サンジが肩越し、視線を合わせてこようと首を捻った。
背中、僅かに撓み。耳元に口付ける。
「オレの天使、」
ぺろりと耳朶を舐め、囁く。
「ふ、ぁ、」
くう、とサンジが首を竦めていた。
布越しに感じる体温、僅かに上昇しているか?

「美味そうだろ?」
笑って訊く。
サンジが首を横に振っていた。
金がさらさらと流れる―――ふン?
「――――はずか…、」
消え入りそうな声で、恥ずかしいとサンジが言っていた。
愛情が沸き起こる。
ヴァニラアイスにチョコソースをかけたもの以上に甘ったるいものが。

「そう?ああ、まあな。オレも馬鹿みたいに蕩けた面してるだろう?」
頬に口付ける。
きゅう、とサンジが目を閉じていた。
す、と頬が寄せられて、笑ってもう一度口付ける。
唇に当たる肌の温度が、酷く愛しい。
サンジを支えている手に、熱い指先が触れてくる。
手の甲にそうっと。

「もっと蕩けさせてもいいんだよな、オレ?」
くくっと笑ってサンジの肌の上に片手を滑らせる。
「―――――――ぅ、っん、」
サンジが返事を返しながら、ふる、と震えていた。
「オマエをもっと愛して、溶けさせて。オレまで甘々のベタベタになっちまおうか、」
視線を僅かに落としたのか、肩口まで赤く染まったサンジの項を軽く吸い上げる。
「ぉ、ろ…っ、」
「んー?」

ゆらゆらと節の蕩けた声に、そうっと項を啄ばむ。
掌、とくとくと早い鼓動を刻む心臓の上に移動。
こく、と小さく頷いたサンジに、止め処なく愛情が溢れる。
手首に縋るように力が加えられて。
「―――愛しているよ、オレの天使。もっと蕩けて混ざり合っちまおうな」
囁いて、それからゆっくりと上体をテーブルトップに着かせた。

「――――――――あ、」
明るすぎないライトの煌きの中、銀色のガラスに映りこんだ肢体。
焼けていない裸体のあちらこちらに残された赤。
染まった肌。
サンジがきくんと身体を僅かに強張らせていた。

背中、首の付け根に口付けながら、鮮やかな赤を指先で辿る。
「ここ、オレがさっきつけたヤツな?」
「んん、」
甘く重ったるい吐息を含ませて、サンジが短く声を上げた。
「美味そうな色、」
ぺろりと背骨に沿って舌を這わす。
「ァ、」
サンジの手が、きゅ、と音を立て。ガラスの上で指を握りこんでいた。
撓んだ白い背中に赤い痕を残す。
浮いた肩甲骨の窪み、古い痕の隣に。

「とてもキレイだよ、サンジ」
かじ、と骨にそうっと歯を立てる。
「ひァ、」
くう、とそれが更に浮き上がっていった。
「ヴァニラアイスもショコラも要らないか、」
笑ってサンジの胸の飾りをそうっと指先で摘む。
「っ、…ッァ」
「オマエだけで充分甘いしな、サンジ」
ちゅ、と背骨の際に口付ける。
火照った肌が唇に当たる。

「けど、もっとどろどろに溶けちまえよ、」
「ぁあ、ア、」
ぺろりと甘みを増した肌に舌を這わす。
とろ、と蜜が零れていったのを、リフレクションで見詰める。
「美味そうだな、」
腰を落とさせ、そこに回していた手を引き上げる。
ゆら、と蒼が揺れ。同じようにリフレクションを見下ろしたのを見詰める。
手でゆっくりと、サンジの中心部を包み込む。

「くぅ、ん…っ」
くちゅ、と濡れた音を立てて、ゆっくりと手を上下させる。
ミラー越しほとんど影になっている部分。
ぽた、と雫が落ちていった。
白濁したミクスチュア。
サンジが一気に耳元まで肌を染めていた。
くくっと笑いながら、サンジの背中に唇を這わす。
「あーあ…参ったな。本当に際限なく、オマエに餓えるよ、サンジ」
酷く上昇した体温。

「―――ぉ、ろ…」
「ワケ解らなくなっちまえよ、」
とん、と口付けを落とす。
「責任、全部取るから、ナ?」
ふわ、とまたサンジの体温が上がっていた。
「き、もち―――ぃ、よぉ」
節の溶けた声に笑う。
どうしようもないほどに湧き上がる愛しさに。
「ああ、けど。まだまだ、だろ?」




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