く、と。喉が少し引き攣れて、取り込もうとした空気が重い、届かない。
重ね合わさった身体が、区別がつかない。わかるのは―――
息が押し出されていった、鼓動さえ響いて。
「ぅ、…ん」
深くまで熱が埋められて。開かされた脚、内側が引き攣るみたいに震えた。

ぱ、と。
ヒカリが散る、目のなか。
「ぁ、あっ…」
奥深くまで届く、身体を伝って抜け落ちていかずに引きあがり指先まで走るだけ、快意の欠片、それが。
鼓動の上と、身体の中心辿り落ちていく。追いきれない、手指がまた。
悦楽の糸をカンタンに弾いていく。
「んぁ、ァッ…、ふ、ぅ」

背中越し、跳ね上がることも出来ずに。仰け反るように引き伸ばすだけの背中、首筋。
熱を少しだけ高めた唇で啄ばまれて。
身体の深くから、埋められた熱を確かめるみたいに。
触れられる唇に。小さく喘いで目を、知らずに閉ざしたそれを開けて。
揺らいで翳む視界が、ぼう、と容を取り戻していく。

わから―――な…、もう。幾度も求めて、熱を零したか。なのに、濡れた音が聞こえて。
「――――ん、っく」
ゾロの手首、指で縋った。
内で息づく熱に、じりじりと焦がれていく。
濡れ零れて、身体を濡らすもの。繋がった場所まで伝うのがわかり。
「ぁ、」
短く喘ぐ。

肩口に、す、と。薄く尖った感触。ただ、肌の表面を掠められる。
びく、と。
下肢が引き攣れた。熱をまた一層に感じて。
肌を穿って、血肉までわけいって深く、埋めて欲しいと渇く。衝動に似た思い。
クワレタイ――――？オマエに。

酷く、色を乗せた音。それがオマエの名を綴って。
覚束ない下肢を引き上げようとしても。
「―――っふ、ぅん」
息が零れていって。焦れたみたいに、ただ腰が揺らいだ。
「―――ぉ、ォろ…っ、」
く、と息を呑む、後ろから抱くおれの―――
「もう駄目か？」
あまい、あまい、声。
掠れて、低い。甘く熱い囁きが耳朶を擽って。
「ぅぁ、ァ…！」
下肢からと、首元から。熱い波が血の流れに逆らって。
手首に縋る指が震えた。

手が、濡れ零れる蜜を押しとめるように絞り。膝から、下肢を捻る。
「ぁっ―――あ、」
身体が溶けて行く。容、とうに無くなって。
「や、ァ…ッ」
焦れる。
焦がれて、内を埋めるだけじゃない。もっと、
「ぞ、ぉ…」
耳元。音を拾う、くらりと浮いた意識がそれでも意味を伝えてきて。
浮かされた手、それが。
おれの手首、やんわりと掴んで。
「持ってろ、」
低い声が落とされる。

「あ、手……？」
「放すなよ、」
唇を開くより先に。昂ぶった濡れた熱、手指に零れて。
びく、と指先が跳ねた。
くう、と喉が鳴った。
自身に添えて。息を零す。

けど、すぐに。
ゾロの両手で下肢を抱え上げられて。
「あ…？」
意識が浮いて。
落ちていく身体は、齎される感覚を全て拾い上げて。
「あぁあッ」
嬌声、喉が押し上げて。
頬、濡れた感触が伝った。

緩く、手で引き上げられて。
落とし込まれるたび、焦れて。
「ぞ、ぉ…ろ、…っ」
息が落とされるのを聞く。また、溶け入るかと思う、その触れるところ。
腕、力強いそれが回されるのを感じて。
熱を締め付ける。
空気が揺らぎ。
視界が高さを変えて、繋がったまま、落とし込まれてた下肢が引き上げられて。肘をリネンに突いた。
強く突き入れられて。酩酊する、なにもかもに。

オレンジの淡い光、それが落とす影も見えずに。
腕を、片腕。前に伸ばしかけ。
「ひ、ァあっ…、ア…っ」
傾いだ身体を。
快楽を引き起こす場所、直に抉るようにされて。
悲鳴をあげた。
濡れてる、快楽に。
指、リネンを掴みかけて。
揺れる、穿たれて。

「は、っ……ア、あッ…！」
撓む、背が。勝手に。
引き出されて、泣いて。求めるのに埋められて鳴き声を上げて。
もっと触れてくれと鳴き声が強請って。
深くまで、と内は取り込んで。
「ぁあ、あっ」
溢れるもので濡れて滑る手を、上から重ねられて。吐息が震え。
腰を掴む手指の熱さに、歓喜する。カラダと、ココロ。

リネンに零れて行くのは、声とナミダ、雫。
突き入れられることを、悦んで。身体は揺れて。
熱い、溶ける、と。切れ切れに。嬌声に溶け込ませて。
「――――あぁ、っ、ァ……っ」
背が、撓む。
「―――ぉ、ろ、…も、」

深くまで突かれて。熱さに視界がぱあ、と。色を全部なくして。
手指が熱く濡れて、弾けたことをどこかで知って。
これ以上は無いと思えたのに、その先。
開かれた身体の奥、迸る熱を感じて。背骨から震えた。
「ひ、ぁッ…、ぁ」
身体の奥。
溢れかけそれでも、歓喜に濡れて。
低い声、唸るようなソレに。名を綴られて。
腕を、引こうとした。
触れようと。
おれの―――オトコに。

まだ、溶け合わないのが不思議な、くらい。
指先まで、あまい。
リネンの上を滑るだけの指、それを。持ち上げることさえ、できないよ…？
「――――ぞ、ぉろ」
舌ったらず、音も模れない、オマエの名前だけ。

ゆら、と。
オレンジの光が揺れて。
――――なんか、よく。
わかんないよ……？




next
back