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 「Do you think I'd say no?」
 ノーと言うとでも思ってるのか?とそう笑いながら返して。
 サンジの腕を軽く引いて首に回させ。
 引き寄せてから強く抱きしめた。
 ふわふわな笑顔のサンジの金色を掻き分け、耳元に口付ける。
 「I love you my baby angel、」
 嬉しそうに長く息を零していたサンジが、少しそれを詰めていた。
 “愛しているよ、オレの天使チャン”。
 柔らかな口付けの音と共に落とす言葉。
 
 「朝からここでオマエを喰っちまうのも楽しそうだけどな。今日は行く場所がいっぱいあるだろう?」
 くう、と首を抱きしめてきたサンジの髪を掻き混ぜてから、腕を放して顔を覗き込んだ。
 「せめてキス…?」
 首を傾けたサンジの柔らかな頬を指先で辿ってから、笑って唇を啄ばむ。
 何度か軽く啄ばんでから、そうっと舌先で唇をノックする。
 ふわりとサンジが目元を赤く染めていた。
 笑ったまま目を閉じて、緩く綻んだ唇の間に舌先を差し込んだ。
 まだどこか寝惚けているのか、熱く甘いそれを引き上げて、吸い上げて。
 髪を指先で梳いてくるサンジにまた低く笑って。緩く舌を絡めて宥めてから、そうっとそれを解いた。
 
 「You know I could do this for hours」
 「あともうすこし、」
 キリがないだろ、と笑えば、そんな返事が返ってきた。
 きゅう、と笑った恋人の前髪を両手で梳き上げてから、もう一度深く口付けた。
 奥深くまで舌で辿り。
 絡まってくる舌に自分のそれを合わせ。
 朝には濃厚な口付けをたっぷりと堪能してから、ゆっくりとまたそれを解いた。
 何度も啄ばんでから、唇を離し。
 赤く火照った頬と目尻、そして曝させた額にも唇をプレスして。
 「一日そんな美味そうな顔してるオマエを他人に見せるのはシャクだな、」
 ゾォロ、と囁いてきたサンジに軽口を叩いた。
 ふわんと微笑んだサンジの髪をくしゃりと掻き混ぜる。
 「寝言は言わないよ?」
 ふわふわの笑顔に笑う。
 「寝言よりも睦言なんだけどナ」
 に、と悪い笑みを一つ。
 
 さああ、と真っ赤になったサンジの頬に最後にもうひとつ口付けてから、乗り上げていた膝を下ろして立ち上がる。
 「ほら、バス行って支度して来い」
 すい、とサンジの腕を引き上げて立たせてやる。
 きゅうう、とサンジが一瞬抱きついてきてから、それからゆっくりとバスルームに向かっていく。
 コンディションされた部屋の中で。
 エリィが待ち構えていたかのようにサンジの足元に纏わりついていた。
 「転ぶなよ、」
 笑って背中に声をかける。
 
 「んん、エリィ?おまえも内緒話ゾロとしてたろ昨夜?」
 そう言ってチビを抱き上げたサンジがすい、と振り向いた。
 「“ヒミツにゃん……?”」
 「チビ、喋ったらブラッシングしてやらないぞ」
 笑ってひらりと手を振る。
 に、とエリィが抗議の声を上げていた。
 サンジを隠しちまいたいのがオレたちのネガイだなんてな。
 面と向かって本人にいえるかっての。
 
 サンジがシャワーを浴びている間に着替えを支度してやり。
 ダイニングのテーブルの上に出しておいてやる。
 こればかりは届いていた朝刊に目を通し。気になるニュースが特にないのに僅かに安堵する。
 “連中”の広告は、まだ新聞に出ていて。
 発売日を確認する。まだ1週間先だな。
 
 サンジが戻ってくる気配がないので、バルコニィから室内に戻り。
 朝のニュースにチャンネルを回せば。
 サンジがびしゃびしゃのまま出てきていた。
 「おい、風邪引くぞ」
 笑う。
 「あっためて?」
 ふにゃんと笑ったサンジに、ばぁか、と軽く口付けて。
 「タオルドライならしてやる、」
 笑ってとたとたと出てきたエリィに声をかける。
 「テクは一級だよなあ、エリィ?」
 
 サンジは構わず、オリーヴグリーンのローライズをさらりと穿き。濡れたまま上からTシャツを被っていた。
 「風邪引いたら大笑いしてやる、」
 笑ってバスルームにタオルを取りに戻る。
 「引かないようー」
 とサンジの嬉しそうな声が背中を追いかけてきた。
 戻ってきてからサンジの頭にタオルを広げ。
 「どうだかな、」
 わしわしと髪をタオルドライし始める。
 
 「ひかないってば、」
 「引いたらどうするんだ、ベイビィ?」
 くいんと寄りかかってきたサンジの髪を根元から拭っていく。
 「軽い風邪には水風呂と適度な発汗、じゃなかったっけ、あとヴィタミンCやまほど」
 くうっと見上げてきたサンジの額を突付く。
 「バカ猫」
 に、と笑ってタオルドライを終了させる。
 「にあう」
 「ドライヤーかけるぞ」
 にぃっと笑ったサンジを両手でひょいと浮かせ。
 パウダールームに舞い戻る。
 トン、とところどころ濡れたフロアにサンジを下ろしてから、真っ白いドライヤーを引き出してコンセントを入れる。
 
 「ゾォロ、」
 「なンだよ、」
 すい、と腕を回してきたサンジに苦笑して、出しっぱなしにしてあったブラシも手に取る。
 ヘアムースをからからと鳴らしながらシェイクして。ピンポン玉サイズを取り出して、湿った髪に馴染ませた。
 「ゾロ…?」
 柔らかな声のサンジを見下ろしながら、柔らかく馴染ませた髪をブラッシングする。
 「ン?」
 「おまえに構われるの、好きだよ」
 にこお、と蕩けるような笑みを浮かべ。
 「ありがと、」
 と言ったサンジをすい、と引き離し。とん、と額に口付ける。
 「It's my pleasure, darling」
 
 見詰めてくるブルゥの前でヘアブラシを揺らす。
 「まさかオマエ、ドライヤーされるのを嫌がってンじゃねェだろうな?」
 笑って軽口をたたきながら、ドライヤーのスウィッチを入れる。
 ヘアブラシを追っていた目線がすい、と合わされ。
 わざと、ばれた??とでもいうようなカオを作っていた。
 柔らかい前髪をブラシにとって、ドライヤーの温風を吹き付ける。
 「さすがオヤコだな、」
 
 
 
 
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