Day Four: To Savannha
何かを囁かれた気がする、風に薄い布が翻って蒼が覗いた気も。
語り掛けられて、また遠い音を聴いた。
鼓動と思った、ひどく身近に聞えて息も詰まるかと思えたもの―――
遠くから低い声で語りかけられている、………ちがう、これは
波音……?
包み込まれていた、穏やかな。温かな空気がゆっくりと離れていく、それが嫌で。
縫いとめられたみたいに、指はそれでも動かなくて
別のものに包まれる、ゆらゆらと身体がたゆたったかと。
囁き、近くにまた落とされて波音がまた少し遠くなって。
消えていく。
ざわめきがまた、いつのまにか戻って。
輪郭のない意識が、明るさをどこかで知った。
何枚も何枚も紗を重ねた遠くの、霞む情景。
ときおり風にそれが捲れ上がって、それでも布を通した遠い色合いとが僅かに見えて。
ゆめかもしれない、とぼんやりと思う。
景色は遠くにあるのに、また鼓動がすぐ傍に感じられて。
「さっき」、静かに流れ込んできていた歌と同じ音が、コトバを綴ってた―――
……「さっき」?――――何時のことなんだろう、それ…
そぐ傍の、体温に。
額を押し当てて、いるのかもしれない。ゆめのなかだから、足元。立っている感覚が抜け落ちて
浮いてる、身体が無いみたいだ。
別の音が少しだけ混ざり合って。
『よいドライヴを、ミスタ・ウェルキンス、』
―――ミスタ、…
ホテルのゆめ?――――カツ、と。
石に跳ね返る何かの音。
布地越しの景色が、流れた。
――――夢か、じゃあ…
ゾロ、と呼んだのかもしれない。唇が零していった音は多分、もうずっとそれしか言ってないかもしれな―――
抱き込まれてるみたいに、身体何かに沿っていて
熱の塊が、ゆっくりと重みを増して。
これ、―――しってる……
「――――…ィ、」
低い音、聞えてきて。なにかが動き出して。
空間が、動いてる。
身体は置いてかれたみたいに感じるけど、でも。
―――――ゆめでも、嬉しいかもしれない、届くものがある。
旋律と、それに乗せられるもの。
ゆっくり、なにかが綻んでいくイメージ、それがはらはらと散る。
この場所を穏やかに埋めていって、―――指先にその半透明な欠片を捕まえたくて。
きもちの良い、ゆめ。
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