかもしれないな、と苦笑交じりに思いながら、舌を引き込んできたサンジの口内を掻き混ぜる。
 暖かい湯気で啼きっぱなしの気管を加湿しながら、流れ出たシーヴァが洗い流されるよう、頭を濡らさない位置に僅かに身体をずらす。
 ―――ここで溺れたらシャレにならないしな。
 きゅう、と爪を強く突き立てられ。笑ってサンジの唇を噛んだ。
 「あ、は」
 とろりとした笑顔を浮かべたサンジを強く突き上げ。艶やかだった顔にまた快楽が浮んだのを見詰める。
 「―――ま、気長に付き合ってやる」
 にぃ、と口端を引き上げる。
 「だから、行けるとこまでイッちまいな」
 
 
 
 
 next
 back
 
 
 |