「ぁ、あァ、」
鳴き声、耳が拾って。濡れた音と、酷く明るい視界、目を閉じていても。
開かされた下肢が熱い、溶け出していきそうなほど。
カラダ中の水分が全部、熱をあげてとろりと滴りはじめるような錯覚。

閉じた視界、くちゅ、と。咀嚼する音めいて響いて。かあ、とまた体温が跳ね上がった。
「―――ゃ、ぁ、ゾ…ぉろ、はずか…」
膝が覚束ずに、閉じることも出来ずにいて。
何度も濡らされて、内から震える。
「オレしか見てない、」
優しい声が、それでも。その同じ術で押し開いてきて。
「ぁあっ、ア、」
次に訪れるものを知って、内がざわめいて。
奥まで、望む先まで滑った熱が差し入れられていった。

「あ、あ、あ」
熱が押し上げられる、身体の深くから。
内が狭まる、その快楽に。涙が零れて。
羞恥と快楽がギリギリまで絡まりあって。背が軋む。
高まった熱からは快楽の証、それが零れて。
内を押し撫でるように蠢く熱に、眩暈がする。
快楽だと、教え込まれたもの、だけど。
おれを作り上げるものは、細胞のひとかけらだっておまえのものだけど、やっぱり
「んぁっ、…ゥっ」
引き出されて、入口を舐め上げられて下肢が捻れる。

熱が刹那とどまって、押し当てられたままの感触にまた震えた。
「ぞ、ぉろ、も、ゃ、あ」
掠れかけた声で哀願めいた言葉をだしても。
ぐ、と。
熱い掌に腰を強く落とさせられて。
開かされた脚の間に身体を落とし、気付かないあいだに背をリネンに預けていたゾロに。
びく、と。
固定された下肢が強張っても、高まっていた中心を熱い中に深く含まれて悲鳴じみた声が零れてった。

「呑ませろ、」
微かに渇いた声に、背の中心を痺れが抜けていく。
「んぁ、あ」
濡れた熱に蜜の零れる先を辿られて。それでも押さえつけられてる、根元。
「ァ、あ」
ぐう、と波が高まったまま、また押し上げられて。
「ンン、ぁ」
濡れて綻んでいた奥に、指先が触れて。痺れ。
ぱし、と。
視界が明かりのほかの色に見えなくなる、一瞬。

含まれたままの熱が揺れた、下肢が強張って。
聞え続ける音にも、また神経が焦げていく。
高みの先、それが見えなくて。深まるばかりの快楽に震えた。
「アッ…、ア」
蜜を零す、吸い上げられて。
引き上げられて、高み。
「アッ―――」
溢れていく、弾けていく。

解放されるはずの約束が前提の快楽、なのに。差し入れられた指先に内を強く押し撫でられて。
「や、ぁあ、」
感じていた快意のまだ先があると。押し上げられて。
泣いた。
熱を零した高まりはまだ愛撫されたままで。くちゅり、と音が聞こえて。身体、内深くから沸き立つかと。
頬を零れていったものが涙だってこと。それが冷たいのさえ不思議で。
「ふ、―――っ」
舌が。
高まりかけた熱、その容をたどってくるのに、また身体が軋む、熱で焼かれそうで。

「全部手放しちまえよ、」
あまい、ひくい、囁き。おれのなにより好きな―――
「ぁ……」
名を呼ばれた、と知る。
サンジ、と。
節がとろりと溶け落ちたようなソレ。
「ぁ、ん、…ぅ」
明るすぎる光、開いた視界にあって。
きゅう、と。リネンに縋った。

「―――ふ、ぅ」
揺らいだ背、熱が上がりきって。喉を競り上がる息も焼けそうな。
耳がまた、音を聴く。
濡れた場所を押し広げていく指と、聞えるかと思う、内が触れられていくソレ。
「ぁ、あァ」
下肢が揺らいで。
熱い濡れた感触、それにじわりと包まれて。
「―――ぁ、」
教えられたものとは違う、素直に、これは快楽だと知る。

「ぞ、ォろ…?」
「ん?」
くぐもった、それでもあまい、優しい口調が耳にするりと馴染んで。
「ク…ッテヨ、もっ――と、」
揺らぐ下肢はそのままに。
内を撫で上げる指先その骨の容まで伝えて欲しい。
「ァ、」
きゅ、と。軽く吸い上げられまた膝が崩れかけて。
目を開けていられなくなる。

「ほら、寄越しな」
甘い囁き、それがするりと潜り込む。
肌の表面から、抜けて。
血肉を掻き分けて、鼓動のその先、もっと深くまで。
「ん、…ッン」
本能に近いトコロ、悦楽の真ん中。

おれ、おまえに―――おなじだけ、与えられてるのかな、と。揺れっぱなしの意識の切れ端が模って。
けれどすぐに、引き起こされた熱い波めいた衝動に。酩酊しかける。
「ぁ、っ」
疼くような、奥から拡がる熱と。
直に引き起こされる揺らぎに、また精を溢れさせた。
唇が模っていたのは。
ただ一人の名前で。
嚥下される音を、ひどくはっきりと聴いて。また頬が熱くなった。
舌で容をまた辿られて。身体中が震えた。

「……ぞ、ろぉ、」
内から、引き出される感触に下肢が捻れて。
リネンが引かれる音と、動いていく熱量にゾロがもう抜け出ていったのだと知って。
肘が崩れて、半身をリネンに落とした。
「―――ぅ、」
潤んだ視界、それにゾロの姿を探して。
ぺろ、と。肉厚の舌で唇を舐めていくのが映った。

ゾロの表情、それにふわりと柔らかな笑みが乗せられて、そのまま軽くキスが落ちてきた。
受け止めて、目を細める。
「まだ足りないか?」
蕩け出しそうな、優しい声が擽る。
きらめくグリ―ンアイズを見詰める。
「もっと…、」
頷いた。
「舐めて欲しい?」
笑って言うゾロから眼差しを逸らさずに。
「おまえを、充たしてほしい、」
ゾロ、と掠れた声を押し出して。
「おまえに喰われるの、すきだ、」
だから、と。
腕を、差し伸ばして。

ふわ、と。優しい笑みが視界を充たして。トン、と口付けられて微笑んだ。
唇が離れるのと同時に、背中を向けさせるように腕が身体を促がして。
囁き声が聞えた。
「今日は背中はそうっとしておこうな、」
「―――ふ、ぁ、」
熱い掌で下肢を引き上げられて、息を零した。

溶け始めた奥、触れる熱に息が跳ね上がって。
ゆっくりと穿たれていく、身体が拓いていく瞬間は鳴き声めいた声が零れる、唇から。
充たされていくのだ、とわかっても。短く切れる息に視界が揺らいで。心と身体のアンバランス。
熱に浸されていく下肢が、内で引き攣れるみたいに絡んでいくのにまた声が零れて落ちて。
それでも、穏やかに開かれて。けれど止まることは無くて。
「んん、ぁ、」
熱の存在を内から感じ、鳴いて。
低い、唸りめいた音を聴く。
これ以上は無理だと、身体が撓むその最奥まで埋められて。
「ぁ、ぁあ、」
リネンに縋る。

緩やかなリズムに優しく押し上げられ、刻まれ。
舌が刻むのは甘い吐息に絡めた声だけで。
「ぞ、ォろ…っ」
切れ切れに名を呼んで。
包み込まれるかと、刻まれる強いリズムに。
酩酊、でも。
名を呼び返されて、それが彩る思いにまた深くから震えた。
抱きしめる腕よりも、確かに知る、想いと。

「ぁ、あ、」
反らせた喉元を吐息が競りあがって。
ココロと、身体と。
両方で抱きしめる、腕、まわせないけど。
「ひ、ぁ…ッ」
一際、高み。絶頂、押し上げられて。
また熱を零していった。

耳元、すぐ側で。
息を呑む音、それが聞こえて。
「ぁ、あ、」
おれを埋めていた熱が引き出されてくのに、喘いで。
跳ねた息が、脚に零された熱に。ただの嬌声に変わった。
快楽に塗りつぶされた、ソレ。
全身が一瞬、熱を全部なくして、瞬きより先に倍の温度に充たされる。
乱れきった息が零れていくだけで。

上がった吐息が、聞こえるそれが軽く整っていって。
脚を、掌が齎された熱を拭っていくのにさえ。色を乗せた声が追いかけて。
「っ、ン、」
脚が、ゆらり、と。揺らいだ。
「もっと?」
声が、笑いを滲ませて訊いてくる。
こくこく、と。
頷いた、それが精一杯で。
空ろ、それが嫌で。
下肢を引寄せようとしても、脚がいうことを利かなくて。

マットレスが少し揺れたのは気のせいかと思ったけど。
ベッドに座りなおしたゾロに引き上げられた。
「おも、からだ…、」
グリーンアイズを見詰めて、ほわりと口端を緩める。
肩口に、両腕を預けて、頬にカオを寄せる。
「Leave it all to me,(オレに任せろ)」
「ごめ、ていせー、す…」
首に、片腕をきつく回した。
半身をあわせて。
伝う鼓動になんだか涙が出そうになった。
「おまえ、ほんと、に。やさし…」




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